読書からはじまる の商品レビュー
書き下ろしのエッセー然としていますが、終盤の情報と言葉の違いに、分ける文化と育てる文化の違い、平等と個性の違いがそれぞれ対応するという整理と、蓄えるということが第3項として挿入され、それが読書ということになるというくだりは立体的に語られる社会ー文化論として、面白く読みました。
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もう、メモして残しておきたい文章の宝庫でした。 全部書き写したら、一冊の本になるくらい。 「読む本」「読むべき本」が、本の全てではなくて、「読まない本」をどれだけ持っているかが大事。 本は読んでも忘れることができる。忘れたらもう一回読めばいいという文化。 発想の転換。 子どもの本になくてはならない三つのもの 1.古くて歳とったもの 2.小さいもの 3.大切なもの なるほど、と思いました。 そして、断言できるほどたくさん読んではいないし、児童小説じゃないけど、窪美澄の小説って、この3つがちゃんと入っていると思いました。 行間を読む。 想像をする。 感性を磨く。 言葉で渡され、言葉で手渡すものは、言葉だけではない。 表紙のいすの絵を見ただけで、この人の生活の中で読書が確かに位置づいていることがわかります。 すわり心地の良さそうな、クッションなど置かなくてもずっと座っていられそうな座面と、片側だけの肘掛。 そこで私はどんな本を読もう。 何を自分に語りかけよう。 最後に、幕末の人、橘曙覧(たちばなのあけみ)の歌。 たのしみは 人も訪(と)ひこず 事もなく 心を入れて 書(ふみ)を見る時 たのしみは 世に解きがたく する書(ふみ)の 心をひとり さとり得し時 たのしみは そぞろ読みゆく 書(ふみ)の中(うち)に 我とひとしき 人を見し時
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長田弘 「 読書からはじまる 」 読書論。本を読む人の感情と時間をうまく定義している。言葉を 情報と区別している点は 言葉のプロである詩人ならでは だと思う 本とは「本という考え方を表すもの」いい本とは 「その中に いい時間があるような本」 本はもう一人の友人 *友人との関係...
長田弘 「 読書からはじまる 」 読書論。本を読む人の感情と時間をうまく定義している。言葉を 情報と区別している点は 言葉のプロである詩人ならでは だと思う 本とは「本という考え方を表すもの」いい本とは 「その中に いい時間があるような本」 本はもう一人の友人 *友人との関係は ずっと続くもの *再読は友情の証 *忘れてしまった大切なものを思い出させるのが本 本を読むとは *新しいものの見方、感じ方、考え方を誘う *本の持っている時間を手に入れること 言葉とは *言葉とは その人の生き方の流儀であり、マナー *言葉を豊かにするとは 自分の言葉を持つこと *人の表情や雰囲気など 情報でない言葉→感受力→近づく言葉(情報との違い) 情報とは *時間を占有する→自分の時間を減らすもの *情報=競争→排除する力→共倒れ
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「読書に必要なものは、本当は椅子です。」 「図書館の本は読まれないからこそ価値がある」 なかなか参考になった読書論。
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「大学新入生に薦める101冊の本 新版」という本でも薦められている本の一つです。この本を読めば、きっと本との向き合い方、読書に対する考え方が変わるはずです。 これからはどんどん図書館に通おうと思うようになる本です。
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一風変わった読書論。 表紙の椅子は『ギャラリーフェイク』でも見たことがある。一度でも良いから、この椅子に座り読書をしてみたいものである。 本の文化を自分のものにできるかどうかの著者の考えには共感できた。
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絵本「百年の家」、「詩ふたつ」を読んで、こりゃあエッセイも見ねばなるまい!! と思い、読みました。 詩人の語ることばは、重みが違います。 好きな言葉に付箋を貼ったら、分厚くなっちゃってえらいことに。 静かな語り口が、文章から立ち上るようです。
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本というのは情報を得るものだとする現代に蔓延する読書に対する姿勢を否定する。既存の読書の概念を大きく覆す考え方だと思います。友人、言葉、共通の記憶、引いては人生などと密接に関わってくるのが本であり、読書という作業であるとする。「情報としての言葉」が分ける文化であり、平等を象徴する...
本というのは情報を得るものだとする現代に蔓延する読書に対する姿勢を否定する。既存の読書の概念を大きく覆す考え方だと思います。友人、言葉、共通の記憶、引いては人生などと密接に関わってくるのが本であり、読書という作業であるとする。「情報としての言葉」が分ける文化であり、平等を象徴するのに対し、「読書の言葉」は育てる文化であり、個性を表す。そしてよく見落とされがちだが、最も重要である「蓄える文化」という役割を持つ。詩人独特の筆致で、よく言えば味がある悪く言えばもってまわったような感じの印象を受けますが、それはこの文章が講演草稿から書き下ろされたことによるものなのかも知れません。
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CDとレコードの違いのように、媒体の違いについて触れている。 育てる、蓄える、分ける という分かりやすい概念で、 本を読むことの価値を少しづつ語っている。 押し付けがましい読書論ではなく、 淡々とした語り口が読みやすい。 読書が好きな人には共感が持てる文句があるかもしれない。
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いわゆる読書論とは一線を画すアプローチ。本を読むこと自体ではなく、文化・言葉・記憶を共有するのが大事、という指摘は新鮮。
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