10ドルだって大金だ の商品レビュー
10ドルだって大金だ 昨年「クライムマシン」で数々のミステリーベストの上位になった、ジャック・リッチーの第2弾です。プロットと最後の捻りに向けてそぎ落とした文章は勿論健在。ユーモアとサプライズエンディングも健在。 でも、何故か前回よりも評価を低くしてしまったのは、やはり感情を動...
10ドルだって大金だ 昨年「クライムマシン」で数々のミステリーベストの上位になった、ジャック・リッチーの第2弾です。プロットと最後の捻りに向けてそぎ落とした文章は勿論健在。ユーモアとサプライズエンディングも健在。 でも、何故か前回よりも評価を低くしてしまったのは、やはり感情を動かされないからかもしれません。パズルを解く楽しさはあるのですが、読み終わった後に直ぐに忘れてしまうのは、心の琴線に触れないからかなーなどと考えています。 職人仕事を堪能したい方は是非に。 収録作品 妻を殺さば 毒薬であそぼう 10ドルだって大金だ 50セントの殺人 とっておきの場所 世界の片隅で 円周率は殺しの番号 誰が貴婦人を手に入れたか キッド・カーデュラ 誰も教えてくれない 可能性の問題 ウィリンガーの苦境 殺人の環 第五の墓 竹蔵
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変わった味わいの短編集。すごく面白いって話ではないのについつい読んじゃうかんじでした。休みの日にたまたまつけたテレビを2時間くらいぼーっと見ちゃうかんじ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
妻を殺さば 妻殺しの機会を狙っていた夫が、妻の愛を知り夫も自身の心を知る物語。 世界の片隅で 少年が叔父の犯罪計画に巻き込まれ隠れた場所の物語。 この二つが良かった。
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「カーデュラ探偵社」と同じ作者だったので。 面白かった。 お話としては、最初の作品「妻を殺さば」。 金のためにちょっと変り者の女性と結婚した男の話。 召使いや運転手、強請り屋(!)と彼女のお金に群がる、 いわばライバルたちを次々と片づけ、いよいよ彼女を殺す番に。 流れるような展...
「カーデュラ探偵社」と同じ作者だったので。 面白かった。 お話としては、最初の作品「妻を殺さば」。 金のためにちょっと変り者の女性と結婚した男の話。 召使いや運転手、強請り屋(!)と彼女のお金に群がる、 いわばライバルたちを次々と片づけ、いよいよ彼女を殺す番に。 流れるような展開がとても楽しい。 それに、「だれが貴婦人を手に入れたか」。 パリからアメリカから来た世界で最も偉大な絵画「貴婦人像」を盗む話。 非常に頭の良い「盗み」だった。 肖像画はモナリザをイメージでしているのだろうか。 面白かった。
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収録作どれもさらりと読ませて鮮やか。先の展開がどうなるのか予想はしてみるものの、さらにその先に一捻り加えてくるなど、どれも高水準で面白かった!
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ジャック・リッチー(1922 -1983)は、アメリカのミステリ作家。「アルフレッド・ヒッチコック・ミステリ・マガジン(AHMM)」や「エラリー・クイーン・ミステリ・マガジン(EQMM)」などのミステリ雑誌の常連として名を馳せた。生涯に350を超える短編をものしている。 生前に...
ジャック・リッチー(1922 -1983)は、アメリカのミステリ作家。「アルフレッド・ヒッチコック・ミステリ・マガジン(AHMM)」や「エラリー・クイーン・ミステリ・マガジン(EQMM)」などのミステリ雑誌の常連として名を馳せた。生涯に350を超える短編をものしている。 生前に刊行された本はわずか1冊。発表の場はほぼミステリ雑誌で、ある種、読み捨ての軽い作風を身上とするが、その筆致は職人技だ。 そぎ落とされたシンプルな描写。胃もたれしない軽さ。くすりと笑わせるウィット。時折忍び込むダークさ。 洒脱でべたつかないクールさが魅力である。 本書は邦訳オリジナル編集で14編を収める。 のちの「カーデュラ探偵社」シリーズの前日譚のような作品や、別のシリーズであるヘンリー・ターンバックルものも含む。 個人的には、以下の3作を推す。 ・「10ドルだって大金だ」 表題作。町の小さな銀行の会計検査。例年通りに何事もなく終わるかと思えば、検査官は問題があるという。収支が10ドル合わない。さらにおかしなことには、足りないのではなく、「多い」。そんなバカな。銀行の会計には「私」と2名の従業員しかかかわっていない。いったい誰が、何のために、10ドルを金庫に入れたのか? 検査官は温情処置で翌朝もう一度確かめなおすという。疑心暗鬼の一夜を過ごす「私」。翌朝もたらされる驚きの真実とは。結末が鮮やか。 ・「誰が貴婦人を手に入れたか」 ルーベンスの名画『貴婦人像』がアメリカの美術館に貸し出された。厳重な警戒をかいくぐって、何者かが名画を狙う。だがことはうまく運ばなかったようで、後には名画が残されたままだった。だがしかし、この名画、何かがおかしい・・・? 考え抜かれた計画で、名画から大金を生む犯人の手口がいっそ小気味よい。 ・「キッド・カーデュラ」 のちの「カーデュラ探偵社」の前日譚。Cardulaは誰もが知る「あれ」のアナグラム。 ボクシングジムを訪れた1人の男。カーデュラと名乗るその男は、30歳。ボクサーとしては若くはないが、どうしてもボクシングがしたいという。半信半疑でマネージメントを引き受けた「おれ」は、彼の桁外れの強さに驚く。ファイトマネーをがんがん稼いでいくカーデュラ。だがこの男、夜の試合にしか出られないという一風変わったところがあって・・・。 カーデュラが恩義に対してきっちり仁義を立てるラストが楽しい。 性格描写や壮大なテーマはないが、ちょっとした息抜きに職人芸を楽しむのも悪くない。
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前作ほどの切れ味は無い。ヘンリーターンバックル刑事シリーズはあまりに明晰な推理力や卓越した人間洞察力で組上げた論理が常に現実を追い越してしまうという笑えて、新しく、オリジナリティあふれる探偵キャラクター設定が本作でも秀逸。
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タイトルに惹かれて偶々手に取った。著者のことなど何も知らないが、パラパラめくると、どうやらアメリカ人らしい。純文学かと思ったら、ミステリーだった。トリックが凄いわけではないが、ひねりが凄く効いていて、思いがけない展開や結末に唖然とする。どこに着地するか見当もつかない。昔読んだ星新...
タイトルに惹かれて偶々手に取った。著者のことなど何も知らないが、パラパラめくると、どうやらアメリカ人らしい。純文学かと思ったら、ミステリーだった。トリックが凄いわけではないが、ひねりが凄く効いていて、思いがけない展開や結末に唖然とする。どこに着地するか見当もつかない。昔読んだ星新一のショート・ショートを思い出した。ミステリーなんて久し振りだが、思わずはまった。
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ひねりのきいたミステリ短編集。殺人も横領も重さを感じさせず、どこまでも軽く、楽しく読める。 現代のミステリアンソロジーには、どういうわけかこういう作品が入ってこない。重たくて読後感が悪いものばかりだ。書き手がいないのか時代の流れなのか?おおいに不満! ジャック・リッチーはこのシリ...
ひねりのきいたミステリ短編集。殺人も横領も重さを感じさせず、どこまでも軽く、楽しく読める。 現代のミステリアンソロジーには、どういうわけかこういう作品が入ってこない。重たくて読後感が悪いものばかりだ。書き手がいないのか時代の流れなのか?おおいに不満! ジャック・リッチーはこのシリーズでずいぶん再評価されたのではないかと思うけど、これでミステリの潮流が少しでも変わるといいなあ。
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まさに軽妙洒脱! どの話もユーモアがあって、殺人が出てきても全然重くないのが良い。 他の作品も是非読みたい。 『妻を殺さば』『10ドルだって大金だ』『誰も教えてくれない』『第五の墓』が特に好き。
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