イスラーム帝国のジハード の商品レビュー
先日「ハリラヤプアサ」という祝日(断食明けの祝日)があった際に、この機会に読んでみようと積読の箱から出してきました。 イスラム教が広まっていった歴史を、特に初期の頃について詳しく解説しているだけでなく、「ジハード」という概念の成り立ちに焦点を当てています。「ジハード」というと聖戦...
先日「ハリラヤプアサ」という祝日(断食明けの祝日)があった際に、この機会に読んでみようと積読の箱から出してきました。 イスラム教が広まっていった歴史を、特に初期の頃について詳しく解説しているだけでなく、「ジハード」という概念の成り立ちに焦点を当てています。「ジハード」というと聖戦とよく言われてますが、もともと「ジハード」は、信仰のための努力という概念で、現代のテロとは直接は結びつかないものなのだそうです。 マレーシアには仕事で頻繁に行った時期もあったし、今はたまにインドネシアに行きますが、普通のイスラム教徒は敬虔で穏やかそのもの。もともと他の宗教との共存を受け入れる宗教ですからそれもそのはず。一部の急進的な勢力の行動が集団全体の悪いイメージに繋がってしまうというのは、宗教だけでなく、我々の日常生活にもよくある不幸ですね。。
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著者は思想史が専門らしく、一般的な歴史書とは少し方向性が違う。イスラム帝国が急速に膨張した要因とかを知りたかったんだが、その辺りの記述はわりとあっさりしている。 題名にあるとおりジハードが大きなテーマになっている。ジハードというと「聖戦」と考えてしまうのだが、もともとは「奮闘努力...
著者は思想史が専門らしく、一般的な歴史書とは少し方向性が違う。イスラム帝国が急速に膨張した要因とかを知りたかったんだが、その辺りの記述はわりとあっさりしている。 題名にあるとおりジハードが大きなテーマになっている。ジハードというと「聖戦」と考えてしまうのだが、もともとは「奮闘努力する」という意味で、いわゆる「剣のジハード」の他にも心の悪と戦う「内面のジハード」、構成の樹立のために努力する「社会的ジハード」が規定されているとのこと。また、「剣のジハード」にしても、各個人が勝手に規定するのではなく、あくまで「イスラム国家」の指導者により指示されるとのこと。ようは、現代の無差別テロは本来のジハードがかけ離れているということなんだろう。 著者は、「イスラム国家」の設立が究極的な理想と考えているようであるが、ムスリムがマイノリティの国(10%程度という国はざらにありそうだ)が多いことを考えると、かんり違和感がある主張に思える。
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ちょっと思ってたのと違ったなあ。『イスラムの中からはこう見えています』以上でも以下でも無いとしか言いようが無い。 コーランには『ジハード』としか書かれていないのを、都合よく『剣のジハード』と『内心のジハード』に別けているような印象を受けた。(そして、最後の方では『財のジハード』ま...
ちょっと思ってたのと違ったなあ。『イスラムの中からはこう見えています』以上でも以下でも無いとしか言いようが無い。 コーランには『ジハード』としか書かれていないのを、都合よく『剣のジハード』と『内心のジハード』に別けているような印象を受けた。(そして、最後の方では『財のジハード』まで出てくる。ああ、そうするとこの書籍は『ペンのジハード』なのか?) 特に、現代に近づくにつれて、ちょっと、これは…としか。 一番衝撃を受けたのは、『イスラムを語るテロ組織』について、『アレはイスラムでは無い』『アレはジハードでは無い』とは最後まで決して言わなかったところ。 イスラム側がテロ組織とイスラムを混同しているのに、どうしてイスラムの外の世界が、アレはテロであってイスラムでは無いと区別できるのだろうか? この解釈が多数派であるならば、イスラムとイスラムの外の世界がよい関係を気づけるのは、まだまだ先のことになりそうである。 イランの不思議な態勢(坊さんが大統領よりエラい)についての理解の一助にはなった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
現代のイスラム教徒を名乗るテロ事件を理解する上で、イスラムの知識が少な過ぎると誰もが感じるだろう。 コーランを読んでイスラムの本質を知ろうとしても、聖書を読んだだけでキリスト教の本質は容易に分からないのと同じで無駄だろう。 それ以上に、キリストの歴史を学ぶことは意味を成さないだろう。 だが、イスラム教を知るのには歴史的アプローチが一番効果的であることがこの本を読んで納得できた。 アラビア半島という空白地帯で生まれた宗教がいかにして広まったのか。 広まる過程でどのような困難や矛盾を克服して行ったか、歴史を辿ることで「理屈として」理解できるのである。 著者は歴史学者ではなく、政治思想研究家である。 この本は、著者の現代のイスラム世界が抱える問題を、その歴史的、思想的の両面から解説を加えようとする動機で書かれている。 まさしく、今のイスラムを知ろうとする人にとって、ベストなテキストである。
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主にイスラム教創生の頃の歴史と、帝国を経て中東を中心に伝播して、駆け足でアルカイダまで繋げています イスラムについて書かれた本は多くありますが、その成り立ちについては本書はとてもよく書かれているうちの一冊であると思います 頁的には仕方ないですが後半はやや内容薄め
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マンションで読む。再読です。自炊したものを読んでいるが、パソコンで読むのは面倒です。そのうちに慣れるでしょう。このシリーズを読破しようかな。
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学生時代以来、2度目の読了。 イスラームとは何なのかについて、基本的な理解を与えてくれる良書です。日本に暮らしていて、ふつうにニュースや新聞に接していれば、欧米的(いわゆる啓蒙思想的な)価値観が疑うことなく正しいものだというような気がしてしまう。でも、この本を読むと、それ「だけ」...
学生時代以来、2度目の読了。 イスラームとは何なのかについて、基本的な理解を与えてくれる良書です。日本に暮らしていて、ふつうにニュースや新聞に接していれば、欧米的(いわゆる啓蒙思想的な)価値観が疑うことなく正しいものだというような気がしてしまう。でも、この本を読むと、それ「だけ」が正しいことではないのだ、ということがとてもよく感じられます。 ※正しい・正しくないという表現は適切ではないかもしれませんが。。。 他の社会・信仰・文化を理解すること、その大切さ、そしてその面白さを改めて感じました。
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「ジハード」をキーワードに、イスラーム成立時点から現代までを概説している本。 章構成としては1~7章が中世イスラームの成立と発展期、8章がイスラーム帝国の崩壊、9~10章が近現代のイスラームの復興という内容になっている。 文体はとても丁寧で、図表も適宜あり、非常に読みやすかっ...
「ジハード」をキーワードに、イスラーム成立時点から現代までを概説している本。 章構成としては1~7章が中世イスラームの成立と発展期、8章がイスラーム帝国の崩壊、9~10章が近現代のイスラームの復興という内容になっている。 文体はとても丁寧で、図表も適宜あり、非常に読みやすかった。特にイスラーム成立にまつわるストーリーについてはクルアーン(コーラン)の解説も含めてかなり参考になった。 ただ勃興期の中世イスラームの解説に力点が割かれている分、現代に入ってからの説明が不足している印象があり、現状とこれからの展望に関する洞察が若干欠けていた印象がある。もう2章くらい追加して、そのあたりも詳細に解説していただけたら☆5つだったかもしれない。
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イスラムの友人ができると一生の友人になる、ってどこかで聞いたことがあるが、本書を読むとその意味が分かるような気がする。 「ジハード」「テロ」 アメリカ映画の圧倒的な映像によるイメージや西洋よりの報道でしか語られないイスラムの世界。 それで本当にバランスの取れたスタンスでイ...
イスラムの友人ができると一生の友人になる、ってどこかで聞いたことがあるが、本書を読むとその意味が分かるような気がする。 「ジハード」「テロ」 アメリカ映画の圧倒的な映像によるイメージや西洋よりの報道でしか語られないイスラムの世界。 それで本当にバランスの取れたスタンスでイラクやテロの問題を見ることができるかと常々思っていた。 この本はイスラム社会の成り立ちから丁寧に解説されており、「ジハード」の本当の意味を教えてくれる。そしてイスラム教がいかに現実的ですぐれた制度になっているか、なぜ今でも世界中で多くの支持者がいるかが良く分かる。 現在の社会でテロを位置づけられている「ジハード」が持っている矛盾。泥沼化するアメリカのイラク政策の失敗。 そういったものがまた違う視点で見られるようになったと思う。
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読みやすい!現代のことが多く書かれているかと思ったら、純粋なイスラム史。高校程度の世界史の知識があれば、すごく読みやすい!イスラム理解に最適!
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