カスタードだいすき。 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
「クレーム・パティシエール」 お菓子の本場フランスではカスタードクリームをそう呼ぶ。 直訳すれば「菓子職人のクリーム」、パティスリーには無くてはならない最も基本的なクリームだ。 シュークリームの中のあのとろ〜っとしたクリーム。口にすれば幸せになれる。う〜ん、たまらない。洋菓子好きなら、きっとその魅力の虜に違いない。私もそのひとり。 私の好きなタイプはどっしりと濃厚でしっかりと甘く、新鮮なミルクの風味も感じさせるもの。 いつ頃だったか、カスタードの味は店によってずいぶんと違うものだ、と気付いた。それ以来、シュークリームやプリンはカスタードを意識しながら食べるようになった。特にシュークリームのカスタードは自分の好きなタイプかどうか、よく味わって食べる。カスタードは洋菓子の基本。もしその店のシュークリームのカスタードが気に入れば、他のケーキも自分の嗜好に合うことが多い。 本書の案内役・柳迫さやかさんは、1993年、高校3年生の時に出場したテレビ東京系『TVチャンピオン』の「第1回中高生お菓子作り名人選手権」で優勝した女性。大学卒業後、森永乳業に入社。2005年には、開発を手がけた「プティポ とろふわプリン こだわり卵のカスタード」が商品化されたそうだ。 本書では、カスタードの魅力に注目して、18のパティスリーから「この一品」を紹介している。 さらに、パティシエから、こだわりや思い入れ、それに作り方などを教えてもらっている。 このあたりを読むと、店ごとにカスタードが違う秘密がよくわかる。 たとえば、 ・最後に発酵バターを加え、豊かな風味をプラスするシェフ。 ・コクを引き出すため、通常より長めに加熱するシェフ。 ・生クリームを加えるシェフ。 ・キャラメルと少量の塩を加えるシェフ。 ・イタリアン・メレンゲを配合するシェフ。 ・小麦粉を多めにして固めの食感に仕上げるシェフ。 ・バタークリームを加えるシェフ。 ・1日50㎏も炊く店。 いろいろあるけれど、共通するのは、厳選した材料を使っていること、そしてお菓子ごとに配合を変えているところか。 牛乳、卵黄、砂糖、小麦粉、バニラとシンプルな材料で、あんなに美味しいカスタードクリームができるなんて素晴らしい。 本書で作り手の思い入れをを知って、ますますその魅力に引き込まれてしまった。カスタードは奥が深い。心して味わいたい。
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