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殺された側の論理 の商品レビュー

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2014/02/07

一気に全部読みました。非常に読みやすく、構成も良い。 非常に考えさせられる一冊。 死刑廃止論者には絶対に読んでほしいと思わずにはいられません。 日本の司法と権力の前に、闇に葬り去られてしまう犯罪被害者遺族たちの声、そして考え方というのを丁寧にすくいとって書かれた一冊です...

一気に全部読みました。非常に読みやすく、構成も良い。 非常に考えさせられる一冊。 死刑廃止論者には絶対に読んでほしいと思わずにはいられません。 日本の司法と権力の前に、闇に葬り去られてしまう犯罪被害者遺族たちの声、そして考え方というのを丁寧にすくいとって書かれた一冊です。 「殺された側には論理がある。殺された側にしか主張しえない考え方がある。殺された側にしか見えない矛盾がある。殺された側にしか感じることができない人間の心がある。」 第一章は、少年によって妻と娘を殺された遺族、本村洋さんの闘いについて。 第二章は、父親が通り魔によって殺害された遺族、大鞭孝孔さんの独白。そして、同じように通り魔によって家族を殺された宮園誠也さんと曽我部とし子さん、そして大鞭さんとの鼎談。 第三章は、少年法改正の前日に、少年からリンチを受けて我が子を殺された青木和代さんの闘い。 第四章は、警察官に「殺された」大学生、松岡正浩さんの記録。彼の母親、則子さんの闘い。 第五章は、26年前に行方不明になった姉が殺されて床下に埋められていたことを、「時効」のために罪に問われないことを知った加害者の出頭により、告知された石川憲さんの闘い。 ここまでで、被害者遺族の哀しみの深さ、苦しみ、日本の司法や警察への不信感、いらだちなどを知ることができる。 そして、第六章、七章では、「生きて償う」ということがいかに「きれいごと」か、そして犯罪被害者が求めている本当の支援について触れる。 読み物としても面白いし、死刑賛成の立場から書かれたこの本は、特に大切な「被害者遺族の声」を拾い、死刑制度の本質についても考えさせてくれます。 仮に死刑廃止の立場に立つとして、この本の中の死刑存置論を論破できるとはとても思えませんでした。

Posted byブクログ

2011/10/30

山口の母子殺害事件遺族であった本村さんの死刑論は正に心を突き動かされるものがあります。賛否コメントは控えますがビジネス書以外で 今年一夢中になって読んだ本になるかもしれません。

Posted byブクログ

2011/10/09

 加害者が守られ被害者が守られてない仕組はほんと不思議だ。「人を殺すとはどういうことか」の著者は,塀の中で出会った受刑者のうち,人命を奪った自らの行為を後悔し,真摯に反省している者は僅かであると指摘している。「殺人」の場合,犯罪者の更生を期待することよりは,一生苦しめられる「殺さ...

 加害者が守られ被害者が守られてない仕組はほんと不思議だ。「人を殺すとはどういうことか」の著者は,塀の中で出会った受刑者のうち,人命を奪った自らの行為を後悔し,真摯に反省している者は僅かであると指摘している。「殺人」の場合,犯罪者の更生を期待することよりは,一生苦しめられる「殺された側」の感情を最大限に慮るべきではないか。 ■極刑は通過点

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2014/02/08

すべてに賛成はできない。これらはすべて「殺された側の論理」だから。 そして私は殺されたことがないから。 本当に、あまりにも酷いことが多くて、それは事件だけでなくその後の対応や保障のなさにも言えるだ。 被害者のその後のために必要なのは、被害者へのケアであって加害者に苦痛を与えるこ...

すべてに賛成はできない。これらはすべて「殺された側の論理」だから。 そして私は殺されたことがないから。 本当に、あまりにも酷いことが多くて、それは事件だけでなくその後の対応や保障のなさにも言えるだ。 被害者のその後のために必要なのは、被害者へのケアであって加害者に苦痛を与えることじゃない。 罰とケアは別の問題。 「加害者への罰や更生に必要なこと」と「被害者が癒されるため・傷をこれ以上えぐられないために必要なこと」は違う。 被害者のためと声高に叫ぶ人の中には、そこをごっちゃにして加害者を痛めつけるために被害者の痛みを利用している人がよくいる。著者にもその臭いがする。 しかもここに出てくるのは他人に殺された非のない被害者のために声を上げた遺族たち。 その人たちの声は真実だけれど、この本からは声を上げられない遺族や家族に家族を殺された遺族たちの姿は見えない。 だけど、罰の前に保障をどうにかしろと思うのは、罰について考えるのがあまりに難しいからなのかもしれない。 保障が必要だと叫ぶことは誰も傷つけないし、絶対に間違いじゃないと思えるから難しくない。 いずれにせよ殺された側の話を、もっともっと知っていかなければならない。

Posted byブクログ

2009/10/07

報道で知り得る事柄がいかに表面的で、 それによって起こった事件を知ったつもりになってしまうことが、 いかに薄っぺらで無責任なことであるのか… 痛烈に感じさせられる本でした。 日頃わずかな時間で見聞きしているニュースの背後に、 これほどまでに、悲劇の連鎖が存在し、 そ...

報道で知り得る事柄がいかに表面的で、 それによって起こった事件を知ったつもりになってしまうことが、 いかに薄っぺらで無責任なことであるのか… 痛烈に感じさせられる本でした。 日頃わずかな時間で見聞きしているニュースの背後に、 これほどまでに、悲劇の連鎖が存在し、 その心痛のほとんどすべてを被害者家族が再び担わねばならない。 同じ社会に住みながらも、 このような理不尽を強いられている現実が 本当にあるのだということを、ボクは初めて気付かされた。 犯罪被害者というその立場に文字通り立たされなければ、 絶対にわからない事柄が確かにある。 大切な夫や妻、親や子供の命を 一方的に奪われた家族が抱く、 本来当たり前の想いや願いが、 この国の現行の法の下でくみ取られ、 理解されることは至難のことだと思いました。 この本では、立場による見方についての 温度差が生じることがあると踏まえつつも、 被害者遺族が直面している問題について、 しばしば無責任になりがちな、 第三者的“解釈”をしようとするものではなく、 被害者家族の毎日に、現実に起きている悲惨な状況や 後を絶つことのない悲しみを、 “在りのままに”受け止めようとする姿勢が貫かれています。 読み進めていくにつれて、 現行の法律が加害者の人権保護を優先するばかりに、 救済の対象として 最も中心に置かれるべきはずの被害者遺族が、 いかに蚊帳の外に置かれてしまっているのか…? その現実がどれほど破壊的なものであるか…? その矛盾に強烈な憂いを感じさせられました。 この本によって、 事実に基づき示されている被害者遺族が望む事柄には、 殺された側の“論理”というものが確かにあり、 それは理解しようとする態度で受け止められるべき事柄です。 すべての人に読んでいただきたいと思う好著です。

Posted byブクログ