総統の子ら(下) の商品レビュー
1942年フランス戦…
1942年フランス戦線で戦うカールと、ソ連軍に捕らえられたヘルマンの姿を描く。
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耽美大好き、 不謹慎大好き、 リリアーナ・カヴァーニ「愛の嵐」のシャーロット・ランプリング大好き、 (つまりはナチスをポップカルチャーのイコンとして享楽する) な者には、 カールもヘルマンも眩しすぎる。 いわば「ミシマ」が疑いながらポーズとして殉じざるを得なかった「純粋」という...
耽美大好き、 不謹慎大好き、 リリアーナ・カヴァーニ「愛の嵐」のシャーロット・ランプリング大好き、 (つまりはナチスをポップカルチャーのイコンとして享楽する) な者には、 カールもヘルマンも眩しすぎる。 いわば「ミシマ」が疑いながらポーズとして殉じざるを得なかった「純粋」というものに、 そして今や「半笑い」でしか付き合いきれないナショナリズムに、 かつて(とはいえたった数十年から百数十年)は本腰を入れて人生を懸けた青年少年がいたのだ。 それだけで感受性の琴線はびりびり震える。 ましてや、少年期から青年期へと丁寧に追及されては。
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長々と鬱々と続いた戦争の経過に、不条理とか憤懣とか感じていたけれど、わずか十数ページの「終章」に訴えたい事が凝縮されているのだと思う。最後のエルヴィン・レンバッハの言葉に深く同感する。登場人物としては主人公ではないけれど、マックスの心理や行動が不思議で興味深かった。戦争は負けたも...
長々と鬱々と続いた戦争の経過に、不条理とか憤懣とか感じていたけれど、わずか十数ページの「終章」に訴えたい事が凝縮されているのだと思う。最後のエルヴィン・レンバッハの言葉に深く同感する。登場人物としては主人公ではないけれど、マックスの心理や行動が不思議で興味深かった。戦争は負けたものが口を噤まなくてはならない。
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やりきれない。 戦勝国が敗戦国を裁く。 その矛盾。 たしかに非道な行為はあり、それが正当化されるものではないけれど、だからといって、口を噤むしかないのも。 過去から学ぶためには何がおきたかを偏向グラスを通さずに知っていくことも大切なのかも。 いろいろ考えさせられた。
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「ヒトラー・ユーゲント」の時代を生きた少年と青年将校の話。 といっても、少年と青年将校との接触はあまりなくて、軍事学校からSSにはいった少年と、オリンピックに出ることを期待されながら果たせず、エリートコースから外れていった青年将校の話が、別々に流れていく感じだ。 戦争は残...
「ヒトラー・ユーゲント」の時代を生きた少年と青年将校の話。 といっても、少年と青年将校との接触はあまりなくて、軍事学校からSSにはいった少年と、オリンピックに出ることを期待されながら果たせず、エリートコースから外れていった青年将校の話が、別々に流れていく感じだ。 戦争は残酷だ。 そして、勝者は敗者に対して容赦がない。 第一次世界大戦後、貧困にあえぐドイツが強い指導者を求めて、その価値観だけの世界で生きた少年や青年将校を責めることを、だれができるだろう。 勝者だろうが敗者だろうが、何か間違っているのだ。 薄っぺらい反戦感情などふきとばす傑作。 最後のシーンが深い。
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「死の泉」のようなミステリアスな展開になると思ったが、中・後編と進むにつれ、戦争の描写が大半を占めていた。 戦勝国と敗戦国というだけで、行為の残酷さは変わらないのに片方だけが裁かれる戦争というものについて考えさせられた。
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激戦で仲間を失っていくカールと、捕虜として辛酸を舐めるヘルマン。敗戦後の描写は初めて知ることも多く、色々と考えさせられた。こんなに充実した読書は久々で、良書にめぐり合えたことに感謝。
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