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不連続殺人事件 の商品レビュー

3.7

105件のお客様レビュー

  1. 5つ

    20

  2. 4つ

    36

  3. 3つ

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  4. 2つ

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2023/12/13

6年前、映画(1977)をDVDで観、6年空けて原作を読む。 映画の方が「?」だったが、原作を読んで面白さに何だかホッとした。

Posted byブクログ

2023/11/27

戦後まもない頃、山奥の豪邸に集まった作家や画家や女優などなど。そんな彼らの間で次々と殺人が起こります。いったい誰が、どんな動機で、どのようにして行ったのか。探偵小説愛好家だった純文学作家・坂口安吾による推理小説の名作。 多人数でてきますが、個性の強いキャラクターばかりでした。ア...

戦後まもない頃、山奥の豪邸に集まった作家や画家や女優などなど。そんな彼らの間で次々と殺人が起こります。いったい誰が、どんな動機で、どのようにして行ったのか。探偵小説愛好家だった純文学作家・坂口安吾による推理小説の名作。 多人数でてきますが、個性の強いキャラクターばかりでした。アクやクセが強く、変人とくくってしまえそうだったりする人たちしかいません。そして彼らの関係が痴話がらみでフクザツです。そんな異様な小世界を設定したからこそ、8人も殺されるこの「不連続殺人」の、大いなるトリックを物語の中に隠せたのだと思います(このあたりは、巻末のふたつの解説と本文の読後感とを照らし合わせたうえでの感想です)。 謎を解くキーワードは、「心理の足跡」。作者は、自ら紙の上に出現させたキャラクターの心理造形、そして動き出した彼らの心理追跡に余念のないなかでトリックをこしらえていて、ネタバレになってしまいますが、その心理操作の破れを、巧みに流れさせたストーリーに隠して、解決編でそこを持ち上げてみせるのでした。 推理小説って、読者にわからせないために、合理性だけでは明かせない作りになっている、と解説にあり、僕はほとんど推理小説を読まないけれども、それでも思い当たりはするのでした。そこに、作者のズルさがあるのです。それが性に合わない人が、推理小説を手に取ることをしないのかもしれない。 女性キャラクターは性的な魅力にあふれる人ばかりが出てきます。これは、女性礼讃的な作者の性格がでてるんじゃないのかな、と思ってしまいました。 というところですが、以下におもしろかったセリフを引用します。 __________ 「然しなんだね。矢代さん。あなたは、どう思うね。人間はどういつもこいつも、人殺しくらいはできるのだ。どの人間も、あらゆる犯罪の可能性をもっている。どいつも、こいつも、やりかねない」(p94) __________ →何人か集ってなんやかやすれば、各々の心理に他殺や自殺の動機が疑われないことってないんだと思います。これは以前、西加奈子さんの『窓の魚』を読んだときに感じたことでもありました。 __________ 「ともかく、田舎のアンチャン、カアチャンの犯罪でも、伏線、偽証、却却<なかなか>額面通りに受け取れないもので、必死の知能、驚くべきものがあるものですよ」(p232) __________ →これ、ほんとにそうです。こっちが侮っていたような相手が、裏で、真似できないくらい高等な細工を弄していたりする。それも、最初から言葉でぜんぶ論理を組み立てていくっていうのではなくて、あるときに閃くみたいにして感覚的に勘所がどこかをみとって、そこから柔らかく論理を編んでいっている感じだったりします。僕自身も、論理の組み立てはそういう田舎のアンチャン的要素ってけっこうあるような気がします(まあ、そもそも田舎人でもあるし)。バックグラウンドとしての知識はないのに、日常の知性だけでぽんと飛翔するみたいなのってあります。それはそれとして、人間の「必死の知能」って、こりゃかなわん、ってくらいすごいものが出てきてたりするものですよね。

Posted byブクログ

2023/10/14

純文学作家の印象が強い坂口安吾の書いた、人間の行動心理の隙をつくトリックで有名な推理小説の名作。戦後まもなくの田舎の山奥に、奇人変人ぞろいの文壇や演劇界の著名人が招待され次々と殺されていくいわゆる「館もの」で、ちゃんと「間取り図」もある本格ものだが、館の建造物としての構造や特殊な...

純文学作家の印象が強い坂口安吾の書いた、人間の行動心理の隙をつくトリックで有名な推理小説の名作。戦後まもなくの田舎の山奥に、奇人変人ぞろいの文壇や演劇界の著名人が招待され次々と殺されていくいわゆる「館もの」で、ちゃんと「間取り図」もある本格ものだが、館の建造物としての構造や特殊な道具などのトリッキーなトリックに頼らず、ある状況下において「ふつうの人間ならとるはずのない不自然な仕草」だったり、どんなに疑り深い人でも「これだけは絶対大丈夫」と思い込ませる詐術がトリックになっており、それは読んでいてふと感じる程度の違和感か、言われるまで全く不自然さを感じさせないほど巧妙なもので、私は前者だったけどそこにこそ謎解きの鍵があるなんて微塵も思わなかった。探偵役の登場人物が館もののお約束の一同前にした謎解きの場面で、第一線の文士たちである館の客たちのことを「日本第一級の心理家」と名指しし、小説家とはすなわち最高の心理通、人間通であるべきはずで、その人たちでも見落とした「心理の痕跡」があったことを宣言する。それはとりもなおさず文芸作品で扱われる「人間の心のあや」は、探偵小説のトリックにすら成り得るものなのだ、という純文学の作家でもある作者の気概を感じるのだ。

Posted byブクログ

2023/10/10

有名な作家である坂口安吾の、被害者数が多くて有名な殺人事件。 たまたま見かけて気まぐれに読み始めました。 しかしトリックとか犯人以前に、昔は常識だったのか作家の性格なのか、 登場する人物全員が全員、カスかクズのオンパレード。 不倫に妾に後妻に正妻と、人間関係を把握するだけでも一...

有名な作家である坂口安吾の、被害者数が多くて有名な殺人事件。 たまたま見かけて気まぐれに読み始めました。 しかしトリックとか犯人以前に、昔は常識だったのか作家の性格なのか、 登場する人物全員が全員、カスかクズのオンパレード。 不倫に妾に後妻に正妻と、人間関係を把握するだけでも一苦労な上に それが言うほど話に関係ないのが辛い。 そして途中で挿入される、数十以上の部屋がある見取り図は必見。 それもそんなに関係ない。たぶんこれ、作者の性格なんだろうなぁ。 「その時代に読んでこその名作」みたいな風潮は確かにあると思うけど、 やはりそれを抜きにしても、トリックはわかるし、心理的なトリックも 「そんなもんですかねぇ」と思ってしまう。 しかし、後の時代に読んだ自分の感想は結局どう頑張っても後出しなので その時代に読んで手のひらを返すか「そんなもんですかねぇ」って言いたかった。

Posted byブクログ

2024/01/23
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ずっと読みたいと思いつつ、読めていなかった作品。 登場人物が多い上に色恋沙汰が複雑ではじめはかなり読みにくさを感じた (巻頭の登場人物表は、情報が薄すぎてほとんど役に立たない・・・)が、 各キャラクターの特徴が分かってくると、面白く読めるようになってきた。 本格推理物として普通に楽しめるが、やはり「読者への挑戦状」の部分が”推し”。 個人的に、坂口安吾の不遜・傲慢な物言いがたまらなく好き(笑 同時代に生きて、謎にチャレンジしてみたかったな。 99.999%解けなかったと思うけれど。 こういった試みの推理小説を、また誰かが書いてくれないかなぁ、と期待。

Posted byブクログ

2023/08/01
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「心理の足跡」! 言われてみれば「そうだよなあ」と思うのだが、思いつきませんね。この小説のトリックは海外の女流作家にも例があるが、こちらの方が上手く使っていますね。 しかし、医者が気◯いなのには閉口しました。

Posted byブクログ

2023/06/05

推理小説好きとしては一度は読みたいと思っていたものの、時代とは言え登場人物の描写やセリフが合わず、1人目が殺されたところで離脱。

Posted byブクログ

2023/05/04
  • ネタバレ

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冒頭に紹介される登場人物が多すぎて人物像がサッパリ頭に入ってこない。やけに芝居がかったセリフ、バタバタとアッサリ人が死んでいくこともあって、なんだか殺人学芸会を見ている感じで人がリアルに死んでいる感じがしなかった。 歴史的には意義のある作品のようですが、読んでいてしんどかった。 巻末の年譜がおもしろい。少年時代やんちゃすぎ。

Posted byブクログ

2022/12/04

現在の「推理作家協会賞」の前身にあたる「探偵作家クラブ賞」第二回受賞作品。 名前だけは知っている「傑作」は一通り読んでおこうと思って、手に取った。 犯人も動機も犯行手順も全く想像外。 作中の探偵が「心理の足跡」と呼ぶ、推理のキッカケとなる点は、指摘を受けた後だと、なんで気付...

現在の「推理作家協会賞」の前身にあたる「探偵作家クラブ賞」第二回受賞作品。 名前だけは知っている「傑作」は一通り読んでおこうと思って、手に取った。 犯人も動機も犯行手順も全く想像外。 作中の探偵が「心理の足跡」と呼ぶ、推理のキッカケとなる点は、指摘を受けた後だと、なんで気付かなかったんだろう、と思うくらいシンプルな手掛かりだった。 戦後僅か2年で、こういう作品が世に出た、という点も意外だった。

Posted byブクログ

2022/12/22
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とてもよくできた推理小説だった。公募形式で犯人と推理の過程を募るという趣向も面白い。 でも正直に言うと、登場人物が多すぎて、誰が何を話してどういう動きをしているのかよく分からなくなってしまい、推理に参加するどころではなかった。 あと、現在ではとても受け入れられない表現や人物描写ばかりだった。

Posted byブクログ