西部戦線異状なし の商品レビュー
レマルクの代表作です…
レマルクの代表作です。映画にもなった有名な作品ですが、やはり原典が一番ですね。個人的には火野葦平の作品の方が優れていると思いますが。
文庫OFF
1929年出版の本作は、第一次世界大戦下のドイツ西部戦線における、二十歳に満たない志願兵ボイメルの戦場体験記の体裁をとった小説。著者自身の従軍体験やジャーナリストとしての職業経験を生かし、兵士の日常や悲惨な塹壕戦などを生々しく描いており、過去に三度映像化されている名作です。 こ...
1929年出版の本作は、第一次世界大戦下のドイツ西部戦線における、二十歳に満たない志願兵ボイメルの戦場体験記の体裁をとった小説。著者自身の従軍体験やジャーナリストとしての職業経験を生かし、兵士の日常や悲惨な塹壕戦などを生々しく描いており、過去に三度映像化されている名作です。 ここに書かれていることは、青春を奪われて、戦争が……人を殺すことが日常になってしまった若者たちの悲しみです。本来なら、いろんなことを学んだり経験できたはずの大切な時期を、塹壕の中で死と隣り合わせに過ごし、生き延びても負傷してやりたい仕事につけない者、治っても悲惨な戦場に再び戻される者など、不安で先の見えない未来が、戦友との印象的な会話の数々や主人公の内省で語られていて、とても心に響きました。 最後まで読むと、それらが当たり前な戦場と本作のタイトルが重なって、なんとも物悲しい気持ちにさせられました。
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映画とずいぶん違う。映画は断片的に小説の部分を取り入れ流れ等ストーリーを作っていたのだ。「麦と兵隊」「土と兵隊」「生きている兵隊」あたりを読んで、最前線を戦う兵士たちの生活、ブラザーフッド、恐怖と苦痛、が痛いほど伝わる。最新兵器で、体がばらばらになったり、毒ガスでただれたり、生身...
映画とずいぶん違う。映画は断片的に小説の部分を取り入れ流れ等ストーリーを作っていたのだ。「麦と兵隊」「土と兵隊」「生きている兵隊」あたりを読んで、最前線を戦う兵士たちの生活、ブラザーフッド、恐怖と苦痛、が痛いほど伝わる。最新兵器で、体がばらばらになったり、毒ガスでただれたり、生身の人間がむざむざと切り刻まれていく恐怖をこの本を読んでいやというほど味わった。映画もいいけど、小説のほうがよりパウルの目を通しての戦場や戦友の姿、恐怖と苦痛が伝わってくる。 400ページあるけど、グイグイと引き込まれ1日で読める。その世界に没入できれば。
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あらすじ 著者レマルクの体験をもとに、一兵士パウルの一人称で書かれる第一次世界大戦の塹壕戦。 前線での戦友たちとの日常。両親のいる銃後の日常。 少しずつ戦争によって壊れて後者へと戻れなくなっていく主人公。自分ではどうしようもない殺戮の運命を一人の人間として覗き見ることになる。 ...
あらすじ 著者レマルクの体験をもとに、一兵士パウルの一人称で書かれる第一次世界大戦の塹壕戦。 前線での戦友たちとの日常。両親のいる銃後の日常。 少しずつ戦争によって壊れて後者へと戻れなくなっていく主人公。自分ではどうしようもない殺戮の運命を一人の人間として覗き見ることになる。 感想 主人公が仲間と蚤を取る場面で、蚤は意外と固くて潰しにくいので蝋燭の上に鉄の蓋を置いて焼き殺すなど意外な戦争中の日常場面が興味深かった。 前線一度退いて実家に帰る場面、母親と姉は息子をひどく心配するのに対して、父親は軍服を着た息子を誇らしく思い懇意な人達を周ろうとする。 主人公は戦場ではない場所にどうしようもなく馴染めなくなってしまう。 この小説では色々な残酷なシーンが勿論存在するが、この場面が一番心をえぐった。 主人公の一人称という極めて小さな穴を通して、物語は進んでいくが、最後のページで一気に突き放した三人称になり、「西部戦線異状なし、報告すべき件なし」と淡々と告げられるのが無常観を誘う。
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面白くはない。のに後半のページを繰る手が止まらない。第一次世界大戦の戦場であるわけだし、ヒトラーもナチスも出てくるわけではない。この小説は、戦争を食い物にして、自分の手を汚すことをしなかった有名人の話ではない。誰も恨まず、誰も憎まず、ただただ生まれた時代に戦争があり、戦場に駆り出...
面白くはない。のに後半のページを繰る手が止まらない。第一次世界大戦の戦場であるわけだし、ヒトラーもナチスも出てくるわけではない。この小説は、戦争を食い物にして、自分の手を汚すことをしなかった有名人の話ではない。誰も恨まず、誰も憎まず、ただただ生まれた時代に戦争があり、戦場に駆り出されただけの当事者たちの話。国がどうのこうの、そういう問題ではない。たまたまドイツだっただけで、どの国の話にすり替わっても、おかしくはない。反戦とか平和の話ではなく、ただその時代に存在していた人達の話。歴史の話でもなく倫理の話でもなく、教訓話でもない。生身で生きていた人々のただの物語。 そう思わないとやっていられない。
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最初の1ページ目が全てを表している。戦争がどのように人を壊していくのかをリアルに描いたものすごい作品。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
なんという本に出逢ってしまったのだという感情が強いです。 戦争という出来事に対して、日本人である私は小学生の頃からよく学びます。そこで戦争の無慈悲さや出来事を知り、戦争とは良くないなぁと何となく思い成長する人が多いです。私もその一人です。しかし、わたしは戦地の臭いや空気などをほとんど知らずに、ただこういう作戦があった、ただ沢山の人が死んだといった、事実だけを学ぶことがほとんで、実際の戦地の様子はほとんどわからないです。 そのわからない中で読むこの作品はとても強烈でした。これが戦地でこれが戦争。一人の若い兵士の視点を中心に描かれたこの物語は、当時の第一次世界大戦の一つの戦地の様子を詳細に描いており、戦争のリアルさもそうですが、兵士の現実をここまで感じた作品は初めてです。 この作品に登場する人達がする行動や感情こそが、本当の戦争であり、これが戦争というものだということを感じざるを得なかったです。 もし自分が18の歳に戦争にいけば、きっと主人公のような感情を抱くことを朧げに想像してしまいます。しかし、その想像は戦地でも生きる前提の想像であり、いつ死ぬかわからない戦場での自分をちゃんと想像する事は、とてもじゃないですができないです。 失われた世代、と今もコロナ全盛期の時に高校生だった人達は言われます。その人たちはその人達で可哀想ですが、昔にも様々な形で青春が失われたという事実を知る事はとても大事だと実感しました。 読者の自分はこの後ドイツは敗戦し、多額の賠償金を払うことになり、さらにそれが一つの原因となって、たった20年もしないうちに第二次世界大戦へと突入する未来を知っています。それだけに読んでいて辛い部分もたくさんあります。 しかし、この本は人生で一度は読むべき本だと思います。文章も割と読みやすかったですし、本物の戦地がこの本には詰まっています。
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図書館で借りた。 有名な戦争文学だ。 時は第一次世界大戦。最後に主人公である一兵士が戦死した日の報告書には、「西部戦線異状なし、報告すべき件なし」とされたのがタイトルの由来だ。 リアルで生々しい描写が続き、もちろん気持ちが良いものではない。ただ、こういう話も教養としてinputし...
図書館で借りた。 有名な戦争文学だ。 時は第一次世界大戦。最後に主人公である一兵士が戦死した日の報告書には、「西部戦線異状なし、報告すべき件なし」とされたのがタイトルの由来だ。 リアルで生々しい描写が続き、もちろん気持ちが良いものではない。ただ、こういう話も教養としてinputしておきたいと思いました。
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「僕らはもう戦争のおかげで何をやろうとしても駄目にされちゃったんだね」 2023/11/23読了 井上尚英『毒ガスの夜明け』でも度々言及されていた小説。舞台は勿論、第一次大戦のドイツ軍前線。 20歳前後、本来は社会に出るかどうかという時期に戦場に駆り出され、そこの非常時の世界し...
「僕らはもう戦争のおかげで何をやろうとしても駄目にされちゃったんだね」 2023/11/23読了 井上尚英『毒ガスの夜明け』でも度々言及されていた小説。舞台は勿論、第一次大戦のドイツ軍前線。 20歳前後、本来は社会に出るかどうかという時期に戦場に駆り出され、そこの非常時の世界しか知らず平時の生活から切り離されてしまった若者たち。「駄目にされちゃったんだね」という表現(原文ドイツ語ではどんなだったのだろう?)に、怒りでも悲しみでもない、冷めた、諦め切った感じがあって、余計に哀しい。
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自分より年取った人は戦争が始まる前に自分の生活があって戦争が終われば元の生活に戻るだけ、自分には若さしかない、元の学校や青春は色が違ってしまってもう戻れない、そういう感じのフレーズが印象に残った。それと、だんだん物資が不足して空腹と恐怖と前線に出される訓練したての初々しい兵士がす...
自分より年取った人は戦争が始まる前に自分の生活があって戦争が終われば元の生活に戻るだけ、自分には若さしかない、元の学校や青春は色が違ってしまってもう戻れない、そういう感じのフレーズが印象に残った。それと、だんだん物資が不足して空腹と恐怖と前線に出される訓練したての初々しい兵士がすぐ死に劣勢になっていく過程と、内地に戻ったときの人々との温度差とかけられる言葉。夜になると敵地から聞こえるゴロゴロ手押し車と砲弾が運ばれてくる音。クラスメイトがだんだん減る。それでも間でのどかにトランプしたり豚を捕まえて食事する平和。塹壕で砲弾の中で待機する精神状態。日本も多少はこういう感じだったんじゃないだろうか。
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