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幻詩狩り の商品レビュー

3.5

15件のお客様レビュー

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2022/11/24

SFはこれまで「アルジャーノンに花束を」ぐらいしか読んだことがないが、珍しく読んでみた。 結構恐い。SFとは分かっていても、本当にあり得ないことなんだろうか、と思ってしまう。普段から言葉の力は思い知っている訳で。 シュルレアリスムという言葉は聞いたことあるようなないような知識レベ...

SFはこれまで「アルジャーノンに花束を」ぐらいしか読んだことがないが、珍しく読んでみた。 結構恐い。SFとは分かっていても、本当にあり得ないことなんだろうか、と思ってしまう。普段から言葉の力は思い知っている訳で。 シュルレアリスムという言葉は聞いたことあるようなないような知識レベルだが、結局何が現実なのかは捉え方次第なんだろうな。 とはいえ文字や言葉は目の前にあるわけで、それを介する限り、現実はそう遠くないところにあるんだろう。 ちなみに構成が独特。起承転結という言葉を借りれば、起結承転という感じ。先に結論がある。このせいで先を読みたくなる。

Posted byブクログ

2022/07/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

世界の破滅が詩によってもたらされていく物語。 指し示すものの性質を持ち合わせた詩と”幻語”。それをめぐる物語です。 主に描かれていくのは現代日本(昭和末ぐらい?)ではありますが、未来や過去も描かれていきます。 一貫してあるのは人々に作用する3つの詩。『異界』『鏡』『時の黄金』 それぞれその性質を宿した詩は人々に作用し、世界への破滅に繋がっていくのです。 ブルトンやシュルレアリスムの詩人たち、現代の編集者、そして未来が詩によって繋がっていきます。 SFとして心地よい着地も必見です。

Posted byブクログ

2022/02/22

「シュルレアリズム」と「アンドレ・ブルトン」共に始めて知りましたが、もう少し調べてみたいと感じました。 言葉が今以上の機能を将来発現させる可能性は、大いにあると思います。

Posted byブクログ

2022/02/09

タイトルに惹かれ手に取りました。シュルレアリスムの中心人物であるアンドレ・ブルトンが出会った天才詩人が書いた一遍の詩から物語が始まる。『時の黄金』と題されたその詩は麻薬のように読む者を異界へ誘い、狂わせる。やがて『時の黄金』は時を経て昭和末期の日本にも齎され、緊迫した事態へと展開...

タイトルに惹かれ手に取りました。シュルレアリスムの中心人物であるアンドレ・ブルトンが出会った天才詩人が書いた一遍の詩から物語が始まる。『時の黄金』と題されたその詩は麻薬のように読む者を異界へ誘い、狂わせる。やがて『時の黄金』は時を経て昭和末期の日本にも齎され、緊迫した事態へと展開してゆく――。様々なシュルレアリスト達が登場する場面がとても楽しかったです。言葉が持つ魔力に人が取り憑かれてゆく様はSFというよりは若干ホラーよりかもしれません。終盤は物語のスケールも大きくなり、ページを捲る手が止まりませんでした。物語の核となる『時の黄金』について、もう少し説明があっても良かったのかなとも感じました。

Posted byブクログ

2021/12/05

著者は、読者に与える影響をコントロールすることはできない。今の時代に、こんな創作物があったとしたら、誰も止められないのだろうな。他人に、世界に向けて公表する前に、全ての創作者はよく考えなくてはいけないのかも。これに危険はないのかどうか。

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2021/11/13

SFは普段あまり読まないけど、下北の古本屋でタイトルに惹かれて購入。 かなり衝撃的だった。面白かった。 言葉をこんなふうに使うという発想。 実在したらゾクゾクする。 SFだからなのかストーリーがメイン。 もっとストーリーどうこうというより、状況や文章のアンニュイな深さ、抽象的な...

SFは普段あまり読まないけど、下北の古本屋でタイトルに惹かれて購入。 かなり衝撃的だった。面白かった。 言葉をこんなふうに使うという発想。 実在したらゾクゾクする。 SFだからなのかストーリーがメイン。 もっとストーリーどうこうというより、状況や文章のアンニュイな深さ、抽象的な表現の幅、みたいなものを感じる文章の方が好きだから、物語が佳境に差し掛かっていくほど、読者をコントロールさせているような感覚になるけど、 それでも所々にある状況を説明する文章がグサッと刺さったりして、読んでいてなかなか面白かった。 言葉の可能性を感じさせる物語は、本を読むってまだまだ新しい発見をくれるなぁと改めて思った。

Posted byブクログ

2021/11/04

ブルトン以下、デュシャンやアシール・ゴーギーと言ったシュルレアリズム界の有名人がわらわらと出てくるパリ=アメリカ編が楽しい。日本編は作者の弁によると、媒体を意識したとのことだが、安手のバイオレンスノベルを思わせるところがあって、あまり買えない。メインのアイデアはポストモダン以降の...

ブルトン以下、デュシャンやアシール・ゴーギーと言ったシュルレアリズム界の有名人がわらわらと出てくるパリ=アメリカ編が楽しい。日本編は作者の弁によると、媒体を意識したとのことだが、安手のバイオレンスノベルを思わせるところがあって、あまり買えない。メインのアイデアはポストモダン以降の言語観を考えると、ある意味で当たり前の発想で、今同じアイデアを扱うなら、もう少しソフィスティケートされるかな、という気がする。だけれども、それはオリジナルのすごみか。

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2019/05/13

これまでに読んだ日本のSF小説の中で一番面白かった。言葉の持つ魔力にフォーカスして、異なる時間軸の物語が次々と展開されていく。 物語は80年代の日本パートと、40年代のNY・パリを舞台としたパートが主軸になっている。作者が意識しているのか、舞台が海外に切り替わってからの描写はま...

これまでに読んだ日本のSF小説の中で一番面白かった。言葉の持つ魔力にフォーカスして、異なる時間軸の物語が次々と展開されていく。 物語は80年代の日本パートと、40年代のNY・パリを舞台としたパートが主軸になっている。作者が意識しているのか、舞台が海外に切り替わってからの描写はまるで海外小説の名翻訳を読んでいるかのような独特な文体に感じられた。 読んだだけで麻薬のように人を惹きつける詩を巡った壮大なストーリーの鍵になるのは「シュルレアリスム」。しかし芸術に疎い自分でもスラスラ読めてしまったから、人を選ばない名作だと思う。 「華氏451度」が好きな人ならば迷わず読むことをお勧めする。

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2018/06/05

 現代から過去、未来と時間がすらりとわかっていく。登場人物も場所も、リレーのように変わっていく。とある文書が生まれて消えるまでの物語だが、その作品には人類の未来を左右する凶暴な力があるのだ。  特に中盤から後半を占める現代(少しさかのぼるが)日本編は、ある種企業小説的なタッチで...

 現代から過去、未来と時間がすらりとわかっていく。登場人物も場所も、リレーのように変わっていく。とある文書が生まれて消えるまでの物語だが、その作品には人類の未来を左右する凶暴な力があるのだ。  特に中盤から後半を占める現代(少しさかのぼるが)日本編は、ある種企業小説的なタッチで進むけれど、登場人物がなにも知らずに爆弾をもてあそんでいるようで、むずむずする感じがしておもしろかった。  とってもおもしろく、はらはらしながら読んだけど、正直ラストがちょっと期待はずれ。まあ、それしかないだろうって終わり方ではあるんだけど、物語の必然と言うよりも、約束した長さになったからここで終わる、あるいは語るべきエピソードがつきたからここで終わる、という感じが少しだけした。  それにしても、まだまだおもしろい物語はたくさんあるんだなというのが実感。ずいぶん前に買かれた作品なのに。

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2014/11/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

[ 内容 ] 1948年。 戦後のパリで、シュルレアリスムの巨星アンドレ・ブルトンが再会を約した、名もない若き天才。 彼の創りだす詩は麻薬にも似て、人間を異界に導く途方もない力をそなえていた…。 時を経て、その詩が昭和末期の日本で翻訳される。 そして、ひとりまたひとりと、読む者たちは詩に冒されていく。 言葉の持つ魔力を描いて読者を翻弄する、川又言語SFの粋。 日本SF大賞受賞。 [ 目次 ] [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]

Posted byブクログ