なぜ無責任な建築と都市をつくる社会が続くのか の商品レビュー
なぜ無責任な建築と都市をつくる社会が続くのか。中崎隆司先生の著書。都心への一極集中と地方の空洞化の問題はとても深刻であると思います。無責任だとか自分勝手だとか非難したり不平不満をぶつけたりしても何も解決しないのだから、ひとりひとりが真剣に考えて意見を言うことしかないのかな。
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「なぜ」と問いかけた以上、~からであると結論がくるのは当然のことだが、本書ではそのような答えや一定の結論を見つけることはできない。あるいはこの「なぜ」は「なぜなんだ!」という怒りの表現だったのかもしれない。 筆者はあとがきで「技術は進歩し、社会環境は絶えず変化する。完全なものなど作れないという視点が必要だ。変化に対応した修正がしやすい体制を作るということだ。」という。確かに、建築・都市計画分野の国の政策は根本的に変えられることなく、一部の要素を変更しているにすぎなかったかもしれない。時代に合わなくなった法律が建築の可能性を阻害しているかもしれない。では一体何がいけないのか、変えるべきは何か。問題を書き散らすのではなく、この点についてより深い考察が必要。そう簡単な話でもないですね。
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いいお題が後半に出てくる。 「ゆっくり歩けるような環境を整えると地域全体は潤うようになる」p101 「スポーツがコミュニティをつくる」p163 全文を人と身体性の考え方で通して書いていただけると分かり易かったかも。 18項の見出しが、それぞれが明確な疑問になっていないように感じた。 本文でなぜに十分答えていないように読めた。 「狭小住宅の社会的,文化的な意味があるならばそれを聞かせてもらいたい」p22 とのことなので、著者の見出しに沿って何点か記録する。 1 「「個」なくして「公」はない」p.15であれば、狭い地所しか持っていない個がいれば、狭小住宅は必然。集合住宅を強要するのは公の押しつけ。 2 「夢を託されなくなった建築」p29ではなく、狭小住宅は、こんな狭いところに自分の夢の家を立てたいという夢を託されている。 3「日本の均質化を進める」p40ではなく、風呂重視,トイレ重視,玄関重視,寝室重視,居間重視,台所重視など、千差万別である。 出来合いの箱を入れるだけの均質化した部品では狭小住宅は創れないかも。 建築家が芸術家でないと、尊敬には値しない。 都市設計は、芸術家のそれぞれのばらばらな仕事に対して, 枠を嵌めることにある。 双方が最大限の札を出し合わない限り,一方的に終わる。 「無責任な建築と都市をつくる社会が続」いていると仮定したら、芸術的な建築家がいないからではないのか。 人を惹付ける力があれば、無責任なことはしないのでは。 一つ一つが現象の記述で、骨がみあたらないような気がした。 「ということになる」p59 なんで? 「見ていると,,,見えてくる」p59 なんとなく表現が不可思議かも。 「その手法」「その結果」「そのようなこと」「そうすることで」p59 より具体的に記述すると分かり易い。 気にし出すと切りがない。
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建築の設計に携わっている方は「はじめに」の数ページだけでも、もっと欲を言えば第1章目だけでも読んで見て欲しい、と思った一冊です。 実は著者は、「はじめに」とそれに続く第1章で、「狭小住宅に建築家の未来はない」と言い切る程、建築の設計に関わる人間と、近年のコマーシャリズムに対する...
建築の設計に携わっている方は「はじめに」の数ページだけでも、もっと欲を言えば第1章目だけでも読んで見て欲しい、と思った一冊です。 実は著者は、「はじめに」とそれに続く第1章で、「狭小住宅に建築家の未来はない」と言い切る程、建築の設計に関わる人間と、近年のコマーシャリズムに対する痛烈な批判をしています。 でもこの本は、単純な批判の書ではありません。 それどころか著者は一貫して建築家の持つ独創性を高く評価しています。 巻末の著者略歴には「生活環境プロデューサー・建築ジャーナリスト」とあります。建築専門出版社の彰国社の本としては珍しく、ビジネス書・経済書的なテイストになっています。 それはこの本が、国の政策(特に小泉構造改革)と地方行政の現状を具体的に織り込みながら、著者が近年「生活環境プロデューサー・建築ジャーナリスト」として関ってきた仕事を中心に、今後建築と都市がどのようにあるべきかを具体的に書いているからだと思います。後半が少し冗長になっているのが残念ですが。 具体的であるからこそ問題意識が高い、問題意識が高いからこそ歯に衣着せぬ物言いになる、ということでしょう。 難解な建築論もいいけれど、リアルな言葉で書かれた本は、日頃自分が直面している問題を客観的に捉えて見せてくれるのではないでしょうか?
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履歴をみる限り、著者は体系的に建築学を学んでいない。にもかかわらず建築ジャーナリストを名乗っている。つまり、視点が違う。地方交付税を通じての地方の日本化という考え方には納得。 狭小住宅を作りたがる施主と、それにのっかって嬉々としてる建築家を「建築家と称している人」と言ってのけ...
履歴をみる限り、著者は体系的に建築学を学んでいない。にもかかわらず建築ジャーナリストを名乗っている。つまり、視点が違う。地方交付税を通じての地方の日本化という考え方には納得。 狭小住宅を作りたがる施主と、それにのっかって嬉々としてる建築家を「建築家と称している人」と言ってのける。こじんまりとしている狭小住宅は作品性があって、良い感じに見えるけど、実のところは密集市街地を温存させる厄介者だ。超ミニ開発ぐらいしか仕事がないって事は重々承知しているだろうけど、それでも敢えてする建築家批判はけっこう力強い。 建築と都市は連続しているはずなのに、建築家は都市からは完全に疎外されている。 建築家の職能とは構想力と創造性だ。一方の不幸はチンケな狭小住宅ではその職能を十分に発揮できていない事。そしてもう一方の不幸はその職能を十分に発揮できるはずの都市というスケールでも、モロモロの事情でその職能を十分に発揮できていない事。 建築を生業にしている人、都市は真の意味での「建築家」を必要としています。がんばってください。
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中崎隆司 著:社会学部卒業 人の流れをつくりだす建築が必要、などの文章は目にタコだが、 「優れた人材が豊富な分野の一つが建築であると思っている」など、建築家の 職能を認めている方。 地域再生マネージャーとして、行政の観光課の公務員に呼ばれるも、 クルマでの地域見学、スタッフが居眠...
中崎隆司 著:社会学部卒業 人の流れをつくりだす建築が必要、などの文章は目にタコだが、 「優れた人材が豊富な分野の一つが建築であると思っている」など、建築家の 職能を認めている方。 地域再生マネージャーとして、行政の観光課の公務員に呼ばれるも、 クルマでの地域見学、スタッフが居眠りするなど、呆れた面や コーディネータとプロデューサーの必要性を訴える。 行政やデベロッパーに、建築家の本を読む前に、読んでもらいたい本。
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見事なまでに数字やデータを使わずに、都市工学を論じている。建築家の責任やいろいろな政策の問題についても辛口で斬りすてている。 とにかく読んでみて、新しい価値観をみつけるヒントを与えてくれる。
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