サロメ後継 の商品レビュー

早瀬乱【著】

2011/08/20

1999年、東京のとある産業会館で、切断された人間の手が入った箱が発見される。その手には指が一本もなかった。しかも警察による調査の結果、その指はどれも異なる時期に切断されたらしい。
調査に当たった刑事・井出川は、発見現場の産業会館の一室で会社説明会を行っていた「約束の地」という会社を調べるうち、「約束の地」がかつてリストカットを行っていた女性たちから成る会社であることを知り・・・？というような話。
すごいトリックかすごく狂った人が出てくるのかと思いきや、なんかオカルト寄りというか、メフィスト賞的というか。
「切断部位を介して意志を周囲に伝播できる」という大前提がすんなり飲み込めれば面白い作品だと思うけど、そこに乗れないと取り残される感じ。

2011/05/06

サロメは好きなお話の一つで、つい読んでしまったのですが、その解釈の一つとしてのミステリーでした。
やっぱり、心理トリックではあるのだけれど、文章を読んでいると理解しやすく、特に欲望は理性を簡単に超える、生き物としての性質をうまく利用した表現で「何故そんなことを考えられるのか」とかいう理屈を一気に納得させてくれました。
不思議な力、都市伝説などは、一般には噂でしかなく、こんな物語は幻想でしかない。実際こんな人たちが世界を動かしているのかもしれないと思ったとき、自分の存在意義が意味なく消失することに気づかせてくれます。

2010/01/24

ホラーサスペンス。「欲望は伝染する」……これってすごく怖い。まあここまで極端なのはないにしろ、「群集心理」ってそれだよね？　「約束の地」でのサクラを使った商法なんてまさにそれだし、こんなの現実でもあるだろうし。だからこそ、「それは誰の欲望？」と問いかけてみると、とんでもなくぞくっとしてしまう言葉。
「サロメ」がモチーフにされてるってのも綺麗だけど、やはりぞくりとする話。ストーリーとしては、本来後継されるのは○○○のはずだけど、タイトルにサロメを使ってる部分も巧いなあ。

2009/10/04

ミステリー的要素も含んだホラー。ホラーといっても怖い話ではない。話の落とし方は上手で好感が持てる。前作の「三年坂 火の夢」よりよかったんじゃないかな？

2011/09/07

　ホラーというよりもサスペンス？同じ事件を違う角度から見ると、こうも違うのかと、構成の妙に舌を巻いた。真相への迫り方、見せ方が巧い。　結果的にタイトルどおり「サロメ継承」なお話で（というか装画のまんま！）、個人的にはこれから先の物語が、ものすごく気になる。っていうか、物語そのものが長すぎるほどに長い前振りで、本当の物語はラストシーンのその先から始まる気がした。