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家守 の商品レビュー

3.6

39件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    21

  3. 3つ

    12

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    1

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2010/03/11

家をテーマにした短編ミステリー集。 事実に見え隠れする「人の恐ろしさ」にぞくぞくです。 ホラーの味付けが程よい。

Posted byブクログ

2010/01/06

 佳作が多いなか星を4つにしたのは、「埴生の宿」という作品がすごくおもしろかったからだ。家に関する短編集をファンタジー色を盛り込んだミステリで見せ、さらにこれだけの彩りを見せる歌野晶午という作家もすばらしいが、この一冊による大きな発見は、家族ほどエゴイズムが表面化する関係はないの...

 佳作が多いなか星を4つにしたのは、「埴生の宿」という作品がすごくおもしろかったからだ。家に関する短編集をファンタジー色を盛り込んだミステリで見せ、さらにこれだけの彩りを見せる歌野晶午という作家もすばらしいが、この一冊による大きな発見は、家族ほどエゴイズムが表面化する関係はないのだということだった。  都会生まれ都会育ちで、しかも自分の家とは没交渉な身としてはよくわからないのだが、いま血縁とはどれだけの力を持っているのだろう。いや、そんな身である自分でもわずらわしさを感じるのだから、きっと血縁とはとても強力なものなのだろう。大人になって、親が一人の人間でしかないとわかったとしても、血縁信仰はいまだ根強い。ただしそこには、不文律であるからこその強大なエゴイズムが働く。「なぜわからないの、血がつながっているのに」なんて使い古された言葉は、いまでもきっと横行しているのだろう。人間と人間の関係は、愛情も同情も憎しみさえも含めた情の上にしか成り立たないというのに。 「埴生の宿」は、惚けてしまった父親を家に閉じ込め、彼のある悲哀を解消するために息子役を演じるバイトを雇うことになった男性の物語だ。その家はいったいどこで、なぜそんなバイトまで依頼しなくてはならなかったのか。そしてなぜ、青年は謎の死を遂げるのか。トリックの裏に隠されたのは、血縁だからこその憶測に基づいたエゴイズム、いまの血縁を守るためのエゴイズム、自分自身のためのエゴイズムである。  殺人は、いや人間のどの行為もエゴイズムの結果といってしまうのはわけがない。しかし、身近であればあるほど働くエゴイズムの強さは、恐ろしいほどに大きいのだ。

Posted byブクログ

2009/12/29

「家」テーマのミステリ短編集。タイトルどおりに家を守る者の物語だったり、家に脅かされる者の物語だったり。どれもこれも捻りがあって面白い。一概に「家」といっても建物としての「家」だけとは限らない、そんな点でもバラエティに富んでいる。 ミステリとしての仕掛けはやはり表題作が良いかな。...

「家」テーマのミステリ短編集。タイトルどおりに家を守る者の物語だったり、家に脅かされる者の物語だったり。どれもこれも捻りがあって面白い。一概に「家」といっても建物としての「家」だけとは限らない、そんな点でもバラエティに富んでいる。 ミステリとしての仕掛けはやはり表題作が良いかな。こういう趣向、何度読んでも騙されるんだよなあ、と舌を巻いてしまった。「転居先不明」もけっこう好み。こういうオチ、好きだなあ。

Posted byブクログ

2009/10/07

「家」を題材にした、五つの短編集です。 「人形師の家で」 小学生の頃住んでいた街に何十年ぶりに帰ってきた。当時の面影は、なく過疎化が進む荒廃の地に見える。小学生の頃の同級生の車で向かう所は、当時三人で遊びに行った人形師が住んでた洋館だった。三人の内一人は、その頃行方不明に...

「家」を題材にした、五つの短編集です。 「人形師の家で」 小学生の頃住んでいた街に何十年ぶりに帰ってきた。当時の面影は、なく過疎化が進む荒廃の地に見える。小学生の頃の同級生の車で向かう所は、当時三人で遊びに行った人形師が住んでた洋館だった。三人の内一人は、その頃行方不明になってた・・・・。 「家守」 家の中で窒息死をした死体が見つかった。夜勤から帰ってきた旦那が家に入れずに、消防を呼んでチェーンを切って中に入ると妻が死んでいた。運が悪くナイトキャップが顔を覆い窒息したように見えたのだが・・・。完全なる密室の状態。事故だと思われたのだが・・・。 「埴生の宿」 公園で、無駄な時間を過ごしてたら、男に声を掛けられた。日給5万の4日間のアルバイトが舞い込んできた。内容は、老人の家からでずに痴呆の老人の相手をするだけ。彼の容姿」が若い頃の弟と似てる為だった。彼は、無職で金に困っていたので依頼を引き受ける。しかし事件がおきてしまた・・・。 「鄙」 あまりに交通の便が悪いために孤立してる集落には昔の名残が残っていた。観光地でもない集落には、共同の温泉があった。この温泉を求めて、二人はやって来たのだがその集落で殺人が起きた。家の中には鍵があり密室状態。死体は吊るされていたが、別の後があり死んでから吊るされたという。集落でおきたこの事件の真相とは・・・。 「転移先不明」 妻は、誰かに見られていると、夫に訴えた。九州から東京の格安の物件を手に入れて移ってきたのだが・・・。ある日、夫から見せられたのはある事件の記事の事だった。以前この家では、四人の死体がでた事件があったと言うのだが・・・。 以上5つのミステリーです。ミステリーの出来は・・・さすが歌野晶午と、思わず唸るいい作品です。短い話なのに充実してます。ミステリーは、やはりこうでなくては・・・。 ちなみに、カナがないと題名が読めなかったです・・・

Posted byブクログ

2011/04/25

・「who done it?」、「how done it?」ミステリー。 ・5短編全てがしっかりとした内容で、読み応え満点でした。 ・ナゾ解きだけではなく、背筋がゾクリと寒く愉しさも味わるかと。

Posted byブクログ

2009/10/07

特別派手な話があるというわけではないけれど、さすがに手馴れたかんじがして、どれもそれぞれ味があって安心して読める。「家」に絡む五つの短編集。建物としての家というより、概念としての家。人が集まればそこに「家」ができ、そこに狂気が生まれる。お気に入りは四つ目の話「鄙」で、これは小さな...

特別派手な話があるというわけではないけれど、さすがに手馴れたかんじがして、どれもそれぞれ味があって安心して読める。「家」に絡む五つの短編集。建物としての家というより、概念としての家。人が集まればそこに「家」ができ、そこに狂気が生まれる。お気に入りは四つ目の話「鄙」で、これは小さな村のコミュニティを1つの家と捉えての話で、地味だけど味わい深く感じた。表題作の「家守」は導入部分のミスリードが良かったし、最後のシメとしてブラックユーモアが利いている「転居作不明」も良かった。

Posted byブクログ

2009/10/04

「家」に籠もる人間の妄執を巧みな筆致で描く、という裏表紙の言葉に惹かれ購入。 氏の作品は初めてなんですが……。 どんでん返しの魅力…というか、怖さを堪能させれる作品でしたね。 家に帰るのがちょっと怖くなる、妄執の五作品、そっと扉を開けて覗いてみませんか?

Posted byブクログ

2009/10/04

家への妄執を共通テーマに描かれた表題作を含む短編集。 全体的にミステリーとしては少し物足りないが, どの作品も登場人物の心境が巧みに描かれていて楽しめる。 どちらかと言えば,後味の悪い作品が多いが, その後味の悪さが家への人間の妄執をうまく表している。 個人的には,「埴...

家への妄執を共通テーマに描かれた表題作を含む短編集。 全体的にミステリーとしては少し物足りないが, どの作品も登場人物の心境が巧みに描かれていて楽しめる。 どちらかと言えば,後味の悪い作品が多いが, その後味の悪さが家への人間の妄執をうまく表している。 個人的には,「埴生の宿」,「転居先不明」が良かった。

Posted byブクログ

2009/10/07

5つの短編集からなる作品。全ての作品に『家』が深く関わっている。5つの作品とも完成度が高くトリックもよく練られていると思う。 どれが良かったかは甲乙つけがたいが敢えて選ぶなら『家守』と『転居先不明』 『家守』は導入部分の描写が巧い。最後まで読んで、改めて導入部を読むとああ〜、...

5つの短編集からなる作品。全ての作品に『家』が深く関わっている。5つの作品とも完成度が高くトリックもよく練られていると思う。 どれが良かったかは甲乙つけがたいが敢えて選ぶなら『家守』と『転居先不明』 『家守』は導入部分の描写が巧い。最後まで読んで、改めて導入部を読むとああ〜、そういうことか、と唸らされる。 『転居先不明』はちょっとブラックで捻りが効いている。ありきたりな謎解きとはちょっと違うラストが良かった。

Posted byブクログ

2009/10/04

5つのストーリーが盛り込まれた短編集です。 それらの話に共通するキーワード。 それが「家に篭る」ということ。 彫刻家、家守、ボケ老人、山村、いわくつき物件 「閉鎖的な環境」にスポットをあてた奇妙な事件簿。

Posted byブクログ