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チャーリーとの旅 の商品レビュー

3.9

19件のお客様レビュー

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2011/07/06

 「二十日鼠と人間」「怒りの葡萄」「エデンの東」と、アメリカの深部を描いた作家が、すっかり有名になってからトラックでアメリカを知る旅に出る。いまと違い出会った人たちは彼が大作家だなんて知りません。だからこんな旅を思いついたのでしょう。しかもコミュニケーションツールとして愛犬まで用...

 「二十日鼠と人間」「怒りの葡萄」「エデンの東」と、アメリカの深部を描いた作家が、すっかり有名になってからトラックでアメリカを知る旅に出る。いまと違い出会った人たちは彼が大作家だなんて知りません。だからこんな旅を思いついたのでしょう。しかもコミュニケーションツールとして愛犬まで用意して。  旅に出たのは1960年の9月23日。アメリカ一周を終えニューヨークに戻ってきたのが12月5、6日。2ヶ月半にも満たない早足の旅ながら、その密度の濃さがアメリカの豊かさと複雑さを教えてくれます。  そんな彼が唯一長逗留したのがカリフォルニア州モントレー。スタインベックはこの土地の出身で、幼なじみだったジョニー・ガルシアと、彼が経営する酒場で再開します。ガルシアはスタインベックが東部へ行ったことが気に入らない。もどってこいと盛んに勧めますが、約一週間の滞在の後、彼はまた旅に。  このガルシアとのやりとりは、当時の西部と東部の意識の違いを浮き彫りにしていて興味深いものです。同じ自由でもアメリカの西と東ではずいぶん違うものなのだなあと。そんなガルシアの酒場があったのは市内のアルバラード通り(Alvarado Street)。残念ながらスタインベックとの再会の少しあとで、区画整理のために閉店。でもアルバラド通りの今の写真を見ると、いまも60年代の空気を感じることができます。陽光に満ちた花いっぱいの小径。いろんなエピソード満載の一冊だけれど、この一節がとてもリラックスして感じられて、私の憧れの場所となっています。

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2011/05/18

飼い犬にとっていちばん幸せな生活とは、飼い主と狩りをしながら暮らすこと、とあったのはスタンレー・コレンの本だったろうか。犬と旅する。これは愛犬家にとって憧れの旅のひとつだろう。 スタインベックは愛犬チャーリーを連れ、アメリカを巡る旅に出る。トラックを改造したロシナンテ号は、寝食も...

飼い犬にとっていちばん幸せな生活とは、飼い主と狩りをしながら暮らすこと、とあったのはスタンレー・コレンの本だったろうか。犬と旅する。これは愛犬家にとって憧れの旅のひとつだろう。 スタインベックは愛犬チャーリーを連れ、アメリカを巡る旅に出る。トラックを改造したロシナンテ号は、寝食もこなせる移動住居だ。

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2010/08/06

特別大きな事件が起こるわけではないが、不思議と頁が進む。 アメリカというものへの考察。 現代にも通ずるものがある。

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2009/10/04

旅は犬と一緒に。 スタインベック、読んだことないけど 素晴らしい紀行文を書く人だということはわかった。 荒涼としたアメリカの大地の旅なのに …なんかかわいらしいv

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2009/10/04

愛犬家として、スタンダードプードルのイラストにやられてしまい、購入。老境に差し掛かった「怒りの葡萄」のスタインベック(未読ですが…)が同じく老紳士の愛犬とともに、重装備のキャンピングカーでアメリカ全土を旅する話です。1960年代の話ですから、もう半世紀あまり前の話なのに、今現在問...

愛犬家として、スタンダードプードルのイラストにやられてしまい、購入。老境に差し掛かった「怒りの葡萄」のスタインベック(未読ですが…)が同じく老紳士の愛犬とともに、重装備のキャンピングカーでアメリカ全土を旅する話です。1960年代の話ですから、もう半世紀あまり前の話なのに、今現在問題となっているさまざまな事柄(差別、大量消費、疎外感…etc)の根っこがつまってます。 そして、それから半世紀たっても、確かにテクノロジーは進歩したかもしれないけれど、内面の問題に対しては誰もが手を拱いて見ているしかなかったのですね。それでもスタインベックのような大作家が警鐘を鳴らしてくれていたので、この程度で済んでいる、というべきなのか。 2007.11.22-2008.04.08

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2009/10/04

「エデンの東」「怒りの葡萄」の原作者として有名なスタインベックの旅行記である。彼は1968年に没しており、本書が書かれたのは今から40年以上前の1960年代だ。にもかかわらず本書には、現在の日本に生きる私にも深く共感できる部分が随所に登場する。キャンピングカーで全米を旅したスタイ...

「エデンの東」「怒りの葡萄」の原作者として有名なスタインベックの旅行記である。彼は1968年に没しており、本書が書かれたのは今から40年以上前の1960年代だ。にもかかわらず本書には、現在の日本に生きる私にも深く共感できる部分が随所に登場する。キャンピングカーで全米を旅したスタインベックは、テレビやラジオなどのメディアの影響で、アメリカ各地の方言や訛りが薄れてきたのを肌で感じ、憂いている。今私が暮らす日本のこの地方も、私が高校生だったころよりはるかに、この辺りの高校生は標準語というか東京に近い話し方をするようになったし、東京の女子高生の大人びた風貌に面食らった昔の私に比べたら、髪型やおしゃれもはるかに東京の女子高生に近い。60年代のアメリカが均質化していったように今の日本も確実に均質化に向かっている。国は違っても同じ傾向をたどるというのは非常に興味深く感じた。 途中車のタイヤがパンクしたり、飼い犬チャーリーが体調を壊したりといったトラブルに見舞われながらも、彼の旅はおおむね順調に進み、各地で様々な人間味あふれる人々とあたたかい交流が生まれ、アメリカの広大な大自然が登場する。読み進めながら、自分もこんな旅ができたらどんなに楽しいことだろうと思った。そしてこの旅はこうして心地よいムードを漂わせながら終わるものだとばかり予想していた。 ところがテキサスに入ったあたりから文章がガラリと変わる。故郷の太平洋岸の都市を除けば、それまでずっと「よその土地」の旅だったが、テキサスはスタインベックの妻の出身地であり、当然親戚や友人、知人もいる。彼らとの再会は折りしも感謝祭の季節とあいまって享楽的なばか騒ぎとなり、彼はそのばか騒ぎを詳細に述べることも避けるほどに辟易してしまう。やがて彼は、踏み絵でも踏むかのような気持ちでアメリカ深南部ニューオリンズへとたどりつく。そこでは凶暴かつ残酷な黒人排斥運動が行われており、スタインベックはその現場を、ある使命感を持って見物に行く。この場面は非常に臨場感をもってスピーディかつ詳細に描かれており、それまでのゆるやかで穏やかな文体はすっかりなりを潜めている。当然のように黒人を差別する地元の人間にたいして怒りをあらわにする場面もいくつか描かれ、一冊の本としては非常にアンバランスな展開となる。とはいえ本書はあらかじめ起承転結を設定したうえで書いたものではなく、あくまで旅行記なのだから、本としてのバランスを気にする必要はないのだろう。しかし単に旅行記ではくくれない重いものを感じる。彼の旅物語は、素朴で実直であたたかい人情を持ったアメリカとなんの疑いもなく人種差別を行うアメリカを表裏一体で示している。

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2009/10/04

完全に英文だけで本を読んだのはこの本と金融関係の数冊です。 学生の時、英語の授業でこれを毎週読まされたのです。 無差別に生徒に解釈とか、日本語の訳を質問する先生だったので、予習をしていかないといけなくて、 たいへんでした。

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2011/07/25

1960年代のアメリカ。スタインベックが愛犬のチャーリーを連れて、自動車でアメリカ中を旅をする。さすがに観察眼の鋭い人だな、と思わせる記述があちこちに出てくる。かなり面白く、お勧め。

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2011/08/08

愛犬とともにピックアップトラックの改造車でアメリカを旅した作者の旅行記。 作者の目で見た当時のアメリカが豊かな文章で著されている。 徹頭徹尾一人と1匹の旅ではないし、ときどきは宿にも泊まるし、お金に困るわけでもないし、そういう意味では不思議な旅だと思う。 古いアメリカに郷愁を持っ...

愛犬とともにピックアップトラックの改造車でアメリカを旅した作者の旅行記。 作者の目で見た当時のアメリカが豊かな文章で著されている。 徹頭徹尾一人と1匹の旅ではないし、ときどきは宿にも泊まるし、お金に困るわけでもないし、そういう意味では不思議な旅だと思う。 古いアメリカに郷愁を持っているわけではないので、旅の過程を描いた本編は今更特に評価する必要はないだろう。 それよりも旅好きの読書家には序文と最後の章を是非読んで欲しい。 旅に惹かれて止まない気持ちや、そのための言い訳、旅の終わりを知る際の感覚などをあまりにも的確に表現していて、それだけで胸が一杯になってしまうだろう。

Posted byブクログ