二十四の瞳 の商品レビュー
子供が子供のままでいることが出来ない戦争は改めて恐ろしく残酷なものだと思った。 妻として、母として、教師としてこの時代を生きる大石先生の真っ直ぐとした姿に心を打たれた。 戦中、世の中全体が混乱していて生活も苦しい中で、大石先生のように素直に物事を捉え考えることはとても難しいと思...
子供が子供のままでいることが出来ない戦争は改めて恐ろしく残酷なものだと思った。 妻として、母として、教師としてこの時代を生きる大石先生の真っ直ぐとした姿に心を打たれた。 戦中、世の中全体が混乱していて生活も苦しい中で、大石先生のように素直に物事を捉え考えることはとても難しいと思う。 戦中における児童たちの暮らしや文化についても知ることが出来た。 子供たちは素直で純粋な分、戦争までもを日常として受け入れていることがただただ悲しい。
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田舎の島のそのまた田舎の岬の分教場に赴任した大石先生と生徒たちが戦争や貧しさに影響を受けながら歳をとっていくのを描写した小説。 親でもあり先生でもあり静かに歳を重ねていく大石先生の視点を中心とした小説で、カテゴリとしては反戦小説にはなるが、生徒たちの生き生きとした成長がほのぼの...
田舎の島のそのまた田舎の岬の分教場に赴任した大石先生と生徒たちが戦争や貧しさに影響を受けながら歳をとっていくのを描写した小説。 親でもあり先生でもあり静かに歳を重ねていく大石先生の視点を中心とした小説で、カテゴリとしては反戦小説にはなるが、生徒たちの生き生きとした成長がほのぼのと描かれていたり、悲壮感ばかりが漂うような雰囲気とはなっていない。 最後の場面の同窓会は大団円というわけではないが、前を向いた感じでの終わりとなっていて良い。
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小学生も先生の絆は強いと思う。いつになっても先生の一言をずっと思い出す。 戦争に行くことに迷いや抵抗のない男子生徒が悲しく、先生の気持ちになってしまった。戦争は知らないけれど。 子供達の名前と特徴を覚え切らないまま進めてしまったので感動が薄かったかも。
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瀬戸内海べりの一寒村に、女子師範学校出の大石先生が赴任してきました。 担当する小学一年生は十二人。 それぞれ家庭の事情を抱えた生徒たちと、師弟関係を築いていきます。 第二次世界大戦の歴史の中に飲み込まれていく、教師と生徒たちの苦難や悲劇。 終戦後、四十になった大石先生は、再び教壇...
瀬戸内海べりの一寒村に、女子師範学校出の大石先生が赴任してきました。 担当する小学一年生は十二人。 それぞれ家庭の事情を抱えた生徒たちと、師弟関係を築いていきます。 第二次世界大戦の歴史の中に飲み込まれていく、教師と生徒たちの苦難や悲劇。 終戦後、四十になった大石先生は、再び教壇に。 昭和の戦前、終戦、その翌年までの18年間が描かれている、不朽の名作です。
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昭和初期の日本各地に沢山あった心の物語と言って良いだろう。 女学校卒の新米女(おなご)先生と12人の小学生との仲睦まじい学校生活にホッコリしながらも、当時の庶民の生活や雲行きが怪しくなる世相が描かれている。 戦争が拡大するにつれて瀬戸内の小さな村にも、その影響が浸透してくる。 貧...
昭和初期の日本各地に沢山あった心の物語と言って良いだろう。 女学校卒の新米女(おなご)先生と12人の小学生との仲睦まじい学校生活にホッコリしながらも、当時の庶民の生活や雲行きが怪しくなる世相が描かれている。 戦争が拡大するにつれて瀬戸内の小さな村にも、その影響が浸透してくる。 貧困、徴兵、赤狩り、食料不足が当時の日本の隅々までやってきて、悲しみが充満していた様子を大石先生の目線でつぶさに描かれている。 夫も教え子の男の子も戦争に送り出す女性の悲しみはいかばかりだろう。 後半は涙無しには読み進められなかった… この時代を生きた人々の子孫たる私達が読みついで行きたい作品だった 作中の小豆島弁が物語を一層色濃くした
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「不朽の名作」と裏表紙に記されているが、この小説は文学的価値が高いというよりは戦前から戦後に至るまでの当時の日本の生活や雰囲気、人々の思想などがリアルに描かれた歴史的資料としての価値が高い作品だと感じた。 私は、新人教師とその子ども達との心の触れ合いというのが主として書かれた作品だと思ってこの本を読み始めたため、主人公の新人教師である大石先生が作中、怪我や出産で教壇から離れる期間があること、授業を行っている場面がかなり少ないことなどから、「思っていたのと違った……」というのが正直な感想だった。 話が面白いか、登場人物の造形が素晴らしいか、文章そのものは優れているか、といった点では首を傾げてしまうが戦争の悲惨さや作者の抱く戦争に対する感情といったものはひしひしと伝わってくる作品だった。 なお、似たような設定であれば『兎の眼(灰谷健次郎)』の前半部の方が作品の出来としては圧倒的に高いため、新人教師と子ども達の心の触れ合いをテーマにした作品を読みたい方は、そちらをオススメします。 (両作品のテーマや主人公である新人教師の設定が類似していること、プロレタリア文学の要素を含んでいることなどから、おそらく『兎の眼』を執筆するにあたって、作者は『二十四の瞳』を参考にしていると思われる)
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戦前期の日本の生活がわかる小説。この物語を読むと、庶民の生活水準が現在と比べて低かったと想像できる。それは物資の欠如はもちろんのこと、家庭環境の影響が、現代と比べて大きく、そのせいで自分の夢を諦めて、若いうちに家庭、さらに国家に貢献するように働くのである。そのため現代人がこの本...
戦前期の日本の生活がわかる小説。この物語を読むと、庶民の生活水準が現在と比べて低かったと想像できる。それは物資の欠如はもちろんのこと、家庭環境の影響が、現代と比べて大きく、そのせいで自分の夢を諦めて、若いうちに家庭、さらに国家に貢献するように働くのである。そのため現代人がこの本を読むと、自分たちが昔の人たちよりも、いかに裕福でかつ自由気ままに生活を送っていられるのかと感じるのではないだろうか。 しかしその一方で、たとえ全体の生活が貧しかったとしても、近隣に住んでいる人々の交流から、お互いを心配したり助け合ったりと、いわゆる共助、協働の精神がこの物語から読み取れる。このように本作は、昔と現在の日本の生活に注目し、一体何を得て何を失ってしまったのかを考える題材として適切だと思われる。
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タイトルこそ知っていたが読んだことがない本だった。こういう話だったんだな。戦争そのものよりも、生活に忍び寄る貧困による悲劇の方が印象に残る。読んでよかった。
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ドラマや映画等であまりにも有名ですが、原作を読むのは初めて。 叙情的な文章の中に、戦争に対する悲惨さ、理不尽さ、残酷さ、悲しさが余すところなく表現されていて、不朽の名作と言われる所以がわかった。
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