青雲はるかに(上) の商品レビュー
主人公范雎の大望と壮絶な生きざま。折々、人生に対する示唆として、なるほどと思うところあり。下巻での展開が楽しみ。2024.2.13
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<上下巻を通してのレビュー> 中国・戦国時代後期、貧家の三男に生まれた范雎は、苦労して学問を身につけ、密かに待望を抱きつつ、諸国を巡っていた。 その途上、謎の佳人原声に逢う。 やがて故国の魏で仕官した彼は、仕事先の斉で襄王に謁見したことが主人の思わぬ誤解を招き、極刑に処せられる。 奇跡的に命拾いした范雎は、心に復讐を誓いつつ、潜伏する・・・・・・ 「秦の名宰相」范雎(張祿)の苦難の時代を、雄大なスケールで情感豊かに描く。 諸国を巡っていたころの范雎はあまり好きになれず、失意のうちに故国に帰国して須賀に仕え、極刑から奇跡的に生き延びたことによって人格に深みが増していったのですね。 「復讐」をずっと心に秘め、かつ自分の野望を実現させるために秦に赴き、昭襄王の下で誠実かつ綿密に仕事こなすことによって王から深い信頼を寄せられ、秦という国の弱点を見事に克服していったのでしょう。 戦争に勝っても領地をあまり広げることの出来なかった秦が、范雎の作戦をもとにした戦争に勝ち、順調に領地を広げて中国統一に一歩近づいたと言えなくもありません。 危機にあったときに助けてくれた人には必ずお礼をし、復讐の気持ちは決して忘れない。 これは私も忘れたくない思いですね。 惜しむらくは、王稽と鄭安平を安易に昭襄王に推薦しなければ、もっと范雎の活躍が見れたのになぁ・・・・・というところです。
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秦の宰相ハンショの物語。昭襄王の宰相となった男の物語で、拷問を受けて便所で半殺しにされた魏の宰相に復讐の話。逃亡劇は丁寧だったのだけれど、宰相になったところは意外にあっさり描かれていて食いたりなさが残る。
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近攻遠交策で有名な范雎が主役です。前半(上巻)は范雎が魏で辱めを受け、後半(下巻)は報復する話が中心になります。 しかし、范雎については個人的にはあまり好きではありません。昭襄王の意向とはいえ范雎が魏冄と白起を排斥したのは、秦の中華統一を遅らせたのではないかなという気がします。魏...
近攻遠交策で有名な范雎が主役です。前半(上巻)は范雎が魏で辱めを受け、後半(下巻)は報復する話が中心になります。 しかし、范雎については個人的にはあまり好きではありません。昭襄王の意向とはいえ范雎が魏冄と白起を排斥したのは、秦の中華統一を遅らせたのではないかなという気がします。魏冄は個人の権益を優先したのですが、白起については忠実な将軍としてひたすら秦の領土を広げようとしていたと評価していて、個人的な恨みを優先した范雎よりも白起のほうが好きです。 この本では後半は魏冄(ぎぜん)、白起(はくき)の活躍により秦が中華統一に動き出すころの話も読めるのでその点は面白かったです。
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范雎という秦の始皇帝のちょっと前の宰相が主人公で、復讐譚だけども読後は痛快さも後味の悪さも、そのどちらでもない。人間の執念の強さとともに、限界も感じつつ、それでもやりきった爽やかさとやりきれなかった半端さからくるちっぽけさの両方が感じられる終わり方だと思う。ただ、やはり復讐者に、...
范雎という秦の始皇帝のちょっと前の宰相が主人公で、復讐譚だけども読後は痛快さも後味の悪さも、そのどちらでもない。人間の執念の強さとともに、限界も感じつつ、それでもやりきった爽やかさとやりきれなかった半端さからくるちっぽけさの両方が感じられる終わり方だと思う。ただ、やはり復讐者に、復讐してすっきり!大団円!は与えないのが、宮城谷作品の中のまっとうな因果応報だと思う。
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前270年頃。魏の人で字は叔。晋の将軍士会の末裔。秦の宰相となり応侯とも言う。遠交近攻の策により秦の中国統一の足がかりを築きました。范雎の次の次に秦の宰相となる呂不韋もこの策には感心したほどです。 范雎は,魏の宰相である魏斉に冤罪をきせられて殺されかけますが,九死に一生を得て復讐...
前270年頃。魏の人で字は叔。晋の将軍士会の末裔。秦の宰相となり応侯とも言う。遠交近攻の策により秦の中国統一の足がかりを築きました。范雎の次の次に秦の宰相となる呂不韋もこの策には感心したほどです。 范雎は,魏の宰相である魏斉に冤罪をきせられて殺されかけますが,九死に一生を得て復讐することを糧として研鑽し,ついに秦の宰相にのぼり,魏斉の敗北により復讐劇は完結します。ストーリーは暗く聞こえますが,范雎の純粋さと弟子の隹研の明晰さから救われた感があります。 『楚王である頃襄王に楚王の元部下の荘辛が言った。兔を見て犬を顧みるも,いまだ遅しとなさず。羊を失って牢を補うもいまだ遅しとなさず。と。狩猟の時とは限らないが,兔をみつけてから犬を探しに行ってもおそいわけではない。檻の破れ目から羊が逃げ出したことに気付いてから檻を補修しても遅いわけではない。また兔を見つけるかもしれず,ほかの羊を逃がさないことにもなる。愚劣なのは,もうて遅れであると諦めて何もしないことではないのか。楚の首都を落とされ往時の楚の中心を秦に奪われたといって茫然自失としていては楚の領土のうちまだ秦の手が届いていない淮北の地さえ失ってしまうであろうと。』この言葉が好きだ。
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まだ宮城谷節が固まりきってなくて新鮮だった 恋愛小説としても歴史小説としても読みごたえがあると思う
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