源氏物語(巻6) の商品レビュー
源氏の眩いばかりの栄華と見え隠れする年齢からくる焦りというか翳り(なのかな?) 巻五までになかった生々しい感情表現? (オリジナルが読めないので、紫式部によるものなのか瀬戸内寂聴によるものなの私にはわからない。たぶん両方) 生々しい感情が伝わってくるので、これまでの6冊の中で1番...
源氏の眩いばかりの栄華と見え隠れする年齢からくる焦りというか翳り(なのかな?) 巻五までになかった生々しい感情表現? (オリジナルが読めないので、紫式部によるものなのか瀬戸内寂聴によるものなの私にはわからない。たぶん両方) 生々しい感情が伝わってくるので、これまでの6冊の中で1番読み応えありました。 古文なら私には絶対に読めないと思うのですが、現代語訳が読みやすいので気楽に読んでいます。
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若菜(上・下)の2帖が収録.源氏最後の(という表現が現代からすると凄まじい力を持っているが…)妻である女三宮が登場し,将来の転落への布石が打たれる.本書の物語は,朱雀院の娘として何不自由なく甘やかされて育った彼女が,様々な生々しい人間関係の末,自身を客観視するに至る成長の過程でも...
若菜(上・下)の2帖が収録.源氏最後の(という表現が現代からすると凄まじい力を持っているが…)妻である女三宮が登場し,将来の転落への布石が打たれる.本書の物語は,朱雀院の娘として何不自由なく甘やかされて育った彼女が,様々な生々しい人間関係の末,自身を客観視するに至る成長の過程でもあり,やがて訪れる彼女の息子薫の懊悩に至る構図は,本書までで描かれる源氏という栄華を誇るパーフェクト超人の,世間,特に家族にもたらす負の側面を描く上で,紫式部にとって無くてはならないプロットだったのだろう.瀬戸内源氏は,源氏物語未履修の方向けに敢えて表層的に淡々と描かれているが,物語のアクセントである和歌の現代語解釈は,登場人物達の心の機微に触れられる別な扉になっている.
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葵の上が倒れ、さらに柏木と女三の宮との密通に、苦悩が深まる源氏。しかし、藤壺の時に同じような事をやらかしましたよね、巡り巡って自分に降りかかるとは。しかし、柏木は源氏よりも繊細なのか、気が弱いのか、このピンチを脱出できそうもない…
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若菜の上下。今までで一番好きな巻かもしれない。 皇家から正妻が降嫁してきたことで、紫の上の不安定な立場が改めて顕在化し思い悩んだ末に死にかけてしまったり、しかもその正妻が寝盗られてしまったと色んなことが起きた帖だった。 若い頃の源氏が天皇の妻を寝盗ったことも重なるのが上手。
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巻六は、若菜上、若菜下。 ハァー。暗い。いつものように源氏を茶化したレビューが書けないではないか。 柏木がねえ…。かっこよかったはずなのに、ドジすぎたのよ。 源氏が39歳にもなって朱雀院から押し付けられた(と見せかけてまんざらでもなかった)愛娘、女三の宮に柏木がぞっこんで、女三の...
巻六は、若菜上、若菜下。 ハァー。暗い。いつものように源氏を茶化したレビューが書けないではないか。 柏木がねえ…。かっこよかったはずなのに、ドジすぎたのよ。 源氏が39歳にもなって朱雀院から押し付けられた(と見せかけてまんざらでもなかった)愛娘、女三の宮に柏木がぞっこんで、女三の宮に近づけないかわりに女三の宮が大事にしていた猫を手に入れて一緒に寝たり、女三の宮と結婚出来ないかわりにその姉の女二の宮と結婚したけれど「イマイチ」と思って大切にしなかったりだったけれど、とうとう、女三の宮の御簾に忍びこみ、怖がる女三の宮に訳の分からないことを口走ってそのまま犯してしまったのよ。源氏だってこういうことは若かりし頃よくしていたけれど、女の人のほうにも才覚があったし、源氏の罪が許せるほど源氏は光輝いていたから、読者には笑い話になったくらいだけれど、柏木と女三の宮の場合はただただ女三の宮はうぶで怖がりなだけで、柏木は他のことは何も見えないストーカーのようになってしまい、一度の過ちで二人共恐ろしくなって病気になってしまうのだ。しかも、その後、柏木は三の宮への気持ちをジクジクと具体的に書いた手紙を送り、それが源氏に見つかってしまったのだ。人に見られたら困るような内容を隠さずに手紙に書いた柏木、それを源氏の前から隠すことも出来なかった三の宮。こんな才覚の無い幼稚な二人に自分がしてやられたということと、妻を寝取られたということに腹が立つ源氏。しかし、そのことを他人に言えない。表向きは上品に何も知らないように見せかけておきながら、柏木を見る目が冷たい。柏木は源氏の目の前に出るのが辛くてますます病気が重くなる。 源氏って人の妻は寝取ってきたのに、取られる側になると、マジこんなに怖い人なんだ。 そして、三の宮が柏木の子を宿したことに気づき、ますます、三の宮のことが嫌になると同時に冷泉帝が自分と藤壺の中宮との過ちの子であることを父桐壺帝は知っておられたのかも…ということに気づき、今さらながら、恐ろしくなる。 うんうん、お父様は知っておられたのかもね。でもそれでも源氏のことを愛しておられたんだよ。だってお父様の桐壺帝は朱雀帝と性格が似ているから。そもそも朱雀帝は源氏に朧月夜を寝取られたという苦い経験があるのに、あろうことか、愛娘の三の宮を源氏の妻にしてほしいと朱雀帝から頼むのだ。いくら、年端がいかなくて頼り無い愛娘の行く末が心配で後見人になってくれる人が必要(自分は出家するから)といっても、自分とさほど歳の変わらない、かつての恋敵に一番可愛い娘をあげるだろうか?お人好しすぎる。だけど、それほど源氏は同性で兄弟の目から見てもスーパースターで、「娘の面倒を見てもらうにはあの方しかいない」という人だったのだ。結婚相手というより、親代わりになってもらったみたいだが。 藤壺と源氏の不義の子、冷泉帝が藤壺の死後はさほど暗い影も落とさず、目立たず、源氏は栄華を極め続けたと思っていたけれど、まさかこんな形で、お人好しの桐壺帝と朱雀院から復讐されるとは…。 今まで罪の深さに対して不気味なくらい栄華を極め、満月のように輝き続けていた源氏。源氏の回りの女性たちは、満ちたりているように見えて、実は大きく何が欠けていることに耐えている。一番大切にされているとはいえ、自分には実子がなく、正妻といえる身分でもなく、常に源氏の浮気に耐えている紫の上。明石の地で思いがけなく源氏に見初められたために、東宮妃となる子を産んだ明石の君は、表だった母親役は紫の上に取られ、自分はいつも影に回っている。それに、自分の幸せは娘の幸せを祈り生き別れた父親の犠牲の上にある。 源氏の回り人たちはどんどん出家していき、自分も出家したいが、ここまで、“光”の部分だけを極めた男をそう簡単に気楽な出家生活に向けさせてくれない。これからはその光全部を覆うような“影”を作らなくては、物語としては面白くない。ってとこかな?
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ここで源氏はいたいめにあう。最初あまり乗り気でなかった女三の宮との結婚を受け入れる。何人目の妻であろうか。しかし、病に伏せる紫の上のそばにいる間に、柏木に女三の宮をめとられてしまう。しかも、子どもまでできてしまう。そのことを、不用意にしまい忘れられた柏木からの手紙で知らされる。こ...
ここで源氏はいたいめにあう。最初あまり乗り気でなかった女三の宮との結婚を受け入れる。何人目の妻であろうか。しかし、病に伏せる紫の上のそばにいる間に、柏木に女三の宮をめとられてしまう。しかも、子どもまでできてしまう。そのことを、不用意にしまい忘れられた柏木からの手紙で知らされる。ここで、自分が藤壺に対してしたことを思い出す。桐壺院は知っていて知らぬふりをしていたのだろうか。源氏は柏木に対して「いけず」をする。しかしまあここでは女三の宮につく小侍従がこにくたらしい。ひょっとすると、こうした問題が起こることを見て楽しんでいたのかもしれない。いつの世にもそういう人はいる。柏木も柏木で、あれだけ嫌がられているのに、自分の思いだけでつきまとい、あげくのはてに源氏にばれたことを気に病んで死んでしまう。何とも情けない男だ。この巻で、いったいだれに感情移入ができようか。
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この帖を読まずして『源氏物語』は語れないんだそうな。六条の院という桃源郷を築き、40歳を迎える源氏は、いくら好色多情ったってもう新規開拓はなかろうと思いきや、とんでもない。
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若菜上・下巻のみで1冊という大変な長編。大河の趣は一気に悲劇へと進んでいきます。朱雀帝が愛娘・女三の宮の輿入れ相手を光源氏の君と決め、まだあどけない少女が源氏の君の第2の妻になるにあたっての紫の上の複雑な想い、そして源氏の息子・夕霧の大将、そして柏木の衛門督などがそれぞれに女三の...
若菜上・下巻のみで1冊という大変な長編。大河の趣は一気に悲劇へと進んでいきます。朱雀帝が愛娘・女三の宮の輿入れ相手を光源氏の君と決め、まだあどけない少女が源氏の君の第2の妻になるにあたっての紫の上の複雑な想い、そして源氏の息子・夕霧の大将、そして柏木の衛門督などがそれぞれに女三の宮への思いを秘めて、小説は緊張感を高めてくれます。源氏が催す音楽の夕べの音と光の描写の素晴らしさ、猫が逃げ出したことから女三の宮の姿が、男性たちに見られる場面、そして柏木が女三の宮への恋情から手紙を書き、源氏の君に見つかってしまう手に汗を握る臨場感・・・。その後の、源氏の君、柏木、女三の宮、そして紫の上のそれぞれの苦悩と柏木の死。柏木と夕霧の友情。ドラマティックで源氏物語の中でも最高の巻と言われる所以が納得できます。
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巻五を読み終えてから約1年半、ふたたび読み始めることにした。 巻六には、大長編の「若菜」上、下が収められている。 源氏は朱雀院の愛娘である女三の宮と結婚するが、まだ13、14歳の女三の宮の幼稚さに失望し、改めて紫の上のすばらしさを思い知る。 六条の院で蹴鞠の会があった日、夕霧...
巻五を読み終えてから約1年半、ふたたび読み始めることにした。 巻六には、大長編の「若菜」上、下が収められている。 源氏は朱雀院の愛娘である女三の宮と結婚するが、まだ13、14歳の女三の宮の幼稚さに失望し、改めて紫の上のすばらしさを思い知る。 六条の院で蹴鞠の会があった日、夕霧の大将と柏木の衛門の督が休んでいたときに、女三の宮の飼っていた猫が綱を御簾にひっかけてしまい、御簾がめくれ上がって、奥に立っていた女三の宮の姿を2人が垣間見る場面がある。 これがきっかけで柏木は女三の宮への恋心を抑えきれなくなり、そのときに見た猫を手に入れて抱いて寝るようになる。 ちょっと変人やけど、可愛らしい人やなと思った。 「しかし『源氏物語』も中盤になってきて正直退屈やなあ」と思い始めていたが、「若菜(下)」にはめくるめくドラマと怒濤の展開が用意されていた― 出家を望む紫の上を押しとどめるため、源氏が過去の女たちの性質や魅力、欠点をこまごまと話し、やはり紫の上は最も理想の女性だと称えたその夜に、彼女は病気になってしまう。 そして、「紫の上の息が絶えてしまった」という知らせが突然にもたらされる。 かわいそうな紫の上、まさに〈憂き世に何か久しかるべき〉。 ところが、それは物の怪のせいだったらしく、彼女は息を吹き返す。 そんなことがあるのか!?って感じだが、このあたりの平安人の感覚がなかなかおもしろいなと思った。 一方、源氏が二条で紫の上の看病をし、六条の院が手薄になっているのをいいことに、柏木は女三の宮のところへ押しかけて過ちを犯してしまう。 この一連の流れがすごすぎ! 紫式部って天才じゃないか? 偉い人が言っているからではなく、僕の実感として日本の歴史上最高の小説の1つだと思う。
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※このレビューにはネタバレを含みます
波乱の帖。 源氏の兄の朱雀院の娘である女三宮が、源氏の元に嫁いできた(こんなプレイボーイの弟に愛娘を託すなんて…)。晩年になって夫が新しい妻を迎えたことに紫の上は動転し(そりゃそうよね)、どんどん身体を壊していく。源氏は幼妻である女三宮に満足できずにいる(周囲の人はだいたいそうなると思ってたと思うよ)。 一方、かねてから女三宮に好意を寄せていた柏木は、仕方なく彼女の姉の女二宮と結婚している(かわいそうな姉…)。でも、ついに恋心を抑えきれなくなってストーカー行為の末、女三宮に子どもを宿してしまう(犯罪者!!!)。 もちろん子どもは源氏との子、ということになっているのだが、源氏も薄々事実に気づく(っていうか、昔同じようなこと、あなたもしたでしょ?)。柏木はなんてバカなことをしたのだろうと後悔し、こちらも身体を壊していく(本当にバカな男!!)。 と、突っ込みどころ満載のエキサイティングな一冊に仕上がっている。 源氏物語はこんなに長いのに、きちんと伏線が張られており、そこが物語に重厚感を出している。また、紫の上の感情の起伏の様子は現代の女性にも通じるところがあると思った。
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