モノレールねこ の商品レビュー
読んでると心地よくなる短編集//モノレール猫の首輪で文通す/ただ白きジグソーパズル犬が出た/ダメダメな叔父さんだから笑えてた/夢の城偽装結婚幽霊付き/また逢える黄昏ホテル同じ日に/あと一輪蘭枯れるまで続けるさ/ロクデナシ親父の息子の育ち方/お人好し一家見守るバルタンは。 ■簡単...
読んでると心地よくなる短編集//モノレール猫の首輪で文通す/ただ白きジグソーパズル犬が出た/ダメダメな叔父さんだから笑えてた/夢の城偽装結婚幽霊付き/また逢える黄昏ホテル同じ日に/あと一輪蘭枯れるまで続けるさ/ロクデナシ親父の息子の育ち方/お人好し一家見守るバルタンは。 ■簡単なメモ ピースは、多ければ多いほどいい。(p.37) つくづく、恐れとは信用しないことだと気づく。自分の周りの人たちを。そして誰より自分を。(p.74) そんなに負けるのは悪いことかなあ……(p.99) 時間はすべて、自分一人のものだ。(p.119) いびつであり得ない形をしているのに、奇妙に安定して、安らげる家。(p.147) 私も同じ向こう岸に渡る。私にとっては、ただそれだけのことだ。(p.151) 「子供なんて、命に代えて守るようなもんじゃないですよ」(p.211) 「お父さんのこと、何でもいいから一つ誉めてみて」(p.213) 常識と非常識が真っ向からぶつかった場合、しばしば常識の方が負けてしまうのは非常に理不尽なことである。(p.216)
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ブサカワ(?)猫の表紙にホイホイされて手に取った本書。 独立した八話が収録されている短編集です。 どの話も、日常の中の非日常が絶妙に描かれていて、それぞれの味わいが楽しめます。 ほっこりな雰囲気の中にも、人の心の闇だったり秘めた哀しみにも触れられていて、それが独特な読み心地につ...
ブサカワ(?)猫の表紙にホイホイされて手に取った本書。 独立した八話が収録されている短編集です。 どの話も、日常の中の非日常が絶妙に描かれていて、それぞれの味わいが楽しめます。 ほっこりな雰囲気の中にも、人の心の闇だったり秘めた哀しみにも触れられていて、それが独特な読み心地につながっているのかもしれないですね。 個人的には表題作の第一話「モノレールねこ」、第八話「バルタン最期の日」が好きでした。 前者は猫、後者はザリガニが登場するのですが、二話ともに切ない展開を経つつ、心温まるオチへの持って行き方が良かったです。 因みに、第三話「マイ・フーリッシュ・アンクル」に登場するダメ叔父と、第七話「ポトスの樹」に登場するダメ親父が“キャラ被りか?”と思う程両者甲乙つけがたいクズっぷりで、まぁ彼らにも彼らなりの事情があるのだよ…的なオチではあったのですが、なんだかそれで許されちゃうのっていいよなぁ・・と、ちょっと羨ましく思った次第です。
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表題作と、「ちょうちょう」以外は、家族をテーマにした短篇集で、一見、問題があるような人にしても、かつて過去に負った傷であったり、心の奥に仕舞い込んだ思いがあったりと、一筋縄ではいかない、人間の奥深さを丁寧に描いてあるところに、加納さんの温かな眼差しを感じました。 特に、「パズル...
表題作と、「ちょうちょう」以外は、家族をテーマにした短篇集で、一見、問題があるような人にしても、かつて過去に負った傷であったり、心の奥に仕舞い込んだ思いがあったりと、一筋縄ではいかない、人間の奥深さを丁寧に描いてあるところに、加納さんの温かな眼差しを感じました。 特に、「パズルの中の犬」と「ポトスの樹」は印象的で、「恐れとは信用しないこと」という言葉に、はっとさせられるものがありました。 また、「シンデレラのお城」や、「セイムタイム・ネクストイヤー」の、現実と虚構が入り乱れるような、当事者のみが知る心中の物語には、やや引いてしまう感覚もあったが、大事なのは、当人たちがそれで幸せだと実感するかどうかだと思い、その幸せを当人だけでなく、周りの人たちが共に築いていく様には、幸せの在り方を考えさせるものがありました。 それから、異色だったのが、「バルタン最期の日」で、ザリガニを擬人化させて、とある家族を見守る物語なのですが、バルタンのネーミングセンスや、母親のダジャレが飛び交う、加納さん特有のユーモラスな雰囲気が漂う中、実はその真意が、この短篇集で最も胸を打つものがあり、人って、こんな状況でも周りの人たちを思いやることができるんだなと、感動を覚えましたし、私の人生で初めてザリガニのことを愛しく思いました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
短編集。久しぶりに加納さんの書籍を手にしました。 どの作品もあたたかいのですが、「死」が描かれています。人間、生きているとあたりまえなんですが。どうも切り離して生活してしまう。みんな明るく楽しいだけの生活じゃないんだなあ。どこか夕暮れがあって闇があって。日々を繰り返していくんだよなと読後感じました。 モノレールねこ…デブ猫をとおしてやりとりをします。ねこの死でやりとりは終わってしまうけれど…。ねこにプレゼントをもらって気分に。さて、どうなるのかな。 パズルの中の犬。待つことが嫌いな私。待つことの寂しさを埋めるためにパズルをする。でも最後はあたたかな「戌の日」を待つ楽しみが。母の苦労や思いにあらためて気づく主人公。 マイ・フーリッシュ・アンクル 叔父さんと遺された私。たった一人の家族として、叔父なりに主人公を送り出してくれる。 シンデレラのお城 偽装結婚と幽霊の婚約者との奇妙な3人生活。そして婚約者は子供をうむ旦那さんを事故で失う。一人ぼっちになった私が義母とひとりぼっちにはならない選択をする。 セイムタイム・ネクストイヤー このお話が好きかな。娘を亡くした私。自殺を図ろうとしたホテルで…。ホテルは幽霊に出会えるホテル。年に一度だけ。だんなさんはどんな思いですすめてくれたのか、想像すると悲しくなる。余命半年を宣告された私。ホテルマンは来年の予約をすすめ待っていると。希望がありますように。 ちょうちょう…ラーメン屋。口コミのこわさ。造花の祝花のおかけで、ひと踏ん張りできそう。 「永遠に枯れませんよ」 ポトスの樹…クソ親父をもった主人公。クソ親父が孫のために親になる。 バルタン最期の日…ザリガニ視点の話。俺たちザリガニは、たとえ命よりも大切なこの両のハサミを失ったとしても、見事に再生させることができる……。脱皮することによって。人間もそうだといいのに、と思う。傷ついた心とか、無くしかけた自信とか。そいううものが、魔法みたいに簡単に癒えてしまえばいいのに。 どの作品もさみしさとあたたかな空気がありました。
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表紙の絵が気になって読んだ本、8編集です。どれもホッ懲り和ませてくれる内容でした。気になる著者が1人増えました。
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八つのお話からなる短編集である。 主人公は慎ましく、丁寧に暮らしている人が多く、多分それは著者の加納さんのご人格が反映されているようで、そして文章も特に凝った表現はあまり無いのだが、一文一文噛みしめながら丁寧に読み進めたくなる文章であった。 「パズルの中の犬」というお話があっ...
八つのお話からなる短編集である。 主人公は慎ましく、丁寧に暮らしている人が多く、多分それは著者の加納さんのご人格が反映されているようで、そして文章も特に凝った表現はあまり無いのだが、一文一文噛みしめながら丁寧に読み進めたくなる文章であった。 「パズルの中の犬」というお話があって、真っ白いパズルの最後のピースをはめた途端、過去のある出来事に繋がるものが浮かび上がるのだが、他のお話でも、それまで淡々と生きてきた主人公が、ある事をきっかけに心の奥底にしまって忘れていたことを呼び覚まされたり、身近な人の心の真実を知ったりする作品が多かった。 その過去の記憶や身近な人の心の内と主人公との橋渡しをするのが、動物であったり幽霊であったり。それらの動物たちに人の心が分かるのか、亡くなった者たちに魂があるからなのか、それとも神様の仕業なのか、とにかく、偶然というよりも、運命のように、ある時何かにふっと繋がりるのである。 人は(いや、動物も)、大切な誰かと運命で結ばれたのなら、その人が亡くなった後も、どこかで繋がっていたい。いや、繋がっていてくれているはず。そう思わせてくれる短編集であった。
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20190824 ちょっとだけしんどいときに前向きになれそうな短編集。家族をテーマにしたものが多いが、恋愛に関するものもある。特に、全体通したテーマがあるわけではなさそう。 表題作の「モノレールねこ」は題名はふるっているが、中は結構あっさりしている。何だかんだで結局憎めない家族を...
20190824 ちょっとだけしんどいときに前向きになれそうな短編集。家族をテーマにしたものが多いが、恋愛に関するものもある。特に、全体通したテーマがあるわけではなさそう。 表題作の「モノレールねこ」は題名はふるっているが、中は結構あっさりしている。何だかんだで結局憎めない家族を、近くて遠くから描いた「パズルの中の犬」「マイ・フーリッシュ・アンクル」「ポトスの樹」、思いやりが染みる「セイムタイム・ネクストイヤー」「ちょうちょう」「バルタン最後の日」、切なく重い「シンデレラのお城」。一番好きなのは、切ないような、暖かいような、バルタンかな。動物?ものには弱い。
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星3.5かなぁ!ユーモラスな短編8編の作品のうち「パズルの中の犬」と「バルタン最後の日」が良かったね。どれも軽い調子だけどユーモアがまぶしてあるのは元来 作者がお笑い好きだからに違いない。この本に触発されて思わずジグソーパズル 注文してしまった❗笑
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加納朋子といえば、ファンタジーでほのぼので切ないという印象です。この短編も全編でその印象を裏切りません。どれも不思議でほのぼのなのですが、途中登場人物が辿る経過は残酷なものもあります。しかし最終的に薄日が差し、そよ風が吹いてくるようなさわやかさが漂うので、どれを読んでも読後感よい...
加納朋子といえば、ファンタジーでほのぼので切ないという印象です。この短編も全編でその印象を裏切りません。どれも不思議でほのぼのなのですが、途中登場人物が辿る経過は残酷なものもあります。しかし最終的に薄日が差し、そよ風が吹いてくるようなさわやかさが漂うので、どれを読んでも読後感よいです。
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久々に再読した加納朋子の短編集。 表題作はインパクトあって覚えてたけど、他は完璧忘れてたのでかなり楽しめた。ちょっと切ないのもあるけど、概ね救いがある話なので後味は悪くない。
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