ロンリー・ハーツ・キラー の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
第2部の、井上とミコトの心中場面辺りまでが一番面白い。 井上とミコトの関係性からはみ出した形になってしまったいろはは、二人の最後を再現しようとするかのように、行動する。二人の思考を批判していたにもかかわらず。結局は、いろはも仲間に加わりたかったのだろう。分かり合えると思っていたのに、「分かり合える」の中に自分はいなかった。私はむしろ、なぜいろはが井上の辿り着いた答えに共感しなかったのか、ということに疑問を感じるけれども。 そんな中で、モクレンだけが動じずに現実を見ている。否、何を現実とするかという視点の違いによって、この解釈は逆転してしまうのだけれども、モクレンだけは、井上ともミコトとも、二人に引っ張られるように行動したいろはとも、違う場所にいる。しかし、本当のこととは何だろう。井上が見た世界は幻だったのか。井上が見ることを望んだ世界だったのか。本質を必要とする人間と必要としない人間についてモクレンは言及していたけれど、世界の本質とは何なのか、どこにあるのか。 示唆に満ちた小説だった。
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物語の中に意識が沈潜しないよう、ふんばって読みました。 意識が持っていかれてしまったら、多分思考が閉じ込められてしまうような強い小説だと思います。 大衆って怖いなぁ・・・とだけ、記しておきましょう。
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1/26 再読。 1/27 不敬小説。 貨幣システムにも似た、排除された上部構造。 その三角形の空白を「無い」と認識するのではなく、「空白が有る」と認識することによって人は平面に降り立ち、他者と対等に向き合うことが可能になる。 という小説。
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