ある島の可能性 の商品レビュー
初めは何が書かれているかわからなかったが、理解してからはおもしろく読み進められた。 ただ抽象的な表現も多いのでなかなか体力を使う作品。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
主人公ダニエル1はコメディアンであり、映画監督も務めるほどの人なのに、セックス出来なくなったら、この世の終わりみたいに考えるのが、なんとも不思議。それとも才能があるから思い悩むのか。 宗教の話がネオ・ヒューマンの誕生に繋がっていく話はSFとして楽しく読めた。 第三章で、ネオ・ヒューマンが外の世界を見て、我目指すところには辿り着けないと悟る。考える限り、感情をなくしても人間は人間で、フォックスとの違いはそこだと思った。 難しいことはわからないから感覚で読んでいったけど、字がみっしりで、読み終わるのに時間がかかった。割と下品な言葉も出てくる。
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半分読んでリタイア, 性欲を満たすことしか,この世界で肯定できるものがないという人生感を持つ男と遥未来のその男の子孫の話. 市況が激変する昨今,読むべき本は他にもあるなというのと,途中から惰性になっていたなというのがあり.
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人は老いにどのように追い詰められていくのか。 なら原因を断てばよいのでは?を実現した場合の、シミュレーションとして読んだ。 年齢の低いうちに宗教をとことん突き詰めておけば、新興宗教に影響されることはないんだなと思った。
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同一的な人物が2つの隔たった時で、物語は進んでいく。 入れ子構造だ。モチーフもいつもながらの性と宗教。主人公はコメディアン。語りは露悪と感傷が入り混じっている。コメディアンだからだろうか、老いの重さがひときわ切実に伝わってくる。二重構造にすることで、老いが乗り越えてはいけないもの...
同一的な人物が2つの隔たった時で、物語は進んでいく。 入れ子構造だ。モチーフもいつもながらの性と宗教。主人公はコメディアン。語りは露悪と感傷が入り混じっている。コメディアンだからだろうか、老いの重さがひときわ切実に伝わってくる。二重構造にすることで、老いが乗り越えてはいけないものであることも暗示している。最後の「ある島の可能性」の章の荒涼さは本当にひどい。本を閉じればおしまいではなくて、こびりついて離れない荒涼さだ。ボードレールをちゃんと読もうと思った。
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ウェルベック2冊目。これも強烈。 (以下、ネタバレには気を付けていますが序盤のクライマックスには触れてしまっています) 芸能の世界で寵児となり、放埓な日々を送る主人公、ダニエル。いろいろな偶然からある宗教団体に接近していく。そこでは、DNAの複製を通じた永遠の生命が真剣に研究さ...
ウェルベック2冊目。これも強烈。 (以下、ネタバレには気を付けていますが序盤のクライマックスには触れてしまっています) 芸能の世界で寵児となり、放埓な日々を送る主人公、ダニエル。いろいろな偶然からある宗教団体に接近していく。そこでは、DNAの複製を通じた永遠の生命が真剣に研究されていた。 物語は、ほぼ現代の「ダニエル‐1」(第一世代)と、その数千年先のダニエルの複製にして遺伝的はるかに発達したネオ・ヒューマン「ダニエル―24」(24代目)と「25」の考察が交互に進む。未来では人間は感情も完全に安定し、ただ第1世代が残した記録を読み返す日々を送っている(おお、村上春樹の「ハードボイルド・ワンダーランド」の世界)。 ダニエル‐1側の性描写がとにかく激しく、電車の中で読みながら「違います、純文学です」というオーラを必死に出したが意味があったかは分からない。 そんなことより圧巻なのは、CNNのヘリが飛び交う中、教祖が実際に「復活」するシーン。さらに息を呑むのは、DNA再生技術は実は未確立のままで、にもかかわらず「いずれは実現する」ということを信じる信者たちが自分の遺伝子を登録したのち、自ら老衰した身体を「終了」させていくという展開。 科学の時代の「死後の世界の信じ方」がこれだと・・・。 これ以上はポリティカリー・コレクトに紹介する自信なし。必読に値する本とだけ言っておきたい・・・
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構成にしてもエピソードの一つ一つにしてもアイロニカルでキッチュ。揶揄しているのかクソ真面目なのか『愛』についての思索を理屈っぽい語り口で執拗に書き連ねていて、鬱陶しいことこの上ない。にも関わらず後半はページを繰る手が止まらなかった。 古代ギリシャの時代の「神からの最高の恩恵は『...
構成にしてもエピソードの一つ一つにしてもアイロニカルでキッチュ。揶揄しているのかクソ真面目なのか『愛』についての思索を理屈っぽい語り口で執拗に書き連ねていて、鬱陶しいことこの上ない。にも関わらず後半はページを繰る手が止まらなかった。 古代ギリシャの時代の「神からの最高の恩恵は『死』である」というようなペシミスティックな人生観、老や、性についての身も蓋もない事実を情け容赦なく書き尽くしている。衰えを感じ始めた中年以降の人のための自戒の書としても読めそうだ。 「愛を実現する機械」犬だけがこの世の救いだということはこの小説に於いて、かなり重要なキーワードだと思う。そのぐらい犬について、その愛について繰り返し語られている。 愛犬家には大いに頷ける部分があるだろう。 ダニエル25が飼い犬のフォックスを失うシーンは『百万回生きた猫』を思い出した。猫じゃなくて犬だけど!
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すげえな。ウェルベックは。 テーマは中年の性と老い。セックスを中心的なテーマにしている現代作家と言えば、たとえば村上春樹が思い浮かぶが、何というか、スケールのデカさが圧倒的にウェルベックの方が上。 性が氾濫して、それに関する規範がとうに失われた現代において、愛は如何にして可能...
すげえな。ウェルベックは。 テーマは中年の性と老い。セックスを中心的なテーマにしている現代作家と言えば、たとえば村上春樹が思い浮かぶが、何というか、スケールのデカさが圧倒的にウェルベックの方が上。 性が氾濫して、それに関する規範がとうに失われた現代において、愛は如何にして可能か。そうした重厚なテーマが、セックスショップ的、ワイドショー的な下世話さと全く不自然さのない形で同居していて、そのごたまぜ感を人類史/地球史的なヴィジョンへと展開させていく。 だが、そうした思念的な強度よりも、具体的な人間臭さが実にリアルなのが、この作品の小説としての見事さであるだろう。 若い恋人のバースディ・パーティの乱痴気っぷりの中で、必死に居場所を見出そうとする主人公の中年男の姿とか、とてもよく描けている。この場面のいたたまれさには、ホント、胸が締め付けられる思いがしたものですよ。
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つらい。ウェルベックというのは皆がキャッキャウフフと雪合戦を楽しんでる中1人鉛入りの玉を無言かつ全力で投げ付けてくる様な、身も蓋もなさが本当に凄まじい作家だ。高度資本主義と科学技術と現代宗教、生と性への欲望三点締めのアングルから描かれるダニエルの生き様は未来からの注釈で一層悲哀を...
つらい。ウェルベックというのは皆がキャッキャウフフと雪合戦を楽しんでる中1人鉛入りの玉を無言かつ全力で投げ付けてくる様な、身も蓋もなさが本当に凄まじい作家だ。高度資本主義と科学技術と現代宗教、生と性への欲望三点締めのアングルから描かれるダニエルの生き様は未来からの注釈で一層悲哀を増し、誰もが老いと死から逃れられない現実を無慈悲なまでに突き付ける。人間とは所詮粘液に塗れ朽ちるだけの生物なのだろうか。否、それでも人は愛や美を求めようとする。それは愚かさなのかもしれないが、ウェルベックは決して否定しなかった。
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醒めた視点の主人公からみた世界の話。それと遺伝子工学の産物であるネオヒューマンからの人類の世界の話でもある。設定的によくわからないが次第に全貌がわかってくる構成になっている。視点に突っ込み反発し同情していくのを要求される、思想を読む小説。やはりテーマは「愛」『素粒子』には及ばない...
醒めた視点の主人公からみた世界の話。それと遺伝子工学の産物であるネオヒューマンからの人類の世界の話でもある。設定的によくわからないが次第に全貌がわかってくる構成になっている。視点に突っ込み反発し同情していくのを要求される、思想を読む小説。やはりテーマは「愛」『素粒子』には及ばないなと読んでいて思ったが終わりごろになってああこれは別の凄いものを見せているなと感じた。SF小説というよりは、仕掛けや概念をSFから借りただけで、これは文学だ。
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