須賀敦子全集(第4巻) の商品レビュー
須賀敦子全集の第4巻には、3編が収められている。文庫本の裏表紙の説明も借りながら、内容を下記する。 【遠い朝の本たち】 幼年期からの読書体験をたどり、自己形成の原風景を描く。 「国語通信」「ちくま」に連載されていたもの。それをまとめた単行本として発行されたのは1998年。 【本...
須賀敦子全集の第4巻には、3編が収められている。文庫本の裏表紙の説明も借りながら、内容を下記する。 【遠い朝の本たち】 幼年期からの読書体験をたどり、自己形成の原風景を描く。 「国語通信」「ちくま」に連載されていたもの。それをまとめた単行本として発行されたのは1998年。 【本に読まれて】 当代無比の読書家であった著者の書評を集大成。 毎日新聞の書評委員を務められていた時の書評など。これも、「本に読まれて」という題名で1998年に単行本として刊行されている。 【書評・映画評】 1991年から1997年にかけて発表された、書評を中心とした単行本未収録作品を、発表順に収録したという説明がなされている。 書評の多くはヨーロッパの詩や純文学や評論など。ヨーロッパの文芸についてのある一定の教養がないと読みこなせそうにない作品が多く紹介されている。私は、読む本を選ぶのに、書評を使うことが多いが、この須賀敦子の書評はハードルが高すぎて、読もうという気になったものは、ほとんどなかった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ミッション系スクールへ通いながら軍需生産に従事した戦争中の学生時代から大学、大学院、イタリア留学、夫との死別と帰国。阪神大震災。 深い人生経験に裏打ちされヨーロッパと日本を見つめる目線と言葉。さまざまなヨーロッパや日本の近現代の作家の作品の書評と随想。 心に残る言葉 なにかに到ろうとすることが孤独な作業だということ 思想がない建物 そこから小説が始まるんです あとがきも秀逸 日本人は、じぶんたちの国が、世界の中で確実に精神の後進国であることを真剣に考えずにはいられなくなった。いったい、なにを忘れてきたのだろう、なにをないがしろにしてきたのだろうと、私たちは苦しい自問をくり返している。だが、答えは、たぶん、簡単には見つからないだろう。強いていえば、この国では、手早い答を見つけることが競争に勝つことだと、そんなくだらないことだばかりに力を入れてきたのだから。 人が生きるのは、答をみつけるためでもないし、だれかと、なにかと、競争するためなどでは、けっしてありえない。ひたすらそれぞれが信じる方向に向けて、じぶんを充実させる、そのことを、私たちは根本のところで忘れて走ってきたのではないだろうか。 読みたい本 「シカゴ育ち」 スチュアート・ダイベック 「地中海世界」 フェルナン・ブローデル 「緑の家」 バルガス・リョサ 「パウル・ツェラン全詩集」 「記憶の形象 都市と建築との間で」 槙 文彦 「南仏プロヴァンスの12か月」 ピーター・メイル 「美しき日本の残像」 アレックスカー 「野火」 大岡昇平 「肌寒き島国 近代日本の夢を歩く」 松山巌 「抱きしめる、東京―町とわたし」 森まゆみ 「Salvatore Quasimodo 古代の冬」 シモーヌ・ヴェイユ 「ヴェネツィア暮らし」矢島翠 「告白」アウグスティヌスー 神は私の中にいる 見たい映画 「シェルタリング・スカイ」 ポール・ボウズ
Posted by
烏兎の庭 第三部 箱庭 12.26.09 http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto03/diary/d0912.html#book
Posted by
前半は「遠い朝の本たち」。作者の主に少女時代を読書遍歴に託して描く。中井久夫氏の解説によると父との和解が隠れた主題らしいが一読ではそこまで読み取れず。また氏の指摘する無常観は、回想ゆえというところもあるが、確かに言えている。 後半は「本に読まれて」。このタイトルは前半に登場する...
前半は「遠い朝の本たち」。作者の主に少女時代を読書遍歴に託して描く。中井久夫氏の解説によると父との和解が隠れた主題らしいが一読ではそこまで読み取れず。また氏の指摘する無常観は、回想ゆえというところもあるが、確かに言えている。 後半は「本に読まれて」。このタイトルは前半に登場する、作者の祖母の言葉より取られている(ボクも子供の頃はそんな感じだったかも)。こちらは書評集。毎日新聞にも書評を寄せていた時があったとは知らなかった。知らない本がほとんどである。。。
Posted by
第4巻は『遠い朝の本たち』『本に読まれて』『書評・映画評ほか』を収録し、本、書評を纏めた1冊となっている。『遠い朝の本たち』だけが本に絡めた自伝的エッセイで、それ以外は評論集。 紹介されている本を読みたくなるというよりは、須賀敦子が取り上げた本をどう読んだか、どう評したかが気にな...
第4巻は『遠い朝の本たち』『本に読まれて』『書評・映画評ほか』を収録し、本、書評を纏めた1冊となっている。『遠い朝の本たち』だけが本に絡めた自伝的エッセイで、それ以外は評論集。 紹介されている本を読みたくなるというよりは、須賀敦子が取り上げた本をどう読んだか、どう評したかが気になる内容。矢張り海外文学が多い。
Posted by
須賀敦子さんのブックレビュー本。 とても魅力的に紹介されるので、あれもこれも読みたくなって、読了後は本がポストイットでいっぱいになった。 各本数ページの紹介ながら、内容についてとてもディープな考察がなされており、実際に本を読んだような気持ちになった。非常に密度の濃い読書体験であっ...
須賀敦子さんのブックレビュー本。 とても魅力的に紹介されるので、あれもこれも読みたくなって、読了後は本がポストイットでいっぱいになった。 各本数ページの紹介ながら、内容についてとてもディープな考察がなされており、実際に本を読んだような気持ちになった。非常に密度の濃い読書体験であった。 池澤夏樹氏を絶賛しておられ、今まであまり注目していなかったが、ちゃんと読んでみようかなと思った。
Posted by
遠い朝の本たち 本に読まれて 本が好きな人の、本の記憶は楽しい。 私も本を読むのではなく、本に読まれている。:) 大阪は水の都。この本を読んで、空の向こうの故郷を思った。
Posted by
著者による書評・映画評を中心にまとめた巻。 単行本「遠い朝の本たち」、「本に読まれて」のほか、単行本未収録の書評・映画評を多数所収。 読んでいるうちに、あれもこれも読みたくなり、困るくらいです。
Posted by
ジュンク堂で全巻を見てから読みたい読みたいと思っていて、四巻から始め。 「遠い朝の本たち」は既に読んでいましたが。 E・M・フォスターの「天使も踏むを恐れるところ」の書評も書かれていたとは!三浦しをんのエッセイでこのタイトルを知って気に入っていたので、この本で目にしたときはお...
ジュンク堂で全巻を見てから読みたい読みたいと思っていて、四巻から始め。 「遠い朝の本たち」は既に読んでいましたが。 E・M・フォスターの「天使も踏むを恐れるところ」の書評も書かれていたとは!三浦しをんのエッセイでこのタイトルを知って気に入っていたので、この本で目にしたときはおおっ!と驚き。 それにしてもやっぱり圧倒的な読書量で。それを自分の血肉にしているのが感じさせられて、う~ん、すごい!憧れる。
Posted by
今までに比べると、話のテーマがしぼってない感じ。ま、雑誌とか新聞に連載されていたものを集めてるからしょうがないのでしょうが。 書評は知らない本がたくさん取り上げられていて、読みたくなりました。 でも、一番面白かったは、「細雪」についての考察ですね。はっきりとではないけど「細雪」を...
今までに比べると、話のテーマがしぼってない感じ。ま、雑誌とか新聞に連載されていたものを集めてるからしょうがないのでしょうが。 書評は知らない本がたくさん取り上げられていて、読みたくなりました。 でも、一番面白かったは、「細雪」についての考察ですね。はっきりとではないけど「細雪」を読みながら感じていたことが、きちんとそしてとても深く考察されていました。もう一度読んでみたいです。
Posted by
- 1