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笙野頼子三冠小説集 の商品レビュー

3.6

28件のお客様レビュー

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2010/05/14

 「タイムスリップ・コンビナート」「二百回忌」「なにもしてない」の3つが詰められた短編集。作風としてはパラレルワールドの私小説といった感じ。特に「タイムスリップ~」は日常の生活でフッと頭に湧いた妄想をあちこちにちりばめつつ小説調にまとめられている。「二百回忌」は実際にありそうでな...

 「タイムスリップ・コンビナート」「二百回忌」「なにもしてない」の3つが詰められた短編集。作風としてはパラレルワールドの私小説といった感じ。特に「タイムスリップ~」は日常の生活でフッと頭に湧いた妄想をあちこちにちりばめつつ小説調にまとめられている。「二百回忌」は実際にありそうでなさそうな土地で行われる法事のイリュージョンだし、「なにもしてない」は妄想世界の私小説。そしてこの小説は、読む人をかなり選ぶと思う。文章はなかなかウィットが効いていて読みやすく、ユーモアタッチだけれど、その内容がもうぶっ飛び過ぎてついていけなくなる。3作の中だと「タイムスリップ~」は電話を通じた会話の中で思考があちこちに飛ぶ、という展開なので読みやすいけれど、「二百回忌」と「なにもしてない」には困った。架空の土地の郷土史が永遠と続いているような感じで、そんなタイプが好きな人にはかなりはまるのかと思うけど、私にはイマイチな作品でした。でも「タイムスリップ~」の文章は割と幻覚的で良かったです。あー。ジャンルは幻覚小説かな、これは。

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2009/10/07

うまいなぁ、この人。 人の神経を逆なでする人物を、必ず一人は登場させるし。 なんだか、純文学を久しぶりに読んだ気がする。

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2009/10/04

むちゃくちゃーなはなし。 だけど心惹かれる気もする。 ほかのも読んでみる。 二百回忌がいいかなあ。

Posted byブクログ

2012/03/11

“タイムスリップ・コンビナート” 寝起きの電話。“ともかくどこかへ出掛けろとしつこく言い、結局海芝浦という駅に行かされる羽目になった。” 不意をうたれた言葉は、何ら明確な像を結ばないまま、語り手は海芝浦駅へ向かう・・・。 言葉がズレ、ズレた言葉がまた別の言葉を召喚し、それがまた...

“タイムスリップ・コンビナート” 寝起きの電話。“ともかくどこかへ出掛けろとしつこく言い、結局海芝浦という駅に行かされる羽目になった。” 不意をうたれた言葉は、何ら明確な像を結ばないまま、語り手は海芝浦駅へ向かう・・・。 言葉がズレ、ズレた言葉がまた別の言葉を召喚し、それがまたさらに別の言葉へと放恣に流れ出し・・・。「現実」を構成する言葉がダダ漏れ、ズレを孕みつつ、「現実」は雪崩れていく。 “サラリーマン風の賢そうなおやじ”達が駅のホームで、おやじの上におやじが重なり肩車しながら蝟集したり、空にマグロの目玉が浮かぶ。 だが、「現実」は決して壊れきることはない。 “中央線進行方向右側の視界を、ライオンズ信濃町、セキスイのビル、三和銀行の壁が横切っていくのを見ているうち・・・”。車窓を流れる風景や・街並みの光景は徹底して「現実」的でもある。 彼女が見る空間には妄想が嵌入し、彼女が生きる時間は乱れ、幼年期の四日市の記憶とチープで出来合いのSF映画で描かれた未来が混濁する。時空は横滑りしながら、工業製品のようにあっけらかんと、ねじくれた「現実」が量産されていく。

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2009/10/04

これ1冊で3作ってお得!と思い購入しました、というのも笙野作品は全体的に在庫がないのです(探す私の努力不足かもしれないけど)。 単行本の方より読みやすい感じ。「恋愛用マグロ」の描写が妙にリアルで若干のグロテスクさを感じさせる辺りが素敵。 一番のお薦めは『二百回忌』です。

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2009/10/04

笙野頼子は今生きている作家の中で一番面白いのではないでしょうか。ハードボイルドでオカルティック。我が憧れの作家。

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2009/10/04

笙野頼子三冠小説集、というタイトルもすごいが、本当にこの人の文章は重い。いや、軽いように見えて、重い。 そして賞を穫った小説3本をすべて相当に書き直している。その分さらに重くなっているようだ。 自己分析するように文章を書き、さらにそれを書き直した結果がこの文庫だ。文庫相手にも完璧...

笙野頼子三冠小説集、というタイトルもすごいが、本当にこの人の文章は重い。いや、軽いように見えて、重い。 そして賞を穫った小説3本をすべて相当に書き直している。その分さらに重くなっているようだ。 自己分析するように文章を書き、さらにそれを書き直した結果がこの文庫だ。文庫相手にも完璧を目指すこの人の姿勢はすごい。 そして自らあとがきに書いているが、天皇という存在、日本における信仰というもの、という点にきちんと焦点を合わせているというのもなかなかできることではないと思う。重い。本当に重い。

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2009/10/04

受賞順に読んだ。全部同じじゃないかというところはあるけど、毎回面白いから全然問題ない。とにかく笙野頼子がめちゃくちゃ面白いことを知れてよかった。なんで売れないのかなあ?このあとの作品読んでない身で言ってもしかたがないが、この三つを読んで思ったのはどっか変なところに旅行にでも連れて...

受賞順に読んだ。全部同じじゃないかというところはあるけど、毎回面白いから全然問題ない。とにかく笙野頼子がめちゃくちゃ面白いことを知れてよかった。なんで売れないのかなあ?このあとの作品読んでない身で言ってもしかたがないが、この三つを読んで思ったのはどっか変なところに旅行にでも連れて行きたいよな。あと、町田康ってほとんど読んだことないけど、一番最初に思い浮かんだのは町蔵だった。似てないかなあ。2007.1.11

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