Self-Reference ENGINE の商品レビュー
日常。過去。未来。崩壊。計算機。箱。夢。宇宙。数理モデル。神話。捕り物帳。そんなイメージがぶわっと広がる。各章は前後の脈略が迷子のようで、エッシャーの騙し絵世界に入り込んだ気分。それでも、漂う概念は途切れなく繋がっているように思う。何が、どうして、そうなったんだ、ジェイムス。本書...
日常。過去。未来。崩壊。計算機。箱。夢。宇宙。数理モデル。神話。捕り物帳。そんなイメージがぶわっと広がる。各章は前後の脈略が迷子のようで、エッシャーの騙し絵世界に入り込んだ気分。それでも、漂う概念は途切れなく繋がっているように思う。何が、どうして、そうなったんだ、ジェイムス。本書は再読ながら、不思議なほど何も覚えてない。読んでしばらくすると零になり、ただ流れるようなリズムと余韻だけが記憶される。
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巨大知性体にまったく知性を感じられなかった。純文学寄りとの評価を見たがわたしにはライトノベルに感じられた。話の筋に真新しいものを感じることがなかった。あたかもデカルト座標上に言語の系が固まって浮遊しており予め割り当てられた対称や限界に当たる言葉らしきものを巧みに操る想像性は特筆に...
巨大知性体にまったく知性を感じられなかった。純文学寄りとの評価を見たがわたしにはライトノベルに感じられた。話の筋に真新しいものを感じることがなかった。あたかもデカルト座標上に言語の系が固まって浮遊しており予め割り当てられた対称や限界に当たる言葉らしきものを巧みに操る想像性は特筆に値する。
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人間が彼らの絶滅の理由を知ることができないとされる理由は単純だ。ありえそうな滅亡の理由を思いつく先から、その理由で滅びたわけではないと過去を改変するような時空構造として、彼らは絶滅したのだと考えられている。証拠がどんどん後出しされる推理小説には終わりようがない。はじめから終わっ...
人間が彼らの絶滅の理由を知ることができないとされる理由は単純だ。ありえそうな滅亡の理由を思いつく先から、その理由で滅びたわけではないと過去を改変するような時空構造として、彼らは絶滅したのだと考えられている。証拠がどんどん後出しされる推理小説には終わりようがない。はじめから終わってしまっていない限り。 (P.262)
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SFは少しの不思議であってほしい。 世界観についていけず、物語が入ってこない。 想像の枠を超えている。
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ひと言でいうと、面白かったような気がする。 正直よく分からなかったので評価も満足にできない。時間と存在についての様々な物語が、数学的タームという修飾を多用して書かれているように思う。それらの修飾を平易な言葉に置き換えたならどうなるのだろうかとふと考える。たぶん、つまらない物語にな...
ひと言でいうと、面白かったような気がする。 正直よく分からなかったので評価も満足にできない。時間と存在についての様々な物語が、数学的タームという修飾を多用して書かれているように思う。それらの修飾を平易な言葉に置き換えたならどうなるのだろうかとふと考える。たぶん、つまらない物語になり果ててしまいそうだ。
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再読。いまやすっかりSF界のスターになった円城塔だけど、やはりこのデビュー作がいちばんおもしろい。ばりばりにSFで、ばりばりにバカ話で、それと同時にまぎれもなくばりばりの純文学。なんともいえず切ない読後感も素晴らしい。なんど読んでも理解できない描写もあるけど、それもまたよし。これ...
再読。いまやすっかりSF界のスターになった円城塔だけど、やはりこのデビュー作がいちばんおもしろい。ばりばりにSFで、ばりばりにバカ話で、それと同時にまぎれもなくばりばりの純文学。なんともいえず切ない読後感も素晴らしい。なんど読んでも理解できない描写もあるけど、それもまたよし。これもゼロ年代文学の傑作のひとつだよな。
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今年1冊目の円城塔 とんでもなく高度なギャグを見せられた気分 巨大知性体と人間と宇宙の織り成す めくるめくお笑い劇場という印象 円城塔の話は ちょいちょいニヤッとしたり ブッと噴出してしまう一文があって それに救われつつ 自分にとっては難しい世界を綱渡りしているんだけど もう...
今年1冊目の円城塔 とんでもなく高度なギャグを見せられた気分 巨大知性体と人間と宇宙の織り成す めくるめくお笑い劇場という印象 円城塔の話は ちょいちょいニヤッとしたり ブッと噴出してしまう一文があって それに救われつつ 自分にとっては難しい世界を綱渡りしているんだけど もうたまらなく好きだ 図書館で借りたんだけど これもいつかは購入したいと思う 星は4つ 途中で何回も寝ちゃったから
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うを〜!! 内容は理解は出来ないけど(一応理系のはずなんだが苦手・笑)スゴい! わからなくたってスゴいと思ったらスゴいのだ! 私には許容のお話しに読めました。他の方にはどう読めるのか気になります。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
わかりやすくたとえるなら、excelを使ってるとたまにうっかりやってしまう、循環参照のエラー。たとえばA1セルに=SUM(A1:A10)って入れちゃったら出てくるエラーだ。表計算ソフトだと循環参照はエラーメッセージが出て修正を余儀なくされるが、小説では可能だ。それが「すべての可能な文字列」である限り、どんな矛盾も矛盾せず存在できるのだ。(←そう、こんな感じで存在できるわけだ) とか言って、話の内容はなんとなくしか分からなかったけどな!!! SFを持て余したSFマニアの遊び。 なんかそんな感じだったよ。 フロイトwwwww八丁堀wwwww だいたいそんな感じだったよ。 まあ、とりあえずこれを読めたからどんな小説も臆せず読めるんじゃないだろうか、という妙な自信がついた。(笑) この世界にあまたある物語は、無限に分裂してしまった時空とよく似ている。 ただ、それは、わたしたちが、自由に旅することのできる無限の時空だ。 次はどこへ行こうか。 どこへ連れて行かれるだろうか。 この黄色いきっぷを握って。 いつかまた会おうなー、Self-Reference Engine。
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私の名はセルフ・レファレンス・エンジン 機械仕掛けの無 読者と作者をつなぐ言葉、僕が手にしているのはそれらを収納した黄色い表紙の本。たしかに存在している。だけども「存在していない私の非存在は、原理的に全く知られようがない。だからあなたが見ているのは私ではありえない。たとえ私が、あ...
私の名はセルフ・レファレンス・エンジン 機械仕掛けの無 読者と作者をつなぐ言葉、僕が手にしているのはそれらを収納した黄色い表紙の本。たしかに存在している。だけども「存在していない私の非存在は、原理的に全く知られようがない。だからあなたが見ているのは私ではありえない。たとえ私が、あなたに見られていることを知っているにせよ。このことを私は多少申し訳なく感じている」とエピローグにはある。 「すべての可能な文字列」としての言葉が私なのか?プロローグには「しかしとても残念なことながら、あなたの望む本がその中に見つかるという保証はまったくのところ全然存在しない」とある。そう、僕は本書を読み終えたとき、あまり楽しんだ記憶がないことに気づきました。19の短編がそれぞれ断片として一つの大きな作品を構成するようになっているのですが、プロットがあくまでもプロットのままで波風立てず、物語という巨大な大渦に翻弄されつつ、作者が仕掛けたもののそれ以上に底知れぬ中心部へと言葉が一つ一つ収斂していく様をどこか冷めた目で眺めているという読者の特権を享受可能な高みまで本書は連れて行ってくれなかったのです。 数学や論理学、物理や宇宙論や量子論、無限と集合論といった様々な知的アイテムがちりばめられ、ユーモア小説、おバカSF、ボーイ・ミーツ・ガールもの、滑稽本風といったドタバタ、メタメタ、ベタベタの趣向もなかなかなものと思いましたが、一言でいうとピンチョンの作品には見られる穴、あるいは突出としてのパッションがないように思いました。
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