Q&A の商品レビュー
僕の大好きな俳優の松岡茉優さんが 「生と死に関わる本というのは、印象深い」 と語り、その影響を受けた本のひとつとして『Q&A』を挙げていた。彼女が出演した映画『騙し絵の牙』公開時のインタビュー記事に記載されていた。 “災難”にまつわる“物語”。発災直後の“記憶”への“問...
僕の大好きな俳優の松岡茉優さんが 「生と死に関わる本というのは、印象深い」 と語り、その影響を受けた本のひとつとして『Q&A』を挙げていた。彼女が出演した映画『騙し絵の牙』公開時のインタビュー記事に記載されていた。 “災難”にまつわる“物語”。発災直後の“記憶”への“問いかけ”から始まり、後日譚へと展開してゆく。時間の経過に伴って、“災難”という具体的な事件そのものとは全く質の異なる不穏な空気が漂ってくる。 防犯カメラの映像という具体性が入り込む余地がほとんどなく、被災者の記憶の証言からのみ真相を得ようとしても、はたして記憶とは、当事者の主観がすべてだろう。問いかけという客観と、返答する主観のぶつかり合いがあるものの、それら落ち着く場所は、真相の如何に関わらず、思いがけないほど想像に違わない。
Posted by
20年前の小説とは思えないくらい、今読んでも古いと感じない。最初は奇妙な感じから、だんだん不気味というか怖ろしくなっていく感覚が何ともいえない。 最初は何が起こったかわからないところから、だんだん分かってくるけれど、なかなか情報が結びつかない。 当日の事件?事故?で亡くなった規...
20年前の小説とは思えないくらい、今読んでも古いと感じない。最初は奇妙な感じから、だんだん不気味というか怖ろしくなっていく感覚が何ともいえない。 最初は何が起こったかわからないところから、だんだん分かってくるけれど、なかなか情報が結びつかない。 当日の事件?事故?で亡くなった規模もさることながら、その後に亡くなっていく人々の多さにも驚愕。死因は分かっても、何が原因で亡くなったか分からないって、本人も嫌だけど、家族も怒りのぶつけどころが分からず、ずっとモヤモヤしたままになるから辛いだろう。 とりあえず、口が軽いとロクなことにはならないものだと肝に銘じた。
Posted by
都下郊外の大型商業施設において重大死傷事故が発生した。死者69名、負傷者116名。未だ原因を特定できず―多数の被害者。 「防犯ビデオに写っていたもの」 「異臭」 「ぬいぐるみを引きずりながら歩く少女」 多数のQの行き着く先に見える答えとは...。 ショッピングセンターで起きた事...
都下郊外の大型商業施設において重大死傷事故が発生した。死者69名、負傷者116名。未だ原因を特定できず―多数の被害者。 「防犯ビデオに写っていたもの」 「異臭」 「ぬいぐるみを引きずりながら歩く少女」 多数のQの行き着く先に見える答えとは...。 ショッピングセンターで起きた事故。 最初は火災発生、それから有毒ガスの発生、混乱状態のままに客が逃げて、死者のほとんどは逃げた客に巻き込まれ圧死した。 質問する人、答える人、それぞれの闇が垣間見えるお話でした。結局は、事故の原因は政府の陰謀だったんだろうと思う。 変な夢を見る人や、性被害から逃れる為に女子校に行きたいと言う子や、元妻を恨む弁護士や、売れっ子脚本家や、ぬいぐるみの少女の母親や、精神的に病んで家族を自分の手で殺した男性や、大学生やタクシー運転手やぬいぐるみの少女に話を聞いているが、モヤモヤが残る終わり方だったかな。 変な噂を流す人や、その事故に関わった人、写真を撮った人は、きっとみんな消されてしまったんだ。 タクシー運転手の時の騒音は関係なかったのか、ピンクの服を着ていた少女は誰だったのか、とか謎がいっぱいのまま終わった気がします。 最後、少女はきっと死への扉を開いてしまうんだね。 さようなら。
Posted by
それぞれの視点で事件について語られるが、原因が分からない。 それこそが異質な恐怖を演出している。 ゾクゾクしましたが、スッキリはしないので人を選ぶ作品だと思います!!
Posted by
本当にQ&Aだった。質問と回答というやり取りだけで物語が進んでいくのがすごい。 事件の真相を聞いているうちに色んな人の日常が浮かび上がってくる。日常を不条理に踏みにじられるけど原因は特にない。それが怖いし有り得そうな気がした。 最後は…モヤモヤしなくもないけど中途半端に原因解...
本当にQ&Aだった。質問と回答というやり取りだけで物語が進んでいくのがすごい。 事件の真相を聞いているうちに色んな人の日常が浮かび上がってくる。日常を不条理に踏みにじられるけど原因は特にない。それが怖いし有り得そうな気がした。 最後は…モヤモヤしなくもないけど中途半端に原因解明するよりはいいのかも?
Posted by
大型商業施設で起こった死者69名を出した重大事故が発生。 目撃者へのインタビューのみで構成されたミステリー。 これだけの大事故なのに一向に要領を得ない証言、本筋とは違うところで起こる不穏な出来事… 大好物の設定と構成で一気読みでした
Posted by
独特な雰囲気が漂う文章が本当にお上手。 住宅街にある大型スーパーでおこった不可解な事件。 結局のところ原因がはっきりわからないままで、色々考察してしまう。 うやむやさ加減がまた上手い。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
最終的に何が起こったのか分からず、うやむやで終わるところが非常に恩田陸を感じることができました… 考察のしがいがある作品ですが、個人的には政府の陰謀論推しです(ただそうすると未来から来た自分や、血を流してる人がいないはずなのに血塗れのぬいぐるみがあるなど説明つきませんね…)
Posted by
登場人物 物語の都合上、質問者・回答者ともにかなりぼやかされているので省略 物語 都市部の大型スーパー「M」で起こった、数多くの死傷者を出した事故 万引きする老夫婦、液体の入った袋、無傷で生き残った少女、…そこで同時多発的に起こった奇妙な事件が多くの人々を混乱に陥れる そして、...
登場人物 物語の都合上、質問者・回答者ともにかなりぼやかされているので省略 物語 都市部の大型スーパー「M」で起こった、数多くの死傷者を出した事故 万引きする老夫婦、液体の入った袋、無傷で生き残った少女、…そこで同時多発的に起こった奇妙な事件が多くの人々を混乱に陥れる そして、その事故の謎を解明しようとする人もいて… 対話形式のQ&Aを通して事故の全容と、その後を生きる人々の生活が見えてくる物語 読後感 少しずつ事故の起こった背景も見えてくるが、物語の性質上事実が完全に解明されることはない それよりは、事故に関わった人たちの、その後の生活を中心に描いた作品だった 恩田陸さんがサスペンスもの…?と思っていたら、やはり人の感情や思考を深掘りしていく内容が濃くなっていき、その意味で恩田陸さんらしさが現れている作品であった 他の作品で恩田陸さんの作風を知ってから向かうと良いのではないかと感じた
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
以前から気になっており、読み進めるワクワク感を味わいたくて本作を読んだ。 本作は聞き手と話し手による対話形式でのみ物語が進んでいくためかなり読みやすい。また、話し手はおおよそどんな人物であるか自分で言及しているが、数人いる聞き手がどんな人物かは一部を除き、常に謎に包まれている点は興味深かった。 序盤から中盤にかけては「M」で起こった惨事をそれに関わった人物たちからの証言で徐々に解明されていきとてもリアルな感じがした。どんな結末を迎えるのかワクワクしページをめくる手が止まらなかった。 しかし、結末はなんとも歯切れが悪く残念だった。一応惨事の原因はある程度提示されるものの、絶対に正しいと言う物語の裏付けがなく、また詳細も語られずモヤモヤした。 解釈の余地がある結末ではあるが、結末が唐突でかつ、それまで非常にリアルだった物語と対立するような内容であり、あまり良い読後感とは言えなかった。
Posted by