宇宙の果てまで の商品レビュー
元国立天文台長の小平桂一先生が、ハワイに大型望遠鏡"すばる"を創設するまでの実録。 海外に設置した日本の研究施設第一号とのことで、その構想から~まさにゼロから~スタートし、各国の類似の施設を調べ、官僚や政治家に説明し、理解を求めて奔走し、やっと予算が着くこと...
元国立天文台長の小平桂一先生が、ハワイに大型望遠鏡"すばる"を創設するまでの実録。 海外に設置した日本の研究施設第一号とのことで、その構想から~まさにゼロから~スタートし、各国の類似の施設を調べ、官僚や政治家に説明し、理解を求めて奔走し、やっと予算が着くことが決まったら今度は運用面の問題や派遣者のケアの問題など細かいことまで、関係の皆さんが様々苦労され、粘り強く問題を解決されてきたことがよくわかる。 それに、施設に関する記録だけでなく、その時々の国内外の政治情勢やご本人の気持ちなども書かれていて、小説風に読み進められた。 今各地に日本の研究施設が設置されているが、その先駆けとなり、かつ、実際に数々の高い成果も出しているすばる望遠鏡。小平先生の国際的な広い視野と先見の明に改めて感服。
Posted by
お金の使い方として一番贅沢で、でも、一番賢いと思います、こういうのは。そして結局払われるべき犠牲は払われてるんですよね、こういう話には。 そして著者に聞いてみたい、意地悪でも何でもなく研究者としての仕事に邁進していたかったか?という素朴な質問を。それが個人ベースに落とした時には、...
お金の使い方として一番贅沢で、でも、一番賢いと思います、こういうのは。そして結局払われるべき犠牲は払われてるんですよね、こういう話には。 そして著者に聞いてみたい、意地悪でも何でもなく研究者としての仕事に邁進していたかったか?という素朴な質問を。それが個人ベースに落とした時には、一番のprice you payでしょうから。
Posted by
新書だけ読むはずが、大変分厚い本を手に取ってしまった。読書力もないのに、最後まで読み終えたことにホッとしています。ただ世界最大級の望遠鏡を日本ではない外国の地に作ることの大変さと、著者の科学技術に対する未来を見据えた視点に驚かされながら読むことができた。
Posted by
テーマは宇宙にとどまらない。 国際化の中での日本のありかたと、日本社会の中での研究者(学問)のありかたを本質的に問うている。 自伝に等しいこの本は、最初は研究の世界から始まる。望遠鏡から取得した成果を分析する天文学の世界。しかし、日本では肩身が狭い。天文学に対する理解が少なく、...
テーマは宇宙にとどまらない。 国際化の中での日本のありかたと、日本社会の中での研究者(学問)のありかたを本質的に問うている。 自伝に等しいこの本は、最初は研究の世界から始まる。望遠鏡から取得した成果を分析する天文学の世界。しかし、日本では肩身が狭い。天文学に対する理解が少なく、望遠鏡も小さい。 研究を進める途中で、日本で望遠鏡を作る話になる。夢を叶えるチャンスに著者が挑む。その瞬間に、物語は研究から政治・文化の世界へと広がってゆく。 外国に日本国の資産を置くことはできるか? 日本国の資産を外国人に使わせることができるか? 研究者はどのような立場で外国の望遠鏡に赴くのか? 税金は?手当は?法律は? ……と、なる。 著者はこの壁に挑む。真っ向から法律を変えさせる。真っ向から予算を取る。そして本当に実現させる。 天文学という切り口から見てもよし、日本の官僚制度という切り口から見てもよし。
Posted by
産業・経済・政治にからむ問題に直面しつつ、巨大プロジェクト「すばる」において中心となって活動をされた著者による詳細な記録。単純なプロジェクト成功秘話の類いではない重めの内容を、文庫という読者に受け入れやすいサイズの舞台で展開。
Posted by
- 1