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「風と共に去りぬ」のアメリカ の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2026/02/01

アメリカの黒人差別の歴史は17世紀に始まる奴隷貿易に端を発する(16世紀にはスペイン人が既にアフリカから黒人を強制的に連れてきてプランテーションで使役していた)。アフリカ大陸から大量に労働力として連行された黒人は、白人の主人の下で人ではなく商品として扱われる。多くの黒人を購入し、...

アメリカの黒人差別の歴史は17世紀に始まる奴隷貿易に端を発する(16世紀にはスペイン人が既にアフリカから黒人を強制的に連れてきてプランテーションで使役していた)。アフリカ大陸から大量に労働力として連行された黒人は、白人の主人の下で人ではなく商品として扱われる。多くの黒人を購入し、大規模な綿花栽培を行うものが成功者として君臨した時代。本書のテーマである「風と共に去りぬ」の主人公スカーレット・オハラの父であるジェラルド・オハラもその様なプランテーションを持つ人物である。その後のアメリカの歴史は奴隷制度の是非を問う側面もあった南北戦争、そして1950年代から60年代にかけて、アフリカ系アメリカ人に対する公民権の適用と人種差別の解消を求めた大規模な大衆社会運動となった公民権運動、そして今も社会に根強く残る差別意識の問題など、常に黒人に対する差別問題が話題に挙がる。ニュースでは黒人が警察に射殺される事件なども頻繁に報道されているし、その都度、アメリカ社会には消しても消し切れない黒人に対する差別意識が存在するのではないかと感じてしまう。だが実際のところ、黒人だけがその様に取り上げられるだけで、銃社会のアメリカでは日常的に白人も黒人も関係なく、警察官に撃たれて死亡する事件などが発生しているのかもしれない。事実、その様にニュースが取り上げる事、その事自体が実はアメリカ社会の差別の存在を認める結果につながっている様にも思える。そもそも差別がなければ、わざわざニュースで取り上げる事もなく、「日常」の事件として扱われるのではないだろうか。同じ事は日本でも起こっているかもしれない。埼玉県の川口市周辺に住むクルド人が似た様な位置付けではないだろうか(こんな事を書くと地域住民から批判されそうだが)。決して彼らを差別しているつもりは無くとも、彼らが事件を起こせば大きく取り上げられて、恰もそれが全体である様にステレオタイプ化してしまう社会。 残念ながら私自身は「風と共に去りぬ」は読んだ事が無い。だが本書はそれが大凡どの様な内容であるかを理解させてくれた。内心、先に小説を読んでおきたかったという後悔もあるものの、本書が先でも十分楽しめそうである。筆者は小説の世界観の背景となっているアメリカ南部の都市を訪れ、同書が黒人にどの様な印象を与えたか調査するところから始まる。前述した様に、黒人を使役していたオハラ家であり、そこには主人公を取り巻く沢山の黒人達が登場する。それは畑仕事に従事する労働力として、家事を任される召使として。そして主人公であるスカーレットは小説の中で黒人奴隷を2人購入するなど、それが当時の南部アメリカ人の日常として描かれている。小説としては世界的にヒットし、映画化もされたアメリカ文学の代表作とも言えるが、今となっては黒人に対する差別と偏見に満ちたものとして、とてもテレビで放映される事はないだろう。その様な作品に対して、差別される側の黒人達の感情を探る。そして作品自体を通してマーガレット・ミッチェルが伝えたかった事が何であったかを探っていくのである。 アメリカは南北戦争で奴隷制度廃止を訴える北軍が勝利する。小説では、その北軍は南部に住む白人であるアメリカ人を駆逐し、南部アメリカ人の土地を奪う侵略者として描かれているようだが、歴史上は「奴隷制度廃止」を訴えた彼ら北軍の白人達がその後、黒人達の真の解放者となり得たのか。本書はその後のアメリカの歴史を追いかけながら、「風と共に去りぬ」のアメリカの差別の根源が何処にあるかを探り続けるのである。 人種差別はアメリカに限らず根深い世界の問題である。他民族に対する意識が、人間の本性としても、動物的な感覚としても受け入れ難い何かが、そこにはあるのではないだろうか。肌の色、顔つきの特徴など見た目の違い以上に、考え方や文化、宗教、歴史観など、自分(達)とは異なるものへの恐怖や防御本能が無意識的に生まれ働き、そして排除する。理解している様で理解し切れない生まれや育ちの違いを感じ取り、本能的に攻撃対象として認識してしまうのかもしれない。勝手に黒人はこういうものだ、中国人はこういった性格だとステレオタイプ的に決めつけ、民族そのものを一括りにしてしまう事は、他者を理解し認識する上である程度はやむを得ないが、実際は全ての人が同じであることなどない。日本人より日本的な考えや感覚を持つ中国人の友人が私にもいるが、優しいその人物とは対照的に、いつもお金の話ばかりして好きではない中国人の知り合いもいる。「風と共に去りぬ」の中の黒人像が決してアメリカ社会の黒人像全てではないだろうが、その影響力の強さは今尚アメリカ社会の黒人像に影響しているのではないだろうか。 本書を読んだ後、小説を読む日が来る事が楽しみになった。

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2023/03/02

昔、買ってすぐに一回読んだ後、ずっと本棚で塩漬けになっていました。 最近、謎解き風と共に去りぬという本を買ったので、その前にこの本をもう一度読んでみようとひっぱり出しました。 この本が出されてから四半世紀以上の時が流れましたが、アメリカの状況はあまりよくなっていないように感じまし...

昔、買ってすぐに一回読んだ後、ずっと本棚で塩漬けになっていました。 最近、謎解き風と共に去りぬという本を買ったので、その前にこの本をもう一度読んでみようとひっぱり出しました。 この本が出されてから四半世紀以上の時が流れましたが、アメリカの状況はあまりよくなっていないように感じました。 みんなが嫌な思いをすることのない世界になるといいと思います。

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2021/09/05

マ-ガレット・ミッチェル(1900-1949)唯一の長編時代小説『風と共に去りぬ(1936年出版)』と、1936年公開の映画をめぐりアメリカ南部の白人貴族社会で虐げられた黒人奴隷の歴史と、今日も続く人種差別問題の複雑さについて現地レポ-トされた研究書。『風と共に去りぬ』は、黒人の...

マ-ガレット・ミッチェル(1900-1949)唯一の長編時代小説『風と共に去りぬ(1936年出版)』と、1936年公開の映画をめぐりアメリカ南部の白人貴族社会で虐げられた黒人奴隷の歴史と、今日も続く人種差別問題の複雑さについて現地レポ-トされた研究書。『風と共に去りぬ』は、黒人の劣等意識を煽る人種差別を意図した作品だという、現地の声は根強く、南北戦争の終結と共に人種差別差別は再燃激化、現代社会に深刻な警告を及ぼしている。

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2012/01/22

影響を受けた映画は何かと問われると、ベタだが『風と共に去りぬ』は挙げたい。 豪華絢爛なセットとドラマチックなストーリー、男より逞しい気性の荒い美女。 日本人が護国のために耐えがたきを耐えていた70年前に 大衆の憧れとしてこの女性像を作り上げてしまうアメリカ文化の先進性に驚いた。...

影響を受けた映画は何かと問われると、ベタだが『風と共に去りぬ』は挙げたい。 豪華絢爛なセットとドラマチックなストーリー、男より逞しい気性の荒い美女。 日本人が護国のために耐えがたきを耐えていた70年前に 大衆の憧れとしてこの女性像を作り上げてしまうアメリカ文化の先進性に驚いた。 さて、そんな映画の原体験はあるものの、小説は未読。 長いので今後も読むこともないと思う(実は映画も長いので1回しか観ていない)。 本作を貫くテーマである南北戦争についてはよく知らないままであり この映画がアメリカ人に与えた社会的な影響についても、やはり分からずじまいだった。 小説『風と共に去りぬ』に自然と描かれる南部の黒人差別の正当化に焦点を当て、取材をしたのが本作だ。 結局黒人差別を肯定も否定もせず、何が言いたいのかよく分からない本だったが発見はあった。 例えば、小説『風と共に去りぬ』では、アシュレイほか南部の伝統的貴族はKKKであり 奴隷制撤廃を求める北部人と、開放されて凶暴化した黒人を憎悪していたとか。 作者ミッチェルは伝統的南部人であり、そのことに高い誇りを持っている。 南部人の良識として、白人黒人に上下の差を認め、その上で愛情を持って黒人奴隷に接するべきだと考えている。 そして、奴隷制の枠外の者に対しては敵意を示し、KKKを英雄視している。 そうした描写は映画版では割愛されているので、僕は意識した事がなかったが 現代日本の感覚で言えば、確実に際どい作品である。 また観てみよう。いつか。

Posted byブクログ

2011/09/26

「風と共に去りぬ」の背景、歴史、マーガレット・ミッチェルの育った環境などを知ることができます。 また、いたるところに著者が現地で取材したインタビューも載っていて、黒人が風と共に去りぬをどう思っているのかなどもわかっておもしろい。

Posted byブクログ

2009/10/04

単に「風と共に去りぬ」作中の差別的記述に着目しているだけでなく、多くのインタビューを中心に構成したことで様々な立場からの人種観を記述することに成功している。過剰に黒人側に入れ込むこともなく、あくまで中立的な観点からアメリカ人の価値観を描写しようとしている点が良い。 400円。

Posted byブクログ