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わらの女 の商品レビュー

3.8

26件のお客様レビュー

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映画が有名ですが小説…

映画が有名ですが小説もすばらしい。大金持ちの求妻広告に応じたヒルデガルデを待っていたのは完全犯罪計画だった・・・悪女ものサスペンスで有名なアルレーですが、作品の出来はこれが突出しています。アルレーの描く悪女は情け容赦なしの究極です。他の作品はつまらなくてもこれだけは傑作です。

文庫OFF

2022/10/12

「カトリーヌ・アルレー」の長篇ミステリ作品『わらの女(原題:La femme de paille)』を読みました。 「ピエール・ルメートル」に続き、フランス作家の作品です。 -----story------------- ●「桜庭一樹氏」推薦――「アルレー大好きです。くるっと...

「カトリーヌ・アルレー」の長篇ミステリ作品『わらの女(原題:La femme de paille)』を読みました。 「ピエール・ルメートル」に続き、フランス作家の作品です。 -----story------------- ●「桜庭一樹氏」推薦――「アルレー大好きです。くるっと反転していくあたりが……」 ●「北川歩実氏」推薦――「巧みな心理描写も加わった物語の吸引力は抜群。」 ●「高見浩氏」推薦――「騙し、騙され……莫大な財産に目のくらんだ女の運命を冷徹に描く心理サスペンスの傑作!」 翻訳の仕事をするドイツ人女性「ヒルデガルデ」、34歳独身。 彼女は新聞の〈当方、莫大ナ資産アリ。ナルベクはんぶるく出身ノ未婚ノ方、家族係累ナク……〉という求縁広告に目をとめた。 それがすべての始まりだった。 知性と打算の生み出した見事な手紙が功を奏し、億万長者の妻の座は目前だったが、そこには思いも寄らぬ罠が待ち受けていた。 精確無比に組み立てられた完全犯罪の成就。 ミステリ史上に燦然と輝く傑作を読みやすい文字組の新版でお届けします。 解説=「新保博久」 ----------------------- 「カトリーヌ・アルレー」が1956年(昭和31年)に発表したデビュー第2作目の作品(当時の邦題は『藁の女』)で、本作品により一躍国際的な女流サスペンス作家としての地位を確立したとのこと、、、 現在でもミステリ史上に輝く傑作と呼ばれている作品なので、愉しみにして読みました。 第二次世界大戦で家族を喪い、ハンブルグで翻訳の仕事をして生計をたてている34歳の独身女性「ヒルデガルデ・マエナー」は、毎週、必ず新聞の第六面の求縁広告に目を通し、現在の生活から抜け出す機会を探っていた… そして、或る日の新聞に、遂に期待していた広告を見つけ、早速、連絡を取り、大富豪からカンヌへ招待される、、、 黄金と幸福な妻の座は目前にあるように見えたが、打算と虚栄に満ちた中年インテリ女性を待ち受けていたものは女の虚栄心を見事に逆用した時計のように正確巧緻な完全犯罪計画であった… 勧善懲悪の掟を破った問題作ですが、物語としては面白かったですね。 あとから振り返ってみれば、大富豪「カール・リッチモンド」の秘書「アントン・コルフ」の持ちかけてくる話は怪しいことだらけなのですが、、、 そうはいっても、目の前に大きなエサをぶら下げられると、冷静な判断ができなくなるんでしょうねぇ… 玉の輿を狙う「ヒルデガルデ」は、やや性悪な部分があるものの、悪女というほどの女性ではないので、途中から気の毒になっちゃいました。 途中から「ヒルデガルデ」に同情しながら読み進めていたので… ニューヨーク市警の警視「スターリング・ケイン」が「アントン・コルフ」に一泡を吹かせるような展開を期待していましたが、、、 そうはならなかったですね… だからこそ、問題作として注目を浴びて、傑作と言われているもかもしれませんね。 ミステリ好きなら読む価値アリの作品です。 以下、主な登場人物です。 「ヒルデガルデ・マエナー」  ハンブルク生まれの女性 「カール・リッチモンド」  ドイツ系アメリカ人の大富豪 「アントン・コルフ」  リッチモンドの秘書   「バーネス」  リッチモンド家の執事 「マーティン・ローマー」  アメリカ人の警部 「スターリング・ケイン」  ニューヨーク市警の警視

Posted byブクログ

2022/02/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

戦後のドイツ。翻訳で身を立てているヒルデガルデは、新聞に載っていたある求縁広告に目を止めた。莫大な資産を持つという一文に惹かれて広告主に手紙をだすと、フランスのカンヌへ呼び出されて面接を受けることに。そこで待っていた紳士に打ち明けられたのは、とんでもなく大胆な犯罪計画だった。翻訳ミステリーのオールタイムベストにも選ばれるというサスペンス小説のクラシック。 読後感が最悪〜〜〜(笑)。でも一気に読んじゃう面白さだった。今やコルフの手口は常套であり、開幕からずっと「ヒルデ、後ろ後ろ〜!」と叫びながら読んでいる気分だったが、先がわかっても最後までハラハラさせてくれる。さすが生き残っている古典。 打算的な"悪女"がしっぺ返しを食らう話であり、愚かな女が無慈悲な詐欺師に騙される話である。それにしても解説の新保博久がヒルデに一切同情を見せないのには驚いた。ファム・ファタールがやりこめられてスカッとジャパン!みたいな読み方されてたのかな。 フランスの小説でありながら主要登場人物はみんなドイツ人、真犯人を取り逃すのはアメリカ人刑事というのも、書かれた時代を考えると含みがありそうだ。資産家リッチモンドは特に戯画化されているが、彼の〈老いた道明寺司〉としか言いようがない厄介な性格は本書の前半を引っ張っていく。リッチモンドが喋らなくなってしまうと寂しい。 後半はコルフの独壇場にしてヒルデの愁嘆場。だが、完全犯罪を仕組み成功させたのは間違いなくコルフであるものの、物語のなかで彼はだんだんと後景化していく。コルフはただ作家が練ったシナリオをべらべらとネタばらしするだけの存在にすぎない。アイデンティティの全てを失い、追い詰められたヒルデが最期の選択をするまでの心理をなぞったラスト10ページは文章が小気味よく、緊張感が漲り、無駄が削ぎ落とされている。サスペンスを読む醍醐味がここにある。 だからエピローグは蛇足だと思う。「彼女は死んだ」でスパッと終わっていれば、読後感はもっと最悪で完成度はグッと高まっていたのではないだろうか。

Posted byブクログ

2021/11/18

傑作ということでしばしば取り上げられるし、カバーの概説に”思いも寄らぬ罠”とかあるので、そうゆう目で読むと前半ところどころに隠されている伏線にも、あれっ?とか思ってしまいますね。

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2021/05/26

(あらすじ) ヒルデガルデはハンブルクに住む翻訳者。ハンブルクの大爆撃で家族も家もなにもかも失い、自分の拙い稼ぎで暮らして行く事に疲れ果てていた。 ある日「当方、莫大ナ資産アリ。良縁求ム」 と書かれた新聞広告に手紙を出してしまった。 相手はアメリカの大富豪、年齢的にいつ亡くなって...

(あらすじ) ヒルデガルデはハンブルクに住む翻訳者。ハンブルクの大爆撃で家族も家もなにもかも失い、自分の拙い稼ぎで暮らして行く事に疲れ果てていた。 ある日「当方、莫大ナ資産アリ。良縁求ム」 と書かれた新聞広告に手紙を出してしまった。 相手はアメリカの大富豪、年齢的にいつ亡くなってもおかしくない。ヒルデガルデは老人に気に入られ結婚にこぎつける。 しかし、何処かで歯車が狂い出し…思いもしなかった運命が待っていた。 ーーーーーーーーーーーーーーーー いわゆる後妻業の悪女の話かと思ったけど、そうじゃない。主人公はむしろ真面目で何処にでもいる普通の女。この話は悪女でもないのに悪女みたいな事をやらかした、分をわきまえなかった事が悲劇を生んだ。 でも、同情も出来る。この本が出版された1956年当時に34歳の主人公は立派なオールドミス、女1人のカツカツの生活から何とか抜け出したいと願ってもおかしくない。ただ、自分と釣り合った相手ではなく一発逆転を狙った…気持ちはわからなくないが…危険ですね。 それから、この悲劇を生んだ要因は彼女の焦りの他にもう2つ。一つは語学が堪能だった事。それは彼女の強みである一方、ある種の思い上がりの気持ちを誘発した。そして、もう一つは…ある男に惚れてしまった。たぶん、それが最も大きな足を踏み外した要因かもしれない。

Posted byブクログ

2021/05/14

映画も名作だが小説も傑作。藁の女とは「怪しい事業の名義貸し人、ダミー」の意味。大金持ちの求妻広告に応じたヒルデガルデを待っていたのは精緻な完全犯罪計画だった。悪女ものサスペンスで有名なカトリーヌアルレーだが作品ではこの小説が突出している。正直他はあまり面白くない。そして情け容赦な...

映画も名作だが小説も傑作。藁の女とは「怪しい事業の名義貸し人、ダミー」の意味。大金持ちの求妻広告に応じたヒルデガルデを待っていたのは精緻な完全犯罪計画だった。悪女ものサスペンスで有名なカトリーヌアルレーだが作品ではこの小説が突出している。正直他はあまり面白くない。そして情け容赦ないラスト。心理描写も犯罪計画も見事に描ききり、最後に人生ってそうだよねと考えさせられる。

Posted byブクログ

2020/04/03
  • ネタバレ

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最後にもう一度どんでん返しがあるのでは、と期待したのだが。結局、殺人のトリックも分からない。 でも、一気に読んでしまった。

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2020/01/20

母の残した本を整理していて見つけたので再読。ついでに読みたい本を探すと紙袋に一杯になった。 世界のミステリの名作と言うと上位にランクする、完全犯罪小説。アルレーは1956年に発表したこの作品で一躍世界に知られるようになった。 わらの女。つまらない女、犯罪に巻き込まれてもな...

母の残した本を整理していて見つけたので再読。ついでに読みたい本を探すと紙袋に一杯になった。 世界のミステリの名作と言うと上位にランクする、完全犯罪小説。アルレーは1956年に発表したこの作品で一躍世界に知られるようになった。 わらの女。つまらない女、犯罪に巻き込まれてもなすすべの無い女。 彼女は新聞広告で、半身不随で気難しい億万長者の老人の世話係りに採用される。秘書は全ての手はずを整て待っていた。 二人は老人のいる船に乗り込む。 やがて、老人に気に入られて、結婚した。莫大な遺産が転がり込むはずだったが。老人が急死。 身寄りない老人は先に財産を寄付する遺書を書いていたが、それを妻に変更した。だが急死したため 手続きが間に合わなかった。 遺言の効力が発生するまで生かしておかなくてはならない。 老人の遺体を生きていると見せかけて下船させて家に運ぶ。緊張感のある場面。 しかし、警察がかぎつけ、彼女は拘束されて、尋問を受ける。 秘書の計画で、便宜上の養女になっていたがそれも巧妙な罠で、秘書は娘思いの父親役を演じていた。 彼女は、老人の死を狙った財産目当ての打算的で冷酷な女ということになり、世間の非難を一身に受ける。 動機や行動が全て不利に働き、彼女の発言は心境の乱れで、辻褄が会わない虚言と見なされた。 彼女はついに法廷で裁かれることになる。 巧妙な罠にかかって、身動きもままならない。こうして完全犯罪の犠牲になって命を閉じる。 無防備な若い女を言いくるめて実行に移す、犯人の犯人の長い間に練りに練った巧緻な犯罪が成功する。 新訳が出ているので、少し古い訳だったが、追い詰められていく女の進退窮まった閉塞感は重く、反してどうあがいてもほころびがない犯罪計画に追い詰められる女、と言う設定がスリルもあり、スピード感もあるさすが名作だった。

Posted byブクログ

2019/09/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

解説で書かれてるように、ヒルデが犯人扱いされたら相続パーやんね?てのを前提として読んでた…(^_^;)なのでちょっと肩透かし喰らった気分。 むしろ前半のリッチモンドにプロポーズさせるまでのやり取りが面白かった。

Posted byブクログ

2019/03/31

 カトリーヌ・アルレー(Catherine Arley)の二作目の長編(1956)。原題はLa Femme de paille。安藤信也訳。日本では1958年東京創元社のクライム・クラブ第16巻『藁の女』として邦訳され、映画化を機に64年に『わらの女』で文庫化された。  34歳の...

 カトリーヌ・アルレー(Catherine Arley)の二作目の長編(1956)。原題はLa Femme de paille。安藤信也訳。日本では1958年東京創元社のクライム・クラブ第16巻『藁の女』として邦訳され、映画化を機に64年に『わらの女』で文庫化された。  34歳のドイツ人女性ヒルデガルデ・マエナーは伴侶を募集するアメリカの大富豪カール・リッチモンドの新聞広告を見て、妻の座を手に入れるが……。  富豪の秘書アントン・コルフとの最初の面接から始まって意表を突かれる出来事の連続。結城昌治氏がこの作品の「大きな論理的欠陥」を指摘しているが、そのことが欠点に見えないほど面白いストーリー運びだ。

Posted byブクログ