どこにもない国 の商品レビュー
作品紹介・あらすじ あなたの「いま・ここ」がゆらぐ―奇怪な、けれど妙に切ない9つの物語。 ***** 柴田元幸氏編・翻訳による全9編からなる短編集。収録されているのは以下の通り。 ・「地下室の査察」エリック・マコーマック ・「Do You Love Me?」ピーター・ケアリ...
作品紹介・あらすじ あなたの「いま・ここ」がゆらぐ―奇怪な、けれど妙に切ない9つの物語。 ***** 柴田元幸氏編・翻訳による全9編からなる短編集。収録されているのは以下の通り。 ・「地下室の査察」エリック・マコーマック ・「Do You Love Me?」ピーター・ケアリー ・「どこへ行くの、どこ行ってたの?」ジョイス・キャロル・オーツ ・「失われた物語の墓」ウィリアム・T・ヴォルマン ・「見えないショッピング・モール」ケン・カルファス ・「魔法」レベッカ・ブラウン ・「雪人間」スティーヴン・ミルハウザー ・「下層土」ニコルソン・ベイカー ・「ザ・ホルトラク」ケリー・リンク このうち、「地下室の査察」「どこへ行くの、どこ行ってたの?」「魔法」「雪人間」は既にそれぞれの作家の短編集で読んでいたので再読ということになる。再読とはいえ、どれも面白く、特に「どこへ行くの、どこ行ってたの?」のジワジワと迫って来る不穏な空気や、「雪人間」の少年たちの純粋な視線がお気に入り。エリック・マコーマックも「地下室の査察」が収録されている短編集を読んで大ファンとなり、翻訳されている作品は全て読んだ。レベッカ・ブラウンもこの「魔法」以上に面白い作品が数多くある。 今回初読だった作品もそれなりに面白かった。「Do You Love Me?」の最後の「私のこと、愛してるかい?」という母親の言葉は切実でもあり不気味でもある。「失われた物語の墓」はエドガー・アラン・ポーへのオマージュみたいな作品。「見えないショッピング・モール」はイタロ・カルヴィーノの「見えない都市」のパロディ。但し僕はイタロ・カルヴィーノは好きな作家なのだけれど、この「見えない都市」は「あまり面白くないじゃん」と感想に書いてしまうような不遜な読者でもある(汗)。 今回、「あれ?」と思ったのが、「下層土」のニコルソン・ベイカーと「ザ・ホルトラク」のケリー・リンク。ニコルソン・ベイカーは何冊か読んだことがあるのだけれど、その時はあまりピンとこなかった。ところがこの「下層土」が結構面白かった。なんでもスティーヴン・キングにバカにされたニコルソンが怒って「だったらスティーヴンみたいなホラーを書いてやる!」ということで書かれた作品らしいのだけれど、怖い、というよりもチラっとバカバカしい感じがし、そこがまた僕にとって面白さの要素の一つだった。何となく映画「キラー・トマト」を想起した。 ケリー・リンクも以前短編集を読んだことがあるのだけれど、やはりその時はピンとこなかった。確かその短編集にもゾンビが日常的に表れていたように記憶しているし、本作「ザ・ホルトラク」にもゾンビが登場するのだけれど、一つ一つの文節が単発でドスドスっと刺さってきて、それがいつの間にか全体を形成しているような感じ。僕にとって独特の世界観が描かれていて、その世界に馴染んだら抜け出せなくなっちゃった、ってな感じ。 全体としては、各作家の簡単な紹介本みたいな印象を持った。勿論これ1冊で各作家の全てが分かるわけではないけれど、「ほうほう、じゃあちょっとこの人の他の作品、読んでみようかな」といった最初の一歩的な役割はあると思う。僕にとって今回はニコルソン・ベイカーとケリー・リンクをもう一度読み直してみようかな、という気にさせてくれた1冊。
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ピーター・ケアリーの「Do You Love Me?」も怖かったけど、 (愛されない存在は消えてしまう…っての。消えたくないから「私のこと好き?」って聞くの…あまりにも皮肉…) エリック・マコーマックの「地下堂の査察」が思いっきり幻想的で暗くてぶっちぎりで不穏で救いがなくて好きだ...
ピーター・ケアリーの「Do You Love Me?」も怖かったけど、 (愛されない存在は消えてしまう…っての。消えたくないから「私のこと好き?」って聞くの…あまりにも皮肉…) エリック・マコーマックの「地下堂の査察」が思いっきり幻想的で暗くてぶっちぎりで不穏で救いがなくて好きだったな…
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とりわけ面白いと思われるアメリカ幻想小説の短編集とのこと。私にはDo You Love Me? が一番入り込みやすくて悲しくて恐ろしいと思った。あとは地下鉄の査察、魔女かなぁ。ただ、唸るようなストーリーで面白いな!という感想がわかなかったなぁ… 岸本佐知子さんの変愛小説集みたいな...
とりわけ面白いと思われるアメリカ幻想小説の短編集とのこと。私にはDo You Love Me? が一番入り込みやすくて悲しくて恐ろしいと思った。あとは地下鉄の査察、魔女かなぁ。ただ、唸るようなストーリーで面白いな!という感想がわかなかったなぁ… 岸本佐知子さんの変愛小説集みたいなのを期待してたけど違った。
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粒よりの短編集。「地下堂の査察」、「"Do You Love Me?"」、「見えないショッピングモール」、「ザ・ホルトラク」がよかった。「地下堂の査察」は別の訳者の「隠し部屋を査察して」も読んでみたい。
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「どこにもない国」読んだ。柴田元幸選アンソロジー http://www.shohakusha.com/detail.php?id=a4775401165 … しっくりこないと思いよく確かめたら幻想怪奇小説集だった。嫌いではないけどハッピーな話のほうが断然好き。幸福感溢れる怪奇小説...
「どこにもない国」読んだ。柴田元幸選アンソロジー http://www.shohakusha.com/detail.php?id=a4775401165 … しっくりこないと思いよく確かめたら幻想怪奇小説集だった。嫌いではないけどハッピーな話のほうが断然好き。幸福感溢れる怪奇小説なんてないもんな、既に字面が人格崩壊をおこしている(つづく 陰鬱な作品群に唯一スティーブンミルハウザーが明るい愁いを差し込む。「ある晴れた朝にぼくは目を覚まし」なんていう平易極まりない書き出しなのに醸し出される叙情の甘美で濃いことよ。こんな作家だっけ?ニコルソンベイカーはグロテスクだけど雰囲気はどたばたコメディ。アニメになりそう(おわり
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信用できない語り手が苦手なのに、ひとつ目からマコーマックさんで、さらには信用できない管理人の話でどうしようかと怯んだけれど、どの話もはっとする驚きに満ちていて、目の前にひろがる情景の鮮やかさと暗さが、楽しい時間だった。ルイスキャロルオーツの、見ず知らずの男に勝手に彼女にされている...
信用できない語り手が苦手なのに、ひとつ目からマコーマックさんで、さらには信用できない管理人の話でどうしようかと怯んだけれど、どの話もはっとする驚きに満ちていて、目の前にひろがる情景の鮮やかさと暗さが、楽しい時間だった。ルイスキャロルオーツの、見ず知らずの男に勝手に彼女にされている恐怖と恍惚。ニコルソンベイカーは、何故か(は巻末に)恐怖のじゃがいも小説で、そのショッピングモールは死者しか利用しないし、ミルハウザーの子供たちの雪遊びは、冬が幻想世界に融ける。ケリーリンク、ミルハウザーに惹かれつつも、意外とマコーマックさんいいじゃないか、と思えたのは収穫。
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柴田元幸が選んだアンソロジーって、私には岸本佐知子ほど面白くないんだな。これも面白いと思うものもあったけど、読んでると睡魔に攻撃されまくりというものもあった。「地下堂の査察」「"Do You Love Me?”」「どこへ行くの、どこ行ってたの?」「見えないショッピング・...
柴田元幸が選んだアンソロジーって、私には岸本佐知子ほど面白くないんだな。これも面白いと思うものもあったけど、読んでると睡魔に攻撃されまくりというものもあった。「地下堂の査察」「"Do You Love Me?”」「どこへ行くの、どこ行ってたの?」「見えないショッピング・モール」「下層土」(ぜひ岸本訳で読みたい)は良かった。まあ半分以上面白かったんだからよしとしよう。
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難解なアンソロジーです。 難解、とかいう言葉は使っちゃいけないのかもしれないけど、一筋縄では行かないことだけは確かです。 「感じる」よりも「考える」が大事になりそうな本。 「地下堂の査察」エリック・マコーマック 「”Do You Love Me?”」ピーター・ケアリー 「どこへ...
難解なアンソロジーです。 難解、とかいう言葉は使っちゃいけないのかもしれないけど、一筋縄では行かないことだけは確かです。 「感じる」よりも「考える」が大事になりそうな本。 「地下堂の査察」エリック・マコーマック 「”Do You Love Me?”」ピーター・ケアリー 「どこへ行くの、どこへ行ってたの?」ジョイス・キャロル・オーツ 「失われた物語たちの墓」ウィリアム・T・ヴォルマン 「見えないショッピング・モール」ケン・カルファス 「魔法」レベッカ・ブラウン 「雪人間」スティーヴン・ミルハウザー 「下層土」ニコルソン・ベイカー 「ザ・ホルトラク」ケリー・リンク が読めます。 好きだったのは、 「どこへ行くの、どこへ行ってたの?」 「魔法」 「雪人間」 かな。 柴田さんマジックにかかったのか、スティヴン・ミルハウザーが私もどんどん気になるように。 彼の短篇集を読んでみることにしました。
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ここ20年間の幻想小説編。 編者による近代アメリカの幻想小説集。(とはいえ、アメリカ?とも限らないかもしれないが・・・) 面白い!と思える小説たちの中で、特に幻想小説に絞ってまとめられた短編集。不思議だったり不気味だったり、奇妙な雰囲気がある。 私見としては、『地下堂の査察』と...
ここ20年間の幻想小説編。 編者による近代アメリカの幻想小説集。(とはいえ、アメリカ?とも限らないかもしれないが・・・) 面白い!と思える小説たちの中で、特に幻想小説に絞ってまとめられた短編集。不思議だったり不気味だったり、奇妙な雰囲気がある。 私見としては、『地下堂の査察』と『ザ・ホルトクラブ』が好みだった。 『地下堂の査察』は犯罪者や精神を病んだ者が地下堂に暮らし(閉じ込められ?)ており、彼らの査察をする話だ。何が起こるわけでもないのだが、常に狂気を背後に感じている雰囲気を持つ小説だ。 非日常のすぐそばにいるという意味では『ザ・ホルトクラブ』も同じかもしれない。ゾンビたちが訪れるコンビニエンスストアを描いているが、ゾンビは何かをしかけてくるわけでもなく、ただ言いたいことを言って、時には何かを置いて、去ってしまう。 所々挟まれるトルコ語らしき文句は本文と意味上の繋がりはないのだが、妙にしっくりくる。
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レベッカ・ブラウンの短編を読みたくて手にとってみました。 柴田元幸さんが選んだ現代アメリカ幻想小説集です。 レベッカ・ブラウン「魔法」も面白かったけれど、 エリック・マコーマック「地下道の査察」、 ピーター・ケアリー「”Do you love me?”」、 スティーブン・ミルハ...
レベッカ・ブラウンの短編を読みたくて手にとってみました。 柴田元幸さんが選んだ現代アメリカ幻想小説集です。 レベッカ・ブラウン「魔法」も面白かったけれど、 エリック・マコーマック「地下道の査察」、 ピーター・ケアリー「”Do you love me?”」、 スティーブン・ミルハウザー「雪人間」、 ニコルソン・ベイカー「下層土」が面白かったー! 幻想の名の通り、不思議な雰囲気が最初から最後まで。 不思議すぎる物語もあったけれど、それもよかった。 現代アメリカ小説って触れる機会がなかったので、とても新鮮でした。 以下、覚書。 ●エリック・マコーマック「隠し部屋を査察して」増田のぼる訳 創元推理文庫。 ●ピーター・ケアリーは初期にこのような幻想的な短編を書いている。 ●スティーブン・ミルハウザー「イン・ザ・ペニー・アーケード」柴田元幸訳 白水Uブックス
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