ひとがた流し の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
学生時代からの繋がりを持つ40代の女性三人の友情の物語。 長い付き合いだからこその軽口や、言葉なしに伝わる言葉や、間合いや、優しさ。 途切れずにずっとべたべたしてきたわけではないけど、長い時間を共に越えてきた彼女たちの、それぞれの相手への視線がなんとも鋭くて暖かい。 お互いを大事に思っているからこそ、本人よりもその人をよく見ている。わかっている。 何かを話しかけたり、手渡したりする場面で各章が終わり、次の章は毎回受け手の視点から、という構成もまた良かった。 小さな思い出がたくさん出てくる。そのひとつひとつのエピソードが、ラストでまたさらに輝いてくる。 北村薫さんならではの、人間だけではなく猫や物、果ては天気にすら可愛らしい人格で描くタッチがじんわり暖かい。 これを読んだら、誰しも孤独ではないと思える。 自分が思っている以上に、自分の傍にいる人は大事に思ってくれているし、たとえ傍にいなくても気にかけてくれている。 悲しいラストだけど、でも素敵なお話。
Posted by
病気や辛い事「ひとがた」と一緒に流してしまえたら良いのに。でも、そんな事出来ないから ちゃんと抱えていかなきゃいけない。 出てくるのは皆良い人。切ないけど、前向きに生きていく話だと思います。 学生の頃からの友情って良いですね。
Posted by
女性同士の友情、母娘そして父娘の愛情、男女の愛が丁寧に描かれています。 どの登場人物も、相手を思いやれる素敵な人たち。 私には、こんな風につながっている友達はいないかもしれないと この物語の3人の女性達が羨ましくなりました。 そして後半は、涙なしでは読めません。 悲しいけれど、...
女性同士の友情、母娘そして父娘の愛情、男女の愛が丁寧に描かれています。 どの登場人物も、相手を思いやれる素敵な人たち。 私には、こんな風につながっている友達はいないかもしれないと この物語の3人の女性達が羨ましくなりました。 そして後半は、涙なしでは読めません。 悲しいけれど、でも、なんだか清々しい 心があったかくなる そんな涙です。 そして、読みながら気づいたのですが、北村薫さんで私が好きな『月の砂漠をさばさばと』の母娘が登場していたんですね。 サバの味噌煮のエピソードで気づきました。 『月の砂漠をさばさばと』も読み直さねば。。。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
再々読かな。何度読んでも、無垢の信頼を・・・のくだりにジーンとする。 玲ちゃんと類さんの親子関係っていいよね。 親子ってなんだろうなあ。 さきちゃん親子も、月の砂漠をさばさばと、よりずっと大人びた関係になってて。親離れ(これはあっさりできてる感じ)子離れの時期で。 トムさんの人生もね。人生の最後に、トムさんが巡り合った幸せは、哀しいようなホッとするような。 でも、そんなタイミングでの事になったのは、やっぱりお母さんがトムさんの人生に落とした影は濃いと思うし。 それぞれの親子関係をしみじみ考える。
Posted by
幼馴染の三人は40代を迎え、女子アナ・作家・主婦(旦那のカメラマンのマネージャー)というそれぞれの仕事・生活での悩みや体調での変化、過ごしてきた時間で築いてきたきたものに助けられたり救われたり、穏やかな時間を描きながらどうしても変わっていくものを精一杯見送る誠実さ、切なさが終盤に...
幼馴染の三人は40代を迎え、女子アナ・作家・主婦(旦那のカメラマンのマネージャー)というそれぞれの仕事・生活での悩みや体調での変化、過ごしてきた時間で築いてきたきたものに助けられたり救われたり、穏やかな時間を描きながらどうしても変わっていくものを精一杯見送る誠実さ、切なさが終盤に胸に押し寄せる。 北村さんの作品は三冊目。作家の牧子が『月の砂漠をさばさばと』のお母さんだったとは…!!大好きな作品だから、あの小さかった“さきちゃん”が健やかに成長していて親戚の目線で見るように嬉しかった。北村さんの文章は、本当に彼の誠実さが滲み出ていて読んでいてとても安らぐ。概念としての“大人”に抱きしめられているみたいな。玲と類の父娘の会話や、さきと牧子、女三人の関係、それを書く上で重要な二人にした時の会話や役割が細やかに表現されていて読みやすいのに読み応えがあった。
Posted by
女同士の友情について、しみじみと考えさせられる話でした。 「オンナの世界はドロドロしたものだ」とは、一般的によく言われることであり、 実際そういった一面が存在することは、経験上否定は出来ないと思います。 だけど、もちろんすべてがそうじゃない。 逸れてしまった牽制球や、ホームラン...
女同士の友情について、しみじみと考えさせられる話でした。 「オンナの世界はドロドロしたものだ」とは、一般的によく言われることであり、 実際そういった一面が存在することは、経験上否定は出来ないと思います。 だけど、もちろんすべてがそうじゃない。 逸れてしまった牽制球や、ホームランになりそうな大きい当たりを、 機敏な動きとなりふり構わぬ大きなアクションで、必死に取ろうとしてくれるような友情もあるはずで、それには素直に憧れます。 わが身を振り返ると、たとえば日の当たらぬ二軍の練習場で、 下手くそな投球練習に延々と付き合ってくれるのではないか、と思えるような人もいます。 きっと彼女は「どんまいどんまーい♪」と笑顔を絶やさないでしょう。 また、負け続きでガラガラの観客席に、いかにも気のなさそうに 横向きに脚を崩して座り、メールなど絶えず何か別のことをしながら、 それでも毎試合、欠かさずいてくれるのではないかと思える人もいます。 肩でも故障したら、「抜群の効き目」だとネットで評判の湿布を調べて 即座に差し入れてくれそうな人もいます。 その場限りの賑やかしだって歓迎ですし、ただ生きていてくれるだけで、 独りきりのピッチャーマウンドが心強くなる人だっているのです。 大人になると、友達づきあいは自然と淡白になり、深入りを避けがちになります。 それは経験から来る、ある種の知恵であり、思いやりでもあるはずです。 ですから、さっき述べた希望はすべて自分勝手な憶測に過ぎませんが、 それでも、そんな風に感じることができるのは幸せなことだと思いました。 では逆に、自分なら相手に対して何ができるのか。 いきなり飛んできた球をしっかり掴んで、相手のグローブに ぱしっと収まるよう、確実に投げ返すことができるでしょうか。 なかなか会えない友人を、せめてテレビ越しに応援して、 勝ったら喜び、負けたら膝を打って悔しがることができるでしょうか。 チームメイトの上達や抜擢を喜び、不遇を悲しみ、 自分の境遇によらず純粋に相手だけを思いやることができるでしょうか。 下手な喩えではありますが、もっともっと自分に出来ることを考えたいと思いました。 一番印象的だったシーンは、骨折した牧子を見舞った千波がエレベーターで去っていくところです。 忘れられない場面となりました。 親子についても考えさせられる場面が多々ありました。 親と子を結ぶのはなんなのか、何を以って2人の人間は親子となるのか。 それについては明確に書かずにおきたいと思います。 最後に、身にしみて頷いた、ある台詞を紹介します。 「千波はね、よく言ってました。《やり直せないことが好きだ》って」
Posted by
Posted by
前半は著者がなにを描こうとしているのか分からなくてなかなか読み進めることができず、何度も本を閉じてしまいました。 面白くなったのは後半から。 40代女性の仕事や家庭や友情がリアルにイメージできます。 学生の私には、女性が働くことの大変さや、家庭を築く上でぶつかる壁や、変化していく...
前半は著者がなにを描こうとしているのか分からなくてなかなか読み進めることができず、何度も本を閉じてしまいました。 面白くなったのは後半から。 40代女性の仕事や家庭や友情がリアルにイメージできます。 学生の私には、女性が働くことの大変さや、家庭を築く上でぶつかる壁や、変化していく友情の形に共感を示すことはできないけど、自分の人生の先に、日常として、確実に起こることなのだろうと感じました。 「砂漠の中をさばさばと」のさきちゃんが出てきたのが嬉しかった。 日常の幸せ、小さな幸せを大切に描いてる作品が好きです。 なので"落とした納豆がひっくりかえらずに着地していたこと"に幸せを感じられるいちょーやさんが結構好き。 結婚までしちゃうのかーと思ったけど、でも納豆に幸せを感じられるいちょーやさんだからきっと幸せだったと思うな。 最後の2章はちょびっと泣きました。
Posted by
この本も去年のいつだろう?買った日もよく覚えてないけど・・・ 積読の中で80%読みかけのままでした 読み進めるのが、ちょっと苦しくなって放置したって言った方が正しいかも 北村 薫氏は男性なんだけど、この方の書く小説は何だか読んだ後に ほっこり感が残ると言うか、女性の気持ちをよく...
この本も去年のいつだろう?買った日もよく覚えてないけど・・・ 積読の中で80%読みかけのままでした 読み進めるのが、ちょっと苦しくなって放置したって言った方が正しいかも 北村 薫氏は男性なんだけど、この方の書く小説は何だか読んだ後に ほっこり感が残ると言うか、女性の気持ちをよく理解されているんだなぁ~って 思うものが多い気がします この小説、私の今の年代に読んだからこそ良かったと思います きっともう少し若かったら、もっと年だったら、あまり残らなかったかも知れません だからか、読むのが苦しくなってしまったのかも知れません かつて学生時代を共に過ごした40代の女性の友情を軸に書かれています 主人公の1人「トムさん」は小説の最後には癌で亡くなってしまいます 自分がもしトムさんだったら、こんな風に最期を迎えられるか? 逆に友達の方だったら、こんな風に接する事ができるだろうか? 何度も何度も小説の途中で泣きながら読みました 「友達」って何だろう? 適度な距離感で、側にいて欲しい時は黙っていてくれて、騒ぎたい時は一緒に騒ぎ ある時は意見の衝突もあって言い合うんだけど・・・気まずくなったりもするんだけど 数日するとまた同じ空気感で・・・ 逆に数ヶ月、いや1年以上も会わなくても、会えばその時間をスッと乗り越えられる・・・ 友達の定義って難しい 年代ごとに付き合い方も変化するしね だけど、何の利害関係もなかった学生時代に一緒に笑ったり、泣いたり、怒ったり・・・ いろんな感情をぶつけ合えた者同士にしか分からないものがあるのかも知れないなぁって 思ってしまいました
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ガチの友情話。泣ける。 結婚する過程がかなり強引に思えたけど、ガチ友情ものなので旦那はただの踏み台なのです。 最後のエレベータが閉まるシーンは凄い喪失感だった。 いつか誰かとこんな喪失感を体験するときが自分にも来るのだろうか。
Posted by