世紀末大バザール 六月の雪 の商品レビュー
第15回鮎川哲也賞佳作。とは言え、内容はガチガチの本格ではなく、大阪のウエストサイド・泉州を舞台としたユーモアタッチのハードボイルド。軽妙な語り口とユーモラスなキャラクターが愉しく、グイグイと読ませるものの、それでもやっぱり最後に疑問が残る。何故これを鮎哲賞に?
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ノストラダムスが予言した地球滅亡まであと2カ月となった5月、大阪に向かった『本多』は、偶然出会った二人組の男に仕事を紹介してもらおうと咄嗟に探偵だと言う。彼が連れて行かれたのは無計画に増築されたド派手な建物で、モールにしてアジトだというそこは『源さん』というこれまた摩訶不思議な男...
ノストラダムスが予言した地球滅亡まであと2カ月となった5月、大阪に向かった『本多』は、偶然出会った二人組の男に仕事を紹介してもらおうと咄嗟に探偵だと言う。彼が連れて行かれたのは無計画に増築されたド派手な建物で、モールにしてアジトだというそこは『源さん』というこれまた摩訶不思議な男が創ったらしい。 中学生を探す依頼を受けた本多は、オカマの美少女と共に調査に向かう先々で事件に遭遇し、次第に別方向へと発展していく。 軽妙な語り口に乗せられて読み進めていき、最後の解説を読んで「え、これって本格ミステリだったの!」と驚きました。そうか、第15回鮎川哲也賞佳作受賞作か。 まあそういや密室事件なんかあったけど、読み終わってみれば残るのが源さんの不思議な魅力でしょうか。色々な人や過去や想いを抱えたモールの賑やかさが、一抹の切なさと共に愛おしく感じられます。 色々と無茶な話ではありましたが、読ませきるだけの勢いがある作品でした。
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■大切なものを守るために、あなたなら何をしますか。1999年5月。本多巧は大阪へ向かった。偶然居合わせた二人組の悩みを解決した恩で、本多は仕事を紹介してもらう。何ができるか、と問われ「探偵だ」と答えたことから家出人を捜すことに。連れていかれた先は、増改築を繰り返した原色のモール。...
■大切なものを守るために、あなたなら何をしますか。1999年5月。本多巧は大阪へ向かった。偶然居合わせた二人組の悩みを解決した恩で、本多は仕事を紹介してもらう。何ができるか、と問われ「探偵だ」と答えたことから家出人を捜すことに。連れていかれた先は、増改築を繰り返した原色のモール。お目付け役に美少女(でもオカマ)がついたことで、俄然やる気を出す本多だが、開始早々奇妙な事件が二つも勃発!軽妙な語り口とユーモラスなキャラクターで贈る快作長編。第15回鮎川哲也賞佳作。鮎川哲也賞選考会上で物議を醸した衝撃の一作、満を持して登場。 ■■ミステリーとはいいずらい。でもテンポが良いので読みやすい。このままのノリで行くのかとおもいきや、最後の最後でほろりと泣かされます。でも、自分にはそれが理不尽というか釈然としないというか、納得できなかったので★二つ。正直、やるせない。
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※このレビューにはネタバレを含みます
1995年5月末。ノストラダムスの人類滅亡まで残り最長で2ヶ月。 28歳、残金3,000円のアナーキスト、本多巧は大阪に降り立ち、残り2ヶ月を探偵としてやり過ごす。 何やら訳ありの男、本多巧はノストラダムスの大予言である7の月より早く来る自分自身の滅亡から逃れるべく大阪へ向かう。 立ち寄ったお好み焼き屋で偶然に出会った二人組の悩みを解決したことから、人類滅亡までの2ヶ月を食い繋ぐための仕事を紹介してもらうのだが、思わず探偵と名乗ったところから奇妙な事件に巻き込まれていく。 広大な敷地に5階建ての無理矢理に建て増しされた派手な建造物。所狭しと積め込まれた食堂や屋台、怪しげなショップの数々と喧騒が入り混じる通称“モール”に連れて来られた本多に課せられたミッションは家出中学生の捜索。 ただならぬ雰囲気に怪しげで片言な住民。やたら強い美少女(オカマ)のリィをお供に捜査に乗り出すが、掘れば掘るほど湧き出る事件と“モール”への疑惑。失踪事件に脅迫事件、傷害事件に隠された○○事件と、偽探偵には荷が重過ぎないか?と思いきや。 前職が謎に包まれた主人公、本多巧は何故か探偵以上のスキルを以って家出中学生捜索以外の謎解きに挑んでいく。 逸早く“モール”による監視に気付いた本多は歯磨きガムで監視カメラを封じ、並々ならぬ忍び足で夜の“モール”を盗聴、物証探し、玉ねぎを駆使した番犬の撃退と、昼間に人前では見せないスーパーヒーローぶりを発揮。 推理も基本的に人任せ。格闘はリィに任せ、次から次へと「犯人はあなたです」を繰り返す。 それでも周りに出来る奴とギリギリ思わす絶妙なバランス感覚。 そして“モール”“殺し屋”“政治家”“警察”“ヤクザ”のお祭り騒ぎの中いつのまにか辿り付く壮大な歴史の真実。最終的にわからないのは本多の正体のみ。 軽快な一人称。一転二転で最後に全てを覆すストーリー展開。作家デビュー作としての企みがたっぷり注ぎ込まれてお腹いっぱい。 常に自信漫々の本多、かなり強い美少女(オカマ)リィ、ワトソン的ポジションの根来、奇妙で愛嬌のある“モール”のボス源さん。 一癖も二癖もある登場人物と、絆で結ばれた“モール”。 不思議な世界観と壮絶なのに優しさに満ちたミステリーの居心地は抜群。 続編があって欲しい。 日向旦 その他の著書 ・六月の雪(篠宮裕介 名義)
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ミステリー・・・?に分類されるんでしょうね。鮎川哲也章だし。 トリックよりも、人物の配置や仕掛けに重点を置いた作品だと思いました。 主人公の性格が何だか鼻について好きになれませんでした。
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