村上春樹論 の商品レビュー
2009年7月9日読了。新作「1Q84」が人気らしい村上春樹を、サブカルチャーの担い手(?)・まんが評論家の大塚英志の観点から読みといた本を読んでみた。グローバルな日本人の尖兵・無国籍なブンガクを体現する筆頭の日本作家というイメージのある村上春樹が海外ではゲイシャガールのブックカ...
2009年7月9日読了。新作「1Q84」が人気らしい村上春樹を、サブカルチャーの担い手(?)・まんが評論家の大塚英志の観点から読みといた本を読んでみた。グローバルな日本人の尖兵・無国籍なブンガクを体現する筆頭の日本作家というイメージのある村上春樹が海外ではゲイシャガールのブックカバーで売られるなどの意外な実態。吉本ばなな、大江健三郎らと対比することによって見えてくる村上ブンガクの誠実さと脆さ・弱さなど、大変興味深く読んだ。私も村上春樹の小説に対しては「なんとなく、肌に合わない」という印象を抱いていたが、文壇では随分と感情的ともいえる批判・拒絶を受けているものなのだな・・・。大塚氏は村上春樹が、小説という虚構の力でもって厄介な現実に、誠実に立ち向かおうとしている点についてはとにかく評価できる、としている。「面白い小説を書く」だけではすまない。文学者とは大変なものだ。
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