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粟津則雄著作集(第1巻) の商品レビュー

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2025/09/02

『ダンテ時獄篇精読』(1988年、筑摩書房)、『アルテュール・ランボオ』(1973年、NHKブックス)、『少年ランボオ』(1977年、思潮社)、『ランボオの生成』(1979年、思潮社)の四作品を収録しています。 ダンテの『神曲』は、とめどなく増殖するイメージの奔流に飲み込まれて...

『ダンテ時獄篇精読』(1988年、筑摩書房)、『アルテュール・ランボオ』(1973年、NHKブックス)、『少年ランボオ』(1977年、思潮社)、『ランボオの生成』(1979年、思潮社)の四作品を収録しています。 ダンテの『神曲』は、とめどなく増殖するイメージの奔流に飲み込まれてしまい、近代小説の読者にとって理解しやすい作品とはいいがたいように思います。著者は、作者であるダンテと、物語の語り手であるダンテを区別しつつ、作者であるダンテと地獄の登場人物たちの関係を明らかにしたうえで、語り手であるダンテとそれらの登場人物たちとのかかわりにおいて、どのようなかたちで情念とイメージの増幅がおこなわれているのかということを解説します。 のこりの三作品は、いずれもランボーの評伝です。ランボーを愛したわが国の詩人である中原中也とおなじく、永遠の少年というべきイメージが定着しているランボーですが、著者もこうしたイメージにある程度まで寄り添いつつ、ランボーの前半生をていねいに解説しています。ランボーの生い立ちを語るうえで欠かせない、支配者として彼の家庭に君臨した母のヴィタリー、ランボーを文学の世界へといざない、やがて彼がそのもとを離れていったイザンベール、そして、ゴーガンとゴッホの関係にも匹敵する、愛憎がからみあいながらもどこかコミカルな印象をひとにいだかせずにはおかない関係を結んだヴェルレーヌといった人物たちが、ランボーという詩人の形成にどのようなしかたでかかわりをもったのかということが、生き生きとえがき出されています。

Posted byブクログ