日本人のための憲法原論 の商品レビュー
憂国の情を掻き立てられる一冊。「機会の平等」の機軸となる権威の不在が、日本国憲法における深刻な問題。そこに民主主義も資本主義も根付き得ない。 この段落では、自分なりの要約。官僚による、法に則らない三権の支配。その防波堤となるのが、三権のうち最大の権力を持つと憲法で明記されてい...
憂国の情を掻き立てられる一冊。「機会の平等」の機軸となる権威の不在が、日本国憲法における深刻な問題。そこに民主主義も資本主義も根付き得ない。 この段落では、自分なりの要約。官僚による、法に則らない三権の支配。その防波堤となるのが、三権のうち最大の権力を持つと憲法で明記されている議会のはずだが、その議会でさえ官僚の声をリピートすることに終始し、まともに議論が交わされない体たらくである。議員立法など皆無。その議会のバックにあるのは私たち国民のはずなのに、私たちもまたマスコミの扇動を盲信するばかり。そしてマスコミの擦り寄る先は…。 現代日本において政治を監視するまともなシステムはないと思った。その中で私たちができることは何か。本を利用してもいい、インターネットでもいい、人でもいい、とにかく情報を多角的に、とりわけ批判的に捉える習慣づけをすること、そして、その輪を広げるべくSNSや個々の団体などを通じて地道に声を上げていくことが例として挙げられるのではないだろうか。ひたすらできることを模索し続ける。考える力を失ったままでは、自分の首を絞めることになる。
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憲法の中身を詳述するのではなく、憲法とはなんぞやという根本的な問に対する答えを提示していく。憲法改正論議に参加する前に押さえておかなければならないことに思える。 憲法を理解するためには、他の論題にも多々言及する必要がある。議会政治の成立過程、宗教改革、ロックの社会契約説、プロテスタンティズムとヴェーバーの考察、民主主義と資本主義、など多岐に渡る。本書が対話形式をとっていることに加えて、小室先生の簡明で要点をついた説明がわかり易く理解しやすい。だだ田中角栄絶賛の件はわたしの知識不足もあって首をひねることが多かったが。 といっても良書。憲法素人のまず初めの一歩としては十分だろう。
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なぜ憲法なのか。憲法とは何なのか。憲法には人類が学んできた叡智が詰まっている。現代日本の問題は、突き詰めれば「憲法が死んでいること」に起因する。憲法の理念を活かすも殺すも人々がその理念を支持するか否かにかかっている。 --- 憲法が死んでいるのはわたしたちのせい 日本人全員必...
なぜ憲法なのか。憲法とは何なのか。憲法には人類が学んできた叡智が詰まっている。現代日本の問題は、突き詰めれば「憲法が死んでいること」に起因する。憲法の理念を活かすも殺すも人々がその理念を支持するか否かにかかっている。 --- 憲法が死んでいるのはわたしたちのせい 日本人全員必読本 社会学者宮台真司さんのお師匠さんでもある小室直樹先生による「憲法学」の講義。 憲法というものは、そこにどんなにいいことが書かれてあっても、それだけではなんの意味もありません。文面そのものに価値はありません。憲法に書かれていることが、じっさいに国民の一人ひとりに、どれぐらい信じられているか、だいじにされているか、それが肝心です。それが憲法の「生き死に」をきめます。 いま日本国憲法は死んでいます。ただの「お題目」になってしまっています。そこに書かれていることの多くが、ないがしろにされています。詳しくは本書をよめばあきらかになるでしょう。 憲法にふたたび活をいれるためには、国民の一人ひとりが憲法を理解しなければなりません。 ふだんの生活のなかで憲法の存在を意識することはすくないかもしれませんが、憲法というものがいかに深くわたしたちの生活にかかわっているかがよくわかる本です。
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iPhoneの無料アプリの六法全書を落として、日本国憲法 を読み、憲法について改めて知識を得たいと思って、 図書館でこの本を手に取りました。 そもそもは今の政情、民主党の無能さ、明らかにおかしい 政策に憤りを感じていることが、そう思う動機であったわけ でありますが、キリスト教に関...
iPhoneの無料アプリの六法全書を落として、日本国憲法 を読み、憲法について改めて知識を得たいと思って、 図書館でこの本を手に取りました。 そもそもは今の政情、民主党の無能さ、明らかにおかしい 政策に憤りを感じていることが、そう思う動機であったわけ でありますが、キリスト教に関して言えば、ルターの宗教改革 くらいしか憶えていなかった自分にとって、この本で紹介される 歴史的な背景はとても勉強になりました。 紹介されている文献を読み進め、勉強したいと思います。
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こいつが居なきゃ社会学なんか専攻しなかった。こいつは俺の人生を変え続けてる。この本自体はフツーに面白いレヴェル。
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・議会と民主主義は無関係(ナチ御用学者カール・シュミット) ・ヒトラーの経済センス ・刑法は裁判官を縛るもの ・プロテスタンティズムと資本主義。資本の投下だけでは資本主義は発生しない(中国) ・キリスト教(日本は天皇教?) 小説でもないのに感動。
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この本にももっと早く出会うべきでした。 もったいない事をした。 何故もっと早く読まなかったのだろうか? ハンセイ
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この本は「憲法」の本であるが、単なる「憲法」の本ではない。もちろん、日本国憲法の条文解釈の本でもない。そんな視野の狭い話ではなく、「近代法」そのものを社会科学的見地から解き明かした本である。「憲法」に関する本を一冊だけ読めと言われたら、有無を言わさず本書をお勧めする。そのくらい素...
この本は「憲法」の本であるが、単なる「憲法」の本ではない。もちろん、日本国憲法の条文解釈の本でもない。そんな視野の狭い話ではなく、「近代法」そのものを社会科学的見地から解き明かした本である。「憲法」に関する本を一冊だけ読めと言われたら、有無を言わさず本書をお勧めする。そのくらい素晴らしい本だ。「法学」や「政治学」の枠を超えられない学者には絶対書けない本である。さすが社会科学の碩学である。
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社会系の学問をすべて統合し、今の日本における問題を正すには憲法に行き着くと結論付けた小室氏。改憲、護憲の議論の前に死んでしまった日本国憲法をよみがえらせるには民主主義の思想、資本主義の精神に立ち返らなければならない。社会主義国となりはてた日本の傷は深いみたいです。あとアメリカの民...
社会系の学問をすべて統合し、今の日本における問題を正すには憲法に行き着くと結論付けた小室氏。改憲、護憲の議論の前に死んでしまった日本国憲法をよみがえらせるには民主主義の思想、資本主義の精神に立ち返らなければならない。社会主義国となりはてた日本の傷は深いみたいです。あとアメリカの民主化政策の無謀っぷりも痛感させられます。(2006/7/16読了)
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