出現する未来 の商品レビュー
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『学習する組織』で有名なピーター・センゲが共著者のような形で参加している一冊。共著者たちの対話で構成される「経験の章」と、それをふまえて展開される「理論の章」が交互に差し込まれていく形態を取っており、「経験の章」はページ脇にグレーの線が入っているので、一目でそれとわかる親切設計。 中身はかなりハードで、しっかりついていかないと何が論じられているのか、何を読まされているのかが分からなくなる。6章「出現する理解-U理論」がこの本のコアとなる考え方を述べているところなので、まずはここをしっかり押さえたい。 基本的に、ビジネスマインドをどのように養っていくかという作法の一つを紹介している本であり、現代哲学のようなものだと思うので、一読してすべて理解しようというのは土台無理な話。 経験→理論を何度も積み重ねていく構成ではあるが、再読の時にはどの章から読んでもそれなりについていけると思われるので、再読して初めて輝くというか、内容を深く理解していけるタイプの本であると感じた。
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・脅威を警告するシグナルは至る所にあり、気づいている人も少なくない。だが、企業の免疫系が未知のものを拒否するために浸透しないのである。 ・「全体から見る」カギは、既存の見方を保留するだけでなく、見えるものの背後にある生成過程へと意識を「転換する」能力を磨くことである。 ・自分の行動、考え方、感じ方のどこが、このパターンを維持しているのか ・身軽になればなるほど、多くのものが待っていてくれる ・自分が何のためにここに存在するのか、その目的が分かった時、世界は不思議な方法でそれを示してくれる。その瞬間、舞台に立っているのは、自分のために書かれた物語を演じるためだと気づく。 ・熱意を持った市民が何人か集まれば、世界は必ず変えられる。それ以外の方法で世界が変わった例はない。 ・真の自由は「不自由な意思」から離れ、「大いなる意思」に身を捧げることによって、獲得できる。 ・出現しようとしているのは、ひとつの存在の異なるあり方として、科学、精神性・精霊、リーダーシップを統合したものである。 ・誰しも生まれながらに運命や目的が定められている。人生はそれを見つける旅。 ・奉仕するリーダー、探究者の究極の目的は、自分の運命に合った特質を見つけること、人生をそのように生きるために知恵と力を見つけること。 ・「グローバル化の真のメッセージ」は、「われわれが人間として、社会の違いを超え、いかに深く繋がっているかに気づく」ことにある。
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読了。うぬーーー。課題図書だから最後までがんばったけど、中盤以降、なんだかモヤモヤで終わってしまった。これならU理論そのものを読む方が学びが深い気がするんだけど。(U理論ができるまでの対話、という位置付けのようだけど)(世界のそうそうたる面々の経験を紹介する、という体裁は、最初...
読了。うぬーーー。課題図書だから最後までがんばったけど、中盤以降、なんだかモヤモヤで終わってしまった。これならU理論そのものを読む方が学びが深い気がするんだけど。(U理論ができるまでの対話、という位置付けのようだけど)(世界のそうそうたる面々の経験を紹介する、という体裁は、最初の方でおなかいっぱい) p43, 保留する能力、特に集団での保留について、が印象深い。そこでも誠実さが重要なのだな。 p70, 解決すべき問題が『外』にあると考えがち問題。適応課題ですな。 p217, 執着についてのエピソード…うぁぁ。216の南老師の7つの瞑想空間(意識、停止、平静、静寂、安穏、熟考、到達)とU理論とのリンク218,219も読み返したい。
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2017年58冊目。 過去の経験・習慣にとらわれて反応するだけの「ダウンローディング」よりも、もっと深い変革を起こすための「U理論」。 この本では、U理論が生まれるまでの過程を、第一人者たちの対話を元に辿っていくことができる。 完成系の理論の提唱ではなく、動的な生成過程を重視し...
2017年58冊目。 過去の経験・習慣にとらわれて反応するだけの「ダウンローディング」よりも、もっと深い変革を起こすための「U理論」。 この本では、U理論が生まれるまでの過程を、第一人者たちの対話を元に辿っていくことができる。 完成系の理論の提唱ではなく、動的な生成過程を重視しているところが、まさにU理論における一つの特徴を表しているなと思った。 提唱者たち自身ですら答えが分かりきっていない部分もある正直な対話で、今後も深まり続ける理論なのだなと感じた。 「何を行うか(what)」「どう行うか(how)」以上に、「誰が行うか(who)」という観点が、リーダーシップにおいて重要。 ダウンローディングにとらわれているリーダーによって起こせる変革の内容は、やはりダウンローディングの域を出ない。 リーダーを筆頭に、変革の実行者たち本人の「内面のあり方」が、結果を大きく左右する。 意志の力は大事だけれど、質の悪い意志は、むしろ頑ななメンタルモデルからのダウンローディングを強める方向にも働きうる。 ある意味自我を手放して、メンタルモデルを保留して、今何が求められていて何が現れようとしているのか、そこを感じて身を委ねられる空白感が必要。 過去からの学習ではなく、出現しようとしている未来を感じ取るという学習を、いかに組織的に起こしていくか。 そのスタートは、まずは自分自身の内面のあり方を変えていくことだなと思う。 深淵な(そしてちょっと神秘的な)理論なだけに、頭で考え過ぎると抵抗感がある部分も正直ある。 だけど、自分が尊敬するリーダーやアーティストの創造力を思うと、直感的にはとても腑に落ちる。 自分自身の経験の中でも、頭で考えている以上にどんどん直感で自然とアイデアも行動も生まれてきていた時期を思い返すと、やはり納得感が強い。 「サーバントリーダーシップ」「シンクロニシティ」「源泉」「シナリオプランニング」「マインドフルネス」「U理論」「システム思考」「ダイアローグ」「我と汝」... これまで触れてきたたくさんの概念が、この本のおかげで、それぞれどういう繋がり方をしているのか、だいぶマッピングできた。
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最近の興味をもっていたことが、すべてのこの本に統合されている、と感動した。つまり、システムシンキング、シナリオプランニング、仏教、タオイズム、対話、サーバント・リーダーシップ、地球環境問題、理論物理学、複雑系などなど、を踏まえた、経営論を超えた経営論というか、現代文明論。西洋人も...
最近の興味をもっていたことが、すべてのこの本に統合されている、と感動した。つまり、システムシンキング、シナリオプランニング、仏教、タオイズム、対話、サーバント・リーダーシップ、地球環境問題、理論物理学、複雑系などなど、を踏まえた、経営論を超えた経営論というか、現代文明論。西洋人も、いろいろ経由して、結局、仏教的な世界に行っちゃうのか、と感慨をもった。たとえば、複雑系経済学のブライアン・アーサーが、タオイズムの師に一言ガツンといわれて、香港に引っ越して、弟子入りしちゃうとか、ななかなかすごい話だな。 おそらくは、これを読んでも、明日からの仕事に全く役立ったりしない。というほど、根源的な経営論。つまり、「どうするか」ではなく、「どうあるか」なんだな。「ある」ことから、人間を変え、部分の変化が全体の変化を生み出す。 ジョセフ・ジャウォースキーの「シンクロニシティ」にもあった、神秘主義や「最後は神の存在」的なところはあるけど、「シンクロニシティ」より、著者4人の対話を経て洗練されているし、西洋的な「神」とか「目的」といったことが、異文化では理解されないことへの自覚が感じられて、そう嫌でもない。最後には、音楽を聴かせた水は美しく結晶するみたいな、???な話もでてくるが、まあ、たまにはそういうことも信じても良いかと思った。
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空を飛びたい人へ 飛び方がここに書かれてるよ。 よかったね。 野中さんってこんな本まで絡んでるんだね。 数少ないステキな日本人だね。
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全部読めず。U理論の本を読む方が分かりやすい。難しく、抽象的。すぐには使えない内容なので、それを分かって楽しむなら良いと思う。
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U理論の概要と、この理論が今の社会になぜ必要かを、経済、文明、宗教、科学などさまざまな観点から語っている。あまりに広範かつ深淵な話題のため、怪しさがただよい、読む人を選ぶだろう。怪しさに惑わされずに、素直に読めば、いいことが書いているし、自分の生き方を変えようという気持ちになる。
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U理論を知ってから読むと良くわかります。 改めて読み直してみると、なるほど、そういうことか、というところが随所にありました。
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○U理論とは(実はさっぱりわかっていませんが)、まったく新しい創造を生み出すための理論です。そのことは「出現する未来」というタイトル通り、「過去から学ぶ』のではなく、「出現する未来から学ぶ」という、きわめて分かりにくいアプローチを行うのです。その創造の過程は「U理論」というシステム、モデルによって説明されます。ですが、たんなるアイデア生産の方法論だと思ったら大間違いで、それで大やけどしたのがぼくというわけです(U理論について僕なりにいえば、ゆったり沈むセンシング、理解の海底プレゼンシング、海面へ浮上するリアライジングというイメージ・・・本書261ページの図が分かりやすいです。この図をみると、結晶化はプレゼンシングからリアライジング、具現化の過程につながる?)。 ○未来から学ぶということは奇妙なことですが、今この時代には過去から学ぶだけでは不十分なこと、つまり、まったく新たな力による変動を視野に入れる必要があります。あるいは、ある課題に対して、単にそのときどきの状況に対処するだけではない、まったく新しい変革が求められる場合もあります。U理論はそうしたときに活用できるモデルで、本書で取り上げられている数々の事例は、その理論を様々な視点から(断片的に)みつめているといえるでしょう。 ○人間の成長、科学や技術の発展とそれを適切に用いる叡智。本書が語ることは、理論という響きがもつ無味乾燥な内容を想像させながらも、生命体や自然観、精神や思想(特に仏教)という要素も欠かせないものとして語られています。まさにそこがぼくを含めた読者の困惑の種なのかもしれませんが、あらゆる諸分野をひっくるめた探求の試みなのでしょうし、それがこの本の面白さだと思います。 ○個人的におすすめの読み方は、システムに関する記述で分からないことがあったら、事例的な部分にあたるとよいと思います。本書で出てくる事例からは、それぞれシステムの断片が垣間見れると思うので(この本自体そういうふうに構成されているのですが)。
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