経済財政諮問会議の戦い の商品レビュー
2002年内閣府経済財政諮問会議スタッフ←政策研究大学院大学 政策形成プロセス §3骨太方針 §4予算編成プロセス §5政策形成プロセス 透明性・スピード感 §6社会保障制度 §7税制改革 §8三位一体改革 §9小さな政府の実現 §10民間人参加の意義 §11今後の課題
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※このレビューにはネタバレを含みます
2006年刊。小泉政権下での経済財政諮問会議の模様につき、これに参加した内閣府政策参与が内幕を開陳した書。そろそろ、小泉政権の政策の功罪を史的な意味で丁寧に検討すべき時期に来つつあると思うが、その意味でも、改革の旗立役となった本会議の模様は外せないよう。ここで見えてくるのは、ワードポリテックスの弊害(内実のなさと多義的解釈が可能な不明瞭性)と、政策決定の透明性という長所の部分。前者は、ことに国立大学・医療法人・農業部門の株式会社参入に感じた。本来これらの改革は別目的だし、方策や弊害も異質。 国立大学は配分予算の削減と教育・研究成果の亢進、医療法人は医療費の国庫負担の抑制、農家は農業の生産効率アップと自給率低下の抑制等など。それを「株式会社化」という一言で言いきってしまうのは悪癖というより、害悪である。特に株式会社化のフレーズは、小資本の多数の結集による大組織化がイメージされ、大学には意味不明(民間参入なら専門学校や塾でなされている)、病院・農家なら、大多数の中小の医院・農家つぶしか、と勘繰れる内容。 大学の株式会社化は理解に苦しむし、費用が足りていない現状で改革が必要なのかという疑義も。病院は診療報酬制度や基準の見直し、農業は農地法の見直しでしょ。なお、税制改革における、税の再配分機能への等閑視、景気回復に関するジニ係数分析の皆無など、経済財政諮問会議を自慢げに叙述する著者が全く意識せず、叙述すら欠落している項目が、図らずも小泉ブレーンの特徴・短所を露呈しているのは面白い。
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「政策は妥協」これが民主党政権に欠けていたものであり、自民党が長期政権を確立した要因だろう。が、権力維持の為に妥協し続けるのであれば日本は中々変わらないし、前にも進めないんだろうけど。昨今まったく話題にならなくなった経済財政諮問会議だが、第2次安倍内閣で復活し、現在でも活動はして...
「政策は妥協」これが民主党政権に欠けていたものであり、自民党が長期政権を確立した要因だろう。が、権力維持の為に妥協し続けるのであれば日本は中々変わらないし、前にも進めないんだろうけど。昨今まったく話題にならなくなった経済財政諮問会議だが、第2次安倍内閣で復活し、現在でも活動はしているようだ。もう誰も改革など信じていないし、興味ないという事だろう。良くも悪くも小泉改革の遺物だし、安倍としても悪夢が蘇るのでもう止めたいんだろうが、止めるには法律変えなきゃいけないらしく、それもできないから惰性で続けているのだろう。 本書の民間議員への圧力、内閣と与党のねじれ等々、民間人が内側みた政策決定プロセスには中々の読み応えがある。本書は大臣になる前の記録であるが、その後著者は第1次安倍内閣の大臣となり異例の出世を遂げる。が、結局改革は失敗に終わり政権交代。そして自民崩壊の立役者である安倍内閣が復活するという奇妙な事が起こっている。この状況をどう理解していいのか未だにわからない。
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経済財政諮問会議の活動の記録。 筆者の感想文のような感じがあるので、会議に関する客観的記述があったほうがよいと感じた。 しかし、政策の決定プロセスに経済財政諮問会議がどう関与したかをしるには良いと思う。
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著者の内閣府での勤務経験に基づき、創成期の経済財政諮問会議は、小泉改革の司令塔として、(1) どのようなことを行ったのか、(2) どのような議論・妥協をしたのか、(3) 何を課題として積み残したのかという点について、年金制度改革、税制改革、三位一体化改革、歳入一体改革の事例を基に...
著者の内閣府での勤務経験に基づき、創成期の経済財政諮問会議は、小泉改革の司令塔として、(1) どのようなことを行ったのか、(2) どのような議論・妥協をしたのか、(3) 何を課題として積み残したのかという点について、年金制度改革、税制改革、三位一体化改革、歳入一体改革の事例を基に検証している。 著者は、「政策は妥協の産物である」と強く述べている。本書では政策形成における協議の過程が生々しく書かれており、さまざまな利害対立を調整している苦労の様子が分かる。個別の政策を引き合いに出し、どのようなアクターがどう主張したのかを盛り込んでおり臨場感がある。 しかし本書は、諮問会議の光の部分、特に骨太方針の宣伝本になっており、諮問会議の影の部分については分析がなされていない。 諮問会議の影の部分とは、たとえば、次の点が挙げられる。 ・骨太方針が望ましい改革であり、骨太以外はすべて抵抗勢力と言い切って良いのか。 ・諮問会議という限られた有識者での話し合いだけで決めているということは、委員の主張に引っ張られやすく日本を誤った方向に導いている可能性がある。 ・民間議員が、大企業のためではなく、公益のために議論ができていたのか ・「諮問」機関なのにもかかわらず、実質的な意思決定機関になっていることに問題はないのか、といったことである。 著者は大学教授から内閣府に転じ、経済財政諮問会議を事務局の立場で支えた経験を記述している。ただし、著者は、その後、経済財政諮問会議の担当大臣になったことから、首相が変化すると、どのように経済財政諮問会議の機能は、変化したのかなど、続編を期待したい。
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経済財政諮問会議の働きや変遷がよく分かる。主な内容は経済財政諮問会議で議論、決定した内容で、一部官僚組織(省庁)や与党部会etcとの絡みも書いてあるが、もっと詳しくその辺をかいてあればより興味深かった。 新たな提言をするというより、議事録という側面が強いが、割と有用な書であると感...
経済財政諮問会議の働きや変遷がよく分かる。主な内容は経済財政諮問会議で議論、決定した内容で、一部官僚組織(省庁)や与党部会etcとの絡みも書いてあるが、もっと詳しくその辺をかいてあればより興味深かった。 新たな提言をするというより、議事録という側面が強いが、割と有用な書であると感じる。 追記。著者が、第一次安倍内閣で経済財政担当大臣に。力のある人なのだろう。
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