江戸はこうして造られた の商品レビュー
家康の江戸入り(1590年)から、天下普請完了(1690年)までの江戸形成100年を地誌の観点で描く。 天下普請の大号令と共に、舟運を重視した水の都が形成されていく姿がビビッドに描かれる。 江戸前史の江戸は縄文海進期の面影を残していた。 日比谷入江の存在は、江戸城が海に面して造...
家康の江戸入り(1590年)から、天下普請完了(1690年)までの江戸形成100年を地誌の観点で描く。 天下普請の大号令と共に、舟運を重視した水の都が形成されていく姿がビビッドに描かれる。 江戸前史の江戸は縄文海進期の面影を残していた。 日比谷入江の存在は、江戸城が海に面して造られていたことを示す。 丁度、現在の浜離宮から東京湾を見るような景色が見えたことだろう。 船で房総に逃避した源頼朝は、陸上を鎌倉に向かうのに長い時間を要した。 それは、千葉から神奈川に行くのに、入江と葦の江戸湾を越えるのに難儀したためだった。 家康が江戸を整備するまで、どんな場所だったのかを頼朝の行路は示している。 江戸は陸奥の最南端だった。 秀吉が家康を関東に配置したのは、陸奥の制圧による日本統一が目的だった、と見ることが出来る。 行徳は塩業の重要拠点だった。 行徳と江戸の水路の重要性が納得できる。 会社の近くに福徳神社があった。 日本橋室町にある福徳神社は平安時代からの由緒ある神社で、その際(きわ)には西堀留があった。 行徳から運ばれた塩はそこで捌かれていたのだ。 同時にそこは塩河岸と呼ばれていた。 通勤のコースが正に、江戸にタイムスリップ出来る場所だったのだ。 正に目から鱗が落ちまくる。 こうした優れた学者がいたのだ、と嬉しい。 この本は、そこいら辺の江戸の形成史とはレベルが違うぞ!
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円覚寺領(荘園)江戸前島が家康によって横領され、その記録が幕府により隠蔽されたというショッキングな序文で始まる本書は、自分のそれまでの江戸に対する思いを改めることになった。江戸の痕跡を探しながら東京を歩くのは楽しいことだが、江戸前島の記憶を辿るのは無理筋というものだろう。運河の都...
円覚寺領(荘園)江戸前島が家康によって横領され、その記録が幕府により隠蔽されたというショッキングな序文で始まる本書は、自分のそれまでの江戸に対する思いを改めることになった。江戸の痕跡を探しながら東京を歩くのは楽しいことだが、江戸前島の記憶を辿るのは無理筋というものだろう。運河の都・江戸も、埋めては掘り、そしてまた埋めるという繰り返しの中で発展したという歴史と地層の重層の上に成り立っていったのだな〜。内川廻しの項で故郷・銚子湊が家康の物資回送の拠点だったと知り、ちょっと嬉しい。
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本書で言う『幻の百年』とは、 徳川家康が江戸入りした天正18年(1590年)から、 幕府が諸大名に課した都市開発・整備事業である「天下普請」が完了する 元禄3年(1690年)までをいう。 この百年に大江戸八百八町の版図(はんと、地図)が作られた。 それは基礎構造に支えられた巨大...
本書で言う『幻の百年』とは、 徳川家康が江戸入りした天正18年(1590年)から、 幕府が諸大名に課した都市開発・整備事業である「天下普請」が完了する 元禄3年(1690年)までをいう。 この百年に大江戸八百八町の版図(はんと、地図)が作られた。 それは基礎構造に支えられた巨大都市の完成であった。 戦国時代の江戸湊がこの百年で「大江戸」と呼ばれる百万都市に変貌したのである。 本書で一番気になった箇所は、江戸の寺町という項目の話。 江戸の時代、お寺の数。 家康の江戸入り当時、現千代田区内には、65寺あったものが、増加につぐ増加で 現皇居周辺に32寺、神田地区には73寺、麹町には38寺、合計143寺もあった。 その約三分の一が、徳川の旧領国にあった寺が徳川家臣団と共に江戸に移転 してきたもの。 三分の一が、大名が徳川に対する忠誠のあかしとして寺と墓地を作り、江戸に骨を 埋める装置としての寺。 さらに三分の一が江戸の町人たちの死体処理場としての寺。 多くは京・近江・伊勢などの先進文化地域の寺の「出店」としての江戸寺だった。 江戸の整備の為に寺を移転するときに、すごいのが、位牌のみ持って行って その他の墓石、遺体等は残していくことだ。もちろん全ての寺がそうではないが。 その証拠に、昭和50年に都立一橋高校の新築工事現場から、おびただしい人骨が 出土して、当時話題になった。 本書は貴重な史料を元に江戸が出来るまでの流れを 分かりやすく説明している名著である。
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Lv【初心者】 ・江戸時代以前の江戸の歴史(通史) ・江戸の天下普請 ・東京駅周辺の埋立の歴史 Twitterで徳川四天王・榊原康政様にオススメ頂いた一冊! 江戸時代の大工事・江戸の天下普請を知るのに勿論打ってつけ。 それだけじゃなくて、大昔の地形学、鎌倉時代の江戸氏、そして室...
Lv【初心者】 ・江戸時代以前の江戸の歴史(通史) ・江戸の天下普請 ・東京駅周辺の埋立の歴史 Twitterで徳川四天王・榊原康政様にオススメ頂いた一冊! 江戸時代の大工事・江戸の天下普請を知るのに勿論打ってつけ。 それだけじゃなくて、大昔の地形学、鎌倉時代の江戸氏、そして室町時代に江戸城を最初に築城した太田道灌について詳しく載っている。 太田道灌については20年前の本(文庫版初版は2000年)なので、流石に経歴などの説が古いが、彼と円覚寺勢力などの関係は現代でも見るべき点が大きい筈だ。
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古代、東京湾の奥にもうひとつ海があった、ということについて興味を持ったので、これも呼んでみる。その古代の海は海外線の後退により近世にはだいぶなくなりつつあったのだが、それにダメ押しをしたのが、江戸期を通じて何度か行われた大建設である。この本ではその江戸の大建設を時期を切り分け手詳...
古代、東京湾の奥にもうひとつ海があった、ということについて興味を持ったので、これも呼んでみる。その古代の海は海外線の後退により近世にはだいぶなくなりつつあったのだが、それにダメ押しをしたのが、江戸期を通じて何度か行われた大建設である。この本ではその江戸の大建設を時期を切り分け手詳細に説明を加えていく。いま自分たちが住んでいる地域がどう作られていったのか知る上ではとても興味深く読める。
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話が突然脈絡なく飛ぶ箇所が多く、読みにくい。 以上、感想 著者は石神井川の上野台地人工開削説を主張している。「滝野川」の地名が吾妻鏡には無く、後世に成立した平家物語の異本源平盛衰記には載っていることから、その間に開削されたという。しかし、吾妻鏡も平家物語も成立した時期を示す確証...
話が突然脈絡なく飛ぶ箇所が多く、読みにくい。 以上、感想 著者は石神井川の上野台地人工開削説を主張している。「滝野川」の地名が吾妻鏡には無く、後世に成立した平家物語の異本源平盛衰記には載っていることから、その間に開削されたという。しかし、吾妻鏡も平家物語も成立した時期を示す確証がない。14世紀頃に高さ20mの台地を150mも掘り割る目的が、灌漑水源の確保というだけでは納得がいかない。平家物語の頃には、既に河川争奪が起きていたと考えるほうが自然である。
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