孤独なボウリング の商品レビュー
手に取るのは約10年ぶり。以前より強く自覚したのは、「社会関係資本(SC)」という概念立てが自分には刺さってないということ。 これは仮想敵が立っていないと言い換えてもよい。経済的資本や階級意識などの要素が脱色されていて、どうも心が動かない。 ただ、SCの課題である、①利...
手に取るのは約10年ぶり。以前より強く自覚したのは、「社会関係資本(SC)」という概念立てが自分には刺さってないということ。 これは仮想敵が立っていないと言い換えてもよい。経済的資本や階級意識などの要素が脱色されていて、どうも心が動かない。 ただ、SCの課題である、①利益団体化、②経済社会的地位の増幅器に留まりかねないこと、③団体創立者はバイタリティが強く極端化し得ること、④凝集性と排除が表裏一体化する場合があること などは、脱色されている要素と多少関連しているように思う。 SCの衰退理由として、「時代性の違い」を切り札的に登場させていたのは面白かった。歴史の縦軸で見れば、全体的には豊かになったということなんでしょう。 だからこそ「では何をするのか?」ということになるのだろうが、人と一緒に何かをするのが楽しいという感覚が自分にはあんまりない。なので「困ったなぁ」というのが、正直な今の気持ち。
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大学院の授業聴講で、ところどころ少々飛ばしながらも読了。 緻密なデータで、アメリカにおける社会関係資本の衰退を示す。仮説→データ検証の繰り返し。 オンライン上の繋がりや子どもの資本については、粗野な部分も多いが、90年代社会学バックラッシュが起こっている今、「社会関係資本」のバイ...
大学院の授業聴講で、ところどころ少々飛ばしながらも読了。 緻密なデータで、アメリカにおける社会関係資本の衰退を示す。仮説→データ検証の繰り返し。 オンライン上の繋がりや子どもの資本については、粗野な部分も多いが、90年代社会学バックラッシュが起こっている今、「社会関係資本」のバイブルともいわれる本著を読む意義を感じる。 ハンナ・アレントは、死んだ後に残るのは「文字」だと言ったが、同じくらい、もしくはそれ以上に大事なのは「人とのつながり」だと最近思う。 「資本」としてそれを捉えることに、躊躇がないわけではないが、そういう側面が大きいことは確かだと感じる。
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米国だけの現状を調査から描いたものである。教育と子どもでも、高額でエリートのみしか行くことが出来ないという米国の大学の教育についてはひところも書いていない。 恐ろしいほどの自国だけの調査である。ピケティの21世紀の資本論が少なくとも世界多くの国を扱おうとしていたのに対してこの本...
米国だけの現状を調査から描いたものである。教育と子どもでも、高額でエリートのみしか行くことが出来ないという米国の大学の教育についてはひところも書いていない。 恐ろしいほどの自国だけの調査である。ピケティの21世紀の資本論が少なくとも世界多くの国を扱おうとしていたのに対してこの本の米国主義の限定が残念であり、学生には米国について知ることが必要なものにしか推薦できないのが残念である。
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2021.35 まじ分厚い!!!! ソーシャルキャピタルについての世界的な良本にしっかり当たれたのはよかったー マッハーとシュムーザーという概念がおもろかった。
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アメリカにおける市民生活の劣化に警鐘を鳴らす。 信頼と忠誠というきずなにより人びとは共通する課題にとり組んできたが、そうした「社会関係資本」は、現在、衰退しているとしている。
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タイトルの「孤独なボウリング」とは、もともと複数人のチーム・リーグ形式で、歓談をしながらプレイされるのが当たり前であったかつてのアメリカのボウリングが、レーンの上に設置されたテレビを見ながら孤独にプレイする様子へと変貌したことを示している。この不吉な変化が表象するのは、公的・私的...
タイトルの「孤独なボウリング」とは、もともと複数人のチーム・リーグ形式で、歓談をしながらプレイされるのが当たり前であったかつてのアメリカのボウリングが、レーンの上に設置されたテレビを見ながら孤独にプレイする様子へと変貌したことを示している。この不吉な変化が表象するのは、公的・私的な領域における人々との関わりがなくなることによって、地域の民主主義や経済的発展、犯罪件数等の安全性の低下などがすべからく引き起こされるということであり、それが本書のテーマとなる。 こうした人々との関わりを本書では、Social Capital=社会関係資本という概念として定義し、民主主義において社会関係資本の果たす重要性を、圧倒的な定量データの統計的分析と歴史学的手法に基づいてまとめあげた本書は、社会学という狭い文脈を飛び越えて、20世紀の社会を語り、21世紀の展望を描く上で、欠かせない一冊と言える。500ページを超える大著ということもあり、長年、いつか時間ができたら読みたいと思っていたが、いざ読み始めると、明快な主張とそれを支える膨大な定量分析と多様なチャート、そしてこの分析から引き出される含意に圧倒されてしまった。 本書では、人々との関わりあいを社会関係資本として、公的(政治活動や地域コミュニティの活動、PTAなど)・私的(近隣住民との井戸端会議やバー・レストラン等での集まり、スポーツや合唱など)の両面からなる活動として定義する。20世紀のアメリカを対象とした膨大な定量的分析が明らかにするのは、20世紀の後半からこうした社会関係資本が軒並み低下していること、そして州別の比較分析から、社会関係資本の低下と「教育水準と児童福祉」、「地域コミュニティの安全性」、「住民の健康と幸福感」などの低下に、強固な因果関係が示されるという事実である。 また、こうした社会関係資本の低下をもたらした要因として、パットナムは以下の要素を挙げている。 ・社会関係資本が強固だった時代に生きた老年層から若年層への世代変化 ・受動的なテレビの娯楽番組の常習性 ・スプロール減少と長時間の孤独な自動車通勤 ・労働時間の長時間化・金銭面でのプレッシャー そして、何よりも本書が世間での注目を集めたのは、同じく社会関係資本が低下し、様々な社会問題が頻発しながらも、そこからの巻き返しに成功した19世紀末のアメリカの状況をヒントとして、21世紀に社会関係資本を復活させるための処方箋を示している点にあろう。「若者と学校教育」、「職場」、「都会と都市デザイン」、「宗教」、「芸術と文化」、「政治と政府」という6つの領域において、具体的な方向性が示され、そこからは確実な政策へのインプリケーションが得られる。 2000年の発表ということで、この10年間に起こったスマートフォンとSNSの普及のような変化は当然触れられていないものの、それでも20年前ということを感じさせないほど、本書のインプリケーションは古びておらず、未だに政策的な価値を持っているのは間違いがない。
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※このレビューにはネタバレを含みます
「わが国」はUSAを指してるのが、ピンと来るのに時間が掛かった、やーねえ。 帰属はしたいけど、積極的に関わりを持っていきたい訳ではないってことか、現代人。 社会関係資本と訳されるsocial capitalについての本で、その衰退の事実と原因、今後の対策、みたいな構成なんですが。 ビッグデータ時代以前に、これだけ多岐にわたって膨大なデータを集め、更に根気良く分析したことは確かに感嘆に値するけど、主張を裏付ける根拠となるのは、実例ではなく論理的説明ではなかろーか。 昔は近所の助け合いで済んでたことが今じゃ税金使った公共サービスでないと機能しないとか、テレビだスマホだに時間とられて大事な事がなおざりになってるとか、普通に生活してて誰もが実感していることだし、そこまで頑張らんでも、もっと薄い本でもいいような(言うても、ラスト4/1は注と出典)…タイトルが「20世紀アメリカンライフ」だったら全然文句ないとこなんだけど。 愛国心が社会参加を促すのは確かだろうけど、それが戦時下に培われるような記述がチラリとあるのは気になるところ。。。
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140125 中央図書館 アメリカ社会のコミュニテイ参加率を診る様々な指標の時系列推移をグラフで示し、家族の、地域の、職域の、社会の連帯や自発的なコミュニティ貢献意欲の変容を論証する。スプロール化、フルタイム就業率の増加、カードゲームやボーリングの興亡という具体的なデータがこれで...
140125 中央図書館 アメリカ社会のコミュニテイ参加率を診る様々な指標の時系列推移をグラフで示し、家族の、地域の、職域の、社会の連帯や自発的なコミュニティ貢献意欲の変容を論証する。スプロール化、フルタイム就業率の増加、カードゲームやボーリングの興亡という具体的なデータがこれでもかと引用される。
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社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)に関する研究の鏑矢となった一冊。宗教・ボランティア・娯楽・政治団体などのコミュニティ活動がアメリカで減少しつつあることを膨大な統計データをもとに証明していく。コミュニティの研究書として参考にできるのはもちろんのこと、社会調査研究に携わる際のお...
社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)に関する研究の鏑矢となった一冊。宗教・ボランティア・娯楽・政治団体などのコミュニティ活動がアメリカで減少しつつあることを膨大な統計データをもとに証明していく。コミュニティの研究書として参考にできるのはもちろんのこと、社会調査研究に携わる際のお手本としても読むことができるので社会調査に関わる学生にとっては必読かもしれない。
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全部で600ページ以上という大作だが、徹底したデータの積み上げと卓越したメタファー、原因から処方箋にいたる構成のうまさで読み手を惹きつけて離さない。膨大な研究結果を理路整然と配列しながら、コミュニティの衰退という焦点は決してはずさない。その筆力はさすがというほかはない。 http...
全部で600ページ以上という大作だが、徹底したデータの積み上げと卓越したメタファー、原因から処方箋にいたる構成のうまさで読み手を惹きつけて離さない。膨大な研究結果を理路整然と配列しながら、コミュニティの衰退という焦点は決してはずさない。その筆力はさすがというほかはない。 http://d.hatena.ne.jp/hachiro86/20080214#p1
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