僕に最高の秘密を教えてくれた女 の商品レビュー
男の妄想をそのまま具…
男の妄想をそのまま具現化したような小説でした。
文庫OFF
捻りのあるストーリー展開と魅力的なヒロイン達
最初に言っておくと、本作はデビュー作『年上初体験-僕と未亡人』とほぼ同じ進行である。快活で積極的なサブと清楚貞淑で奥ゆかしいメインというヒロインのキャラ設定も良く似ており、前半の多くをサブの方が占める展開も同じである。しかし、本作の目次第一章には『人妻と未亡人とカウンセラーと』と...
最初に言っておくと、本作はデビュー作『年上初体験-僕と未亡人』とほぼ同じ進行である。快活で積極的なサブと清楚貞淑で奥ゆかしいメインというヒロインのキャラ設定も良く似ており、前半の多くをサブの方が占める展開も同じである。しかし、本作の目次第一章には『人妻と未亡人とカウンセラーと』とあり、ヒロインが3人いるかのようである。これが本作のストーリー面での白眉で、主人公が『青春悩み相談室』のカウンセラー(声に妄想を逞しくして惚れている)にいろいろと相談する場面が所々に挿まれるのだが、電話で話をしているだけのカウンセラーとの接点をどうやって持つのか?という疑問に「へぇ、なるほど……よく考えたな」という捻りの効いた、ちょっとしたトリックが隠されているのである。なので、途中でヒロインが2人に集約され、デビュー作を既読の諸兄ならご存知かと思うが、本作もハーレムエンドではないので、終盤でサブヒロインが主人公のために身を退いて、最後の最後にメインヒロインとの本懐を遂げる結末である。いかにも主人公争奪戦に破れたような感じだったデビュー作よりも上手くサブヒロインを退場させているので、今回は不憫さよりもむしろ多少の切なさがスパイスになった、一つの山場となっている。そして最後はカウンセラーのアドバイスを実行する主人公に真相が告げられてメインヒロインと心も体も結ばれ、心地よい読後感を得ることとなる。若干主人公がはしゃぎ過ぎではあるが、まぁ、無邪気で微笑ましいといったところか。前半のサブヒロインの積極的な誘惑に後半のメインヒロインとの(唐突感と無理矢理感はあるものの)ドラマティックな情交と、官能シーンもふんだんに盛り込まれている。そして、今更ながら弓月作品のヒロイン描写の秀逸さを再認識。主人公には勿体無いほどの「イイ女」達が本作でも描かれている。
DSK
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