ウォーターシップ・ダウンのウサギたち(下) の商品レビュー
可愛いウサギが出てくる話と侮ってはいけないという注意とともに勧められた本。人間がやってきたため、幸せに暮らしていた土地から逃げることになった若いウサギたち。簡単な旅ではなく、戦いで傷つくこともある。こんなに傷付いたら死ぬだろうという怪我も舐めて治してしまうのが野生の力だろうか。知...
可愛いウサギが出てくる話と侮ってはいけないという注意とともに勧められた本。人間がやってきたため、幸せに暮らしていた土地から逃げることになった若いウサギたち。簡単な旅ではなく、戦いで傷つくこともある。こんなに傷付いたら死ぬだろうという怪我も舐めて治してしまうのが野生の力だろうか。知恵と幸運と、ウサギらしく生きるための努力で、難局を切り抜けていくウサギたち。上下2冊の長さに最初は尻込みしたが、読み始めてみるとそれほど長くは感じなかった。
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終盤の怒涛の展開が熱い。主人公はヘイズルのようだが、ファイバーやビグウィック、キハールなどの各キャラの活躍なしでは成立しない、友情と勇気の物語だと思った。自然描写で頭に思い描けない点(特にうさぎの巣穴の構造)もいくつかあり、そういった部分は読みやすいとは言えないが、一読の価値ある...
終盤の怒涛の展開が熱い。主人公はヘイズルのようだが、ファイバーやビグウィック、キハールなどの各キャラの活躍なしでは成立しない、友情と勇気の物語だと思った。自然描写で頭に思い描けない点(特にうさぎの巣穴の構造)もいくつかあり、そういった部分は読みやすいとは言えないが、一読の価値ある素晴らしいものだった。また、多くの牝が出てくるが、人間のようなラズストーリーはなく、あくまで動物の繁栄のための牝の存在なのが現実的で面白いと思った。
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勇敢なウサギたちの冒険はやがて伝説になる。 何度も読み返したいくらい美しい世界と勇敢で賢いウサギたちの物語。
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この物語の感想は他の方々が沢山書いていて、それに尽きます。 特徴的なのは、ウサギたちが自分たちの"神話"をもっていて、そこに登場する祖先神"アレイラ"を行動原理の原則としていること。これがどれもよくできている。 曰く、 "太陽...
この物語の感想は他の方々が沢山書いていて、それに尽きます。 特徴的なのは、ウサギたちが自分たちの"神話"をもっていて、そこに登場する祖先神"アレイラ"を行動原理の原則としていること。これがどれもよくできている。 曰く、 "太陽の神フェリス様が生き物を創った。その中に、ウサギの王アレイラがいた。アレイラの子孫は増え、他の生き物たちを圧迫するほどだった。奢り高ぶったアレイラは、フェリス様の忠告も、聴こうとはしなかった。 そこでフェリス様は、他の生き物たちに贈り物を与えた。イヌには鋭い牙を。タカには遠くを見通す目を。フクロウには音の出ない翼を。たちまち生き物たちは、アレイラの子孫たちに襲いかかった。 フェリス様の力の恐ろしさに怯えるアレイラに、フェリス様は長い耳と強い後ろ脚を贈り物として与え、こう言った。 "ウサギの王よ。誰よりも早く敵を聴きわけろ。そして誰よりも速く丘を駆け抜ける者になれ。そうする限り、おまえの一族は、滅びないだろう" …ファンタジー小説が好きな方には、特にお薦めです。
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凄かった。 言葉では言い表せないけど、怖い、凄い、先が気になる、という三つの感覚で引っ張られて読んでいった。 ピプキンがキーパーソンになる、という私の予想はあっさりハズレて笑、下巻では、ビグウィグのカルト軍事村の潜入から始まり、カルト軍事村との撤退戦、迎撃戦、その後の世界が描か...
凄かった。 言葉では言い表せないけど、怖い、凄い、先が気になる、という三つの感覚で引っ張られて読んでいった。 ピプキンがキーパーソンになる、という私の予想はあっさりハズレて笑、下巻では、ビグウィグのカルト軍事村の潜入から始まり、カルト軍事村との撤退戦、迎撃戦、その後の世界が描かれている。 ビグウィグにだいたい持っていかれる。 死守シーン、、、もう泣ける。やめて。かっこよすぎ。 私のお気に入り、シルバーがキハールの存在を匂わせるシーン、かっこいいね。 ダンディライアンも、一番の俊足キャラとわかってびっくり。 ヒタヒタと敵が迫る迎撃シーンがすごく怖い。 農場に行って、攻撃力を借りるシーンで、ようやく上巻の農場エピソードはこのための伏線だったのかーと理解した。 なんでいきなりあんな話があるのか謎だったけど、これで納得できた。 エンディングでふわっと体を離れていくヘイズル、無駄のない筆と、神宮さんの切れのよい日本語で、浄化作用に包まれる。 ここまで随所に挟まれる、ウサギたちの伝承神話も効果的だった。 この世界では、物語や、詩が大きな力を持っている。 冬の穴ごもりなどで、ウサギたちのボードゲームを 楽しむ(想像するとかわいい)ほか、みんなでひとつの歴史神話物語をきくことは大きな意味を持つ。 団結し、魂の結び付きを強くし、過去の知恵を守り、種の保存に対して共通の歴史を持って当たっていこうとしているのだ。 ラストでここにヘイズルが加わることになる、と読者にも自然に納得がいく。 過不足ないストーリーに大満足。 いい本に出会えた。 訳者の後書きをみて、「上士」は本当に司馬遼太郎から来ていたとわかった。 以下は追記。 カルト集団、戦争と、残念ながら昨今の身近な話題がこの作品を通して目に入ってきて苦しい。民主主義とはなんだろう、とヘイズルの村の新設、運営シーンを見て、改めて考えさせられた。 そして、本作は、戦争経験者が書いた作品だなあと思った。 エルアライラーの言葉 「先達のおくりものによって、ぶじに生きている現在をわきまえないうさぎというものは、自分ではそう思っていなくても、ナメクジよりあわれなものです」 には深く考えさせられる。 雌は、うさぎの社会を持続するために絶対に必要なんだけど、それをよそから強奪するのではなく、カルト軍事村から脱出を望んでいた雌たちをうまく連れ出して仲間にできた、というストーリーなので読みやすかった。 雌を連れ出してきても、依然としてヘイズルの村では、雄の方が数が多いらしく、結婚のシーズンには、雌をめぐる戦いがいずれ起こるだろう、とみんなが心配しているシーンがあった。 味方同士の戦いは見たくないな、と思っていたら、そのシーンは省略されており、ファイバーの妻や子供の話だけが出てきてホッとした。 シルバーやビグウィグの子供は?と気になったけど、ビグウィグたちみんなで、みんなの子供を育てているシーンが代わりにあって、読んで優しい気持ちになった。 全てのシーンで、自然の描写も素晴らしく、生き物が生きることを丁寧に描いている作品だった。 うさぎは可愛い生き物、という日本でのイメージはここには微塵もなく、ピーターラビット同様、イギリスの身近な生き物の如才なさと激しい生存競争が、見事に物語となっている。 (エフラファのカルト軍事村、なんだか既視感があるなと思ったのは、「墨攻」で墨家のカクリが作ろうとしていた城の様子に似ていたからだった。やっぱり怖かったけど)
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ページを捲る手が止まらず、寝不足です。 面白かった。。。 下巻は、上巻をさらに上回る胸が熱くなる展開が待っていました。 ほんわかした雰囲気の表紙やタイトルからは想像もできないほどの スリリングでドラマチックな物語でした。 村の繁栄をかけて牝うさぎを連れてくるべく他の村に使者を...
ページを捲る手が止まらず、寝不足です。 面白かった。。。 下巻は、上巻をさらに上回る胸が熱くなる展開が待っていました。 ほんわかした雰囲気の表紙やタイトルからは想像もできないほどの スリリングでドラマチックな物語でした。 村の繁栄をかけて牝うさぎを連れてくるべく他の村に使者を送りますが そこはウンドワートが将軍率いる軍事力を誇る巨大な村でした。 エフラファに野良うさぎを装い潜り込んで牝を連れての逃亡を試みたり 死闘が繰り広げられたりと、最初から最後までドキドキしっぱなし。 それにぐっとくるシーンの連続でした。 特にビクウィグには泣かされました。。 彼の男気や優しさは最初から最後まで本当にカッコよかった。 うさぎに対してここまでの感情が湧くとは、読む前には想像もできませんでした。 (なんなら、好きになりそうでした。 「燃えよ剣」を読んで土方歳三に恋した感覚と全く同じです。) 登場人物(登場うさぎ?)たちのキャラクターや、豊かな自然の描写、 うさぎの生活の細かなルールなどで読者をどんどんうさぎの世界に引き込む 素晴らしい本であることは間違いないのですが、 単純にストーリーだけを見ても抜群に面白かったです。 ラストも文句なしに素晴らしいです。 私の本棚の永久保存版になりました。 月うさぎさんのおかげでこの本と出会えました。 心から感謝です!
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下巻はとにかくハラハラして続きが気になって仕方がなかった。 読み終わった後もウサギの世界が頭から離れず、抜けられなかったのは自分でも驚き。 ウサギの冒険の物語を通して、動物としての本能とか大切なことをたくさん思い出させてもらった気がする。 ・危険を察知する力 ・子孫繁栄への思い...
下巻はとにかくハラハラして続きが気になって仕方がなかった。 読み終わった後もウサギの世界が頭から離れず、抜けられなかったのは自分でも驚き。 ウサギの冒険の物語を通して、動物としての本能とか大切なことをたくさん思い出させてもらった気がする。 ・危険を察知する力 ・子孫繁栄への思い ・それぞれ得意不得意・役割があること ・自然な暮らしが幸せなこと ・生きていくことは簡単ではないこと
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上巻はこちら。 https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4566015009#comment ウォーターシップダウンで新しい村を作るうさぎたち。 だがメスがいないので、どこからか子供を産めるメスを連れてこなければいけない。 村の...
上巻はこちら。 https://booklog.jp/users/junsuido/archives/1/4566015009#comment ウォーターシップダウンで新しい村を作るうさぎたち。 だがメスがいないので、どこからか子供を産めるメスを連れてこなければいけない。 村の長のヘイゼルが目をつけたのは、川の向こうで群れを作るエフラファーの集団だった。 ウンドワート将軍による恐怖独裁体制がひかれているエフラファーに、猪突猛進の戦士ピドウィクが潜入し、メスたちを連れて逃げ出す計画をたてる。 物語のかなりの部分はこの潜入したピドウィクのお話。 ピドウィクが連れて連れて逃げ出そうとしたのは、群れに不満を持つハイゼンスレイやセスシナングたち数匹のメスうさぎと、そしてかつて逃亡が失敗し酷いリンチを受けたオスうさぎのブラッカバーだった。 ピドウィクたちがエフラファーを逃亡し、待機していたヘイゼルたちと合流する。 このウンドワート将軍はとにかく怖くて強くてでも瞬時に状況を理解して部下たちに明確な指示を与えるという、戦時下の将軍としてはまさに有能。しかしこういうタイプって自分が年をとったらどうするつもりなんだろうと思うんだが。 それに対してピドウィクは明るい勇敢さを持っている。 ピドヴィクは本当に心身強いので、エフラファーのうさぎたちは当然彼がリーダーだと思っていたら、ピドヴィクが「村長から命令されたからおれはここを動かん!」と言うのを聞いて、「え、こいつより強いリーダーがいるの?」と焦ったりする。彼らがヘイゼルを見たらそんなに大きくないし、足も悪いヘイゼルを見くびるだろうけど、ヘイゼルの強さは臨機応変さや、弱いものも見捨てない、新しい考えを受け入れる、そしてなんかやたらに運がいいってことだからね。 そのヘイゼルや、弟で霊感うさぎのファイバー、頭脳派ブラックベリ、足の早い語り部ダンデライオン、そしてヘイゼルに助けられた恩返しをするユリカモメのキハールたちの勇敢さや機転や思慮深さで、エフラファー軍団の追撃を逃げ延びる。 この逃走劇は、うさぎが船に乗ったり、鳥が空から偵察したり攻撃したり、たまたま降った大雨や雷を利用したりとかなりワクワクするし、百戦錬磨のエフラファー軍団にしてもこんな連中を相手にしたのは初めてだろう、さすが主人公集団。 メスたちを無事にウォーターシップダウンに連れて帰り、子供も生まれてめでたし…かと思うんだが、まだ1/3くらい残ってるぞ?まだなにか起こるの? …はい、あの恐ろしい恐ろしいウンドワート将軍が、一隊を引き連れてウォーターシップダウン襲撃計画をたてていました。 まともに戦ったら叶うわけのない相手に、ヘイゼルはとんでもない計画を思いつく。 留守を任されたピドウィクと、ウンドワート将軍の最後の戦い。 うさぎの知恵を超えたようなヘイゼルの計画とその後のこと。 そして差し込まれるうさぎ神話もおもしろいんですよ。神代の時代に、うさぎになりうさぎのために戦ったりいたずらしたり神と知恵比べしたり。 ラストは、戦いの終わった数年後。 ウォーターシップダウンとエフラファーの新たな関係。 そしてすでに老境に達していたヘイゼルのもとに、うさぎの神話の開祖であるエル・アライラーが迎えに来るのだった…。
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新天地「ウォ-タ-シップ・ダウン(丘陵地)」で、生存をかけて孤軍奮闘するウサギたちの涙ぐましい努力、犠牲をいとわぬ友愛精神と寡黙な勇気、敵とも共存する包容力を目の当たりにして、敬愛の念を抱かざるを得ない愛と感動に包まれた物語でありました。慣れない《ウサギ語》には戸惑いますが、あき...
新天地「ウォ-タ-シップ・ダウン(丘陵地)」で、生存をかけて孤軍奮闘するウサギたちの涙ぐましい努力、犠牲をいとわぬ友愛精神と寡黙な勇気、敵とも共存する包容力を目の当たりにして、敬愛の念を抱かざるを得ない愛と感動に包まれた物語でありました。慣れない《ウサギ語》には戸惑いますが、あきらめずに最終章まで読んで決して後悔のない、大人への最高の贈り物です。
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ヘイズルたちの新しい村に牝を連れてくる計画。それは、村を永続させるためり必須課題だ。ヘイズルはキハールが見つけてきた大きなうさぎの村エフラファから牝うさぎを分けてもらおうと考え、使節団を派遣する。だが、そこは独裁者ウンドワート将軍が支配する恐怖の軍事独裁国家だった。さあ、どうする...
ヘイズルたちの新しい村に牝を連れてくる計画。それは、村を永続させるためり必須課題だ。ヘイズルはキハールが見つけてきた大きなうさぎの村エフラファから牝うさぎを分けてもらおうと考え、使節団を派遣する。だが、そこは独裁者ウンドワート将軍が支配する恐怖の軍事独裁国家だった。さあ、どうするヘイズル? うさぎたちの勇敢で知略に富んだ冒険の後編。途中挿入される伝説のうさぎの王エル=アライラーの物語がこの冒険譚に緩急を添えている。狡猾で残忍なウンドウォート将軍をいかに出し抜くか。エル=アライラーの伝説がヘイズルたちを導く。 英国ハンプシャー州の豊かな自然、土や風のにおいまで伝わってくるような詳細な自然描写、なによりうさぎたちの生態を活写したリチャード・アダムズの筆遣いに引き込まれる。後編は手に汗握る展開で、結末を知っていても一気読み。そして、エピローグで涙。いくつになっても大好きな作品です。 おまけ。 久しぶりに本作を読んでみようと思ったのは、うさぎたちを擬人化してみたいと思ったから(笑)。読みながらビグウィグがかっこよすぎて、諏訪部順一の声でせりふを読んでいました。
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