ローマ人の物語(25) の商品レビュー
ハドリアヌス。 ギリシャに行った時の気持ちを思うと、胸踊る。満喫したんだろうなぁ。 先を見越して今、動く、行動するということが苦手な私としては、このハドリアヌスの巡行は憧れでしかないが、やはり皇帝といえるべき人物だったのだなと自分レベルで思う。比較対象が申し訳ないほど貧弱だが。
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ハドリアヌスのお話し。 この人も変わった人でとても好きです。 14、インペラトール・カエサル・トラヤヌス・ハドリアヌス・アウグストゥス
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五賢帝の3人目、ハドリアヌスの巻。 映画「テルマエ・ロマエ」で市村正親さんが演じたのがハドリアヌス帝。イギリスにあるハドリアンズ・ウォールでも有名な皇帝なので、興味深く読んだ。
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ハドリアヌスは一つの目的のために動く男ではなかった。 一つの行動で複数の目的を果たす、効率と機能性を重視し、無駄な時間は嫌う男であった。 カエサルのように。 そして自分自身で13年間ものあいだ 帝国全土を見て周り 足を使って防衛対策を施していった。 45〜58歳という年齢で。 ...
ハドリアヌスは一つの目的のために動く男ではなかった。 一つの行動で複数の目的を果たす、効率と機能性を重視し、無駄な時間は嫌う男であった。 カエサルのように。 そして自分自身で13年間ものあいだ 帝国全土を見て周り 足を使って防衛対策を施していった。 45〜58歳という年齢で。 頭脳、肉体、人格 ともに優れた傑出した人物であった。
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賢帝として有名なハドリアヌス。 ローマ史をほとんど知らない私でも、それだけは知っているくらい。 だけど今回これを読んだけど、彼が突出した賢帝とはちょっと思えなかった。 パクス・ロマーナの頃、必要な時に必要な能力を持った皇帝はちょくちょくいたような気がするのである。 もちろんカリグラのような皇帝もいたけれど。 キリスト教がなければ、もう少し帝国は永らえたのではないだろうか。 しかし、ハドリアヌスのすごいところは、就任直後に自分のやりやすいように素早く反対派を粛清したことと、皇帝が不在でも機能するように法を、組織を整備したこと。 通算すると10数年も国を空けた皇帝なんてちょっと考えられないが、行く先々できっちり仕事をこなし、帝国を盤石のものにしたのである。 この当時、北アフリカもローマ帝国の支配下にあったが、当時の北アフリカは緑地の多い一体だったのだそうだ。 それは、カルタゴやローマが農業の振興に熱心だったから。 ”ローマ帝国滅亡後の北アフリカの住民は、かつての流浪の民が定着民化したケースが多く、緑があってこそ雨も降るという道理が理解できないのではないかと思ってしまう。そして、緑を確保するための唯一の方策は、「平和(パクス)」でしかないという道理も。” 一度砂漠化してしまったら、元に戻すのは難しい。 今もまだ元の緑地に戻すことはできていないのだから。
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まだ没落(多分キリスト教をターゲットにしてそう)の話が出てこない。だから基本良い話に終始。正直あまり面白くないんですなぁ。 やっぱり堕ちていくところを待っているとは、当方も単なるゴシップ好きみたいなもんですな。
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トライアヌスの死後、帝位についたハドリアヌスの治世。 ハドリアヌスの皇帝就任には、トライアヌスの妻の後押しがあったようである。 ハドリアヌスは、就任初期にこそ反対派を粛清したが、その後は平和を掲げ、粛清だけでなく戦争すらしなかった。 帝国領内の視察に赴き、帝国の防衛をさらに堅固なものとする。
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賢帝トライアヌスの後を継ぐハドリアヌス。 帝国の領内を行脚して、自身の視点から従来の安全保障体制を見て、手を加えるべきところには手を加えていく。ルールを作って普段のメンテナンスと必要に応じた修正を加えていくローマ帝国のらしさを存分に発揮していく。 一方、ギリシャ文化への造詣も深く...
賢帝トライアヌスの後を継ぐハドリアヌス。 帝国の領内を行脚して、自身の視点から従来の安全保障体制を見て、手を加えるべきところには手を加えていく。ルールを作って普段のメンテナンスと必要に応じた修正を加えていくローマ帝国のらしさを存分に発揮していく。 一方、ギリシャ文化への造詣も深く、趣味人でもあった。 在位中は心身ともに健康的であったため、老齢に差し掛かると体の衰えをより強く実感してもどかしい気持ちが溢れて、気難しさが出てしまったんでしょう。 次の皇帝の繋ぎを担うアントニヌス・ピヌスはピヌスの名の通り、「慈悲深い人」であった。先の二人の先帝が統治者として、リストラクチュアリングを行って作り上げたものをこの人が定着させた。幸福の時代と呼ばれた治世を送ることができたのは、公共心が強く道徳心の高いこの人だから送ることができたのではないか。
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賢帝の2人目は、ハドリアヌス帝です。トライアヌスの後を継いで皇帝になったハドリアヌスは、親族の中で唯一の男子だったために、早くから次期皇帝の地位を意識していたようです。歳上の女性が男性に"弱くなる"という条件を作者が挙げていますが、ハドリアヌスは美しいとか若々...
賢帝の2人目は、ハドリアヌス帝です。トライアヌスの後を継いで皇帝になったハドリアヌスは、親族の中で唯一の男子だったために、早くから次期皇帝の地位を意識していたようです。歳上の女性が男性に"弱くなる"という条件を作者が挙げていますが、ハドリアヌスは美しいとか若々しい、頭脳明晰、野心があるといった条件を満たしていたようで、作者も一目おくような存在だったと言えるようです。若い時にギリシャ文明と狩猟に傾倒していたのですが、ローマの男の質実剛健という理想と相反する嗜好につき、ローマで重責に就かせられそれを果たしていきます。 皇帝に就任した直後に、彼はトライアヌス帝に仕えた重臣4人とも粛清しています。この経緯は、老いた忠臣との美しいエピソードに描写されていますが、作者自身も小説に仕立てあげているのが興味深いところです。恐怖政治の再来かと危惧される状況を、税制の公正な実施や社会福祉政策などに積極的に取り組み、人気を回復させます。 その後、ローマ全土をを視察旅行し、皇帝の三大責務である安全保障、属州の統治、インフラ整備に精力を注ぎます。そして、48歳になってはじめて少年の頃の憧れの地ギリシアを訪れ、アテネで過ごした美少年との同性愛のエピソードやギリシア全土の活性化に努めたことなどは、積年の思いを実現させたといったところでしょうか。
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戦争を終らせることは、始めることの何倍も難しい。 戦場を知らず常に勝って当然と考える元老院。勝利による報酬にしか目が向かない将軍。勝てば味方に、負ければ敵に回る一般市民。 ハドリアヌスが皇帝を継いだのは、そんな撤退戦の只中のことだった。 『疲れを知らない働き者』『天才的なオーガ...
戦争を終らせることは、始めることの何倍も難しい。 戦場を知らず常に勝って当然と考える元老院。勝利による報酬にしか目が向かない将軍。勝てば味方に、負ければ敵に回る一般市民。 ハドリアヌスが皇帝を継いだのは、そんな撤退戦の只中のことだった。 『疲れを知らない働き者』『天才的なオーガナイザー』『機能と効率の信奉者』 数々の異名を持つハドリアヌスは先帝の死すら活用し、窮地を好機に変える。 各地で興っていた反乱への対処という名目で敗戦地から兵を引いたようには見せない配置換え。 ローマに帰る直前に反対派を部下に粛清させ、その部下の引責をもって事を収める電撃作戦。 次いで税制改革、バラマキ政策、福祉の充実と、民衆が不安を感じる間を与えずに立ち回る。 皇帝自らが全国の視察の旅へ出たのも、その勢いを利用しての事だったのかもしれない。 21年の治世のうち13年を国外の巡業に費やしたハドリアヌスは、 防壁の構築と防御線の再構築により、後の安全保障の基盤を作る。 以降、歴史に残るような大きな事件はしばらく起きないが、 これこそが皇帝の成果であり、そのような時に成すことにより、後の世代の生活は大きく変わってくる。 盤石なローマがいかにして体制を失い、崩壊して行くのか。 五賢帝の治世は続く。
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