真夏の航海 の商品レビュー
ニューヨークの上流階級に生まれ育った、ある少女。母親や姉のようなお決まりの女性の生き方に、反発や違和感を持っている。それをどうにも持てあましてしまう危うさが、熱したトタン屋根の上にいるような真夏のニューヨークの路地、港から船で避暑地へ向かうハイクラスの人たちの日常の風景などに見事...
ニューヨークの上流階級に生まれ育った、ある少女。母親や姉のようなお決まりの女性の生き方に、反発や違和感を持っている。それをどうにも持てあましてしまう危うさが、熱したトタン屋根の上にいるような真夏のニューヨークの路地、港から船で避暑地へ向かうハイクラスの人たちの日常の風景などに見事に映し出されていた。さて、このヒロイン。同時期に読んだシルヴィア・プラスの「ベル・ジャー」の主人公と、分身みたいに重なってしまい、困ったことも。 そういえばカポーティもプラスと同様、華やかさを振りまいた時があったけど、最終的には孤独な最期だった。ひょっとしたら震えるような魂のあり方も、この二人は双生児といえるくらい似ていたのかもしれない。
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この作品が本当の処女作ということだが、その後の作品にみられる生の輝きと墜落は既に顔を覗かせている。表現の美しさには儚ささえ感じてしまう。未完という説明があるが、僕はこの結末が余韻を残していて好きだ。
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