はじまりの島 の商品レビュー
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本作は、科学と信仰というテーマを背景に、ガラパゴス諸島を舞台にしたミステリー小説です。一八三五年、英国船ビーグル号の乗員たちがこの島に足を踏み入れたところ、彼らは奇怪な生物とともに、島に隠された暗い秘密に直面します。ビーグル号の乗員たちの中には、進化論の提唱者である天才学者ダーウィンも含まれており、彼は島で起こる一連の殺人事件の謎を解明することになります。 この物語は、ただのミステリー小説ではありません。ダーウィンの科学的発見と、それに対する宗教的な抵抗という、当時の社会の緊張関係を巧みに描き出しています。読み進めるうちに、科学と信仰の間の緊張関係が明らかになり、それが物語の核にもなっています。 読書体験としては、この本は非常に考えさせられるものでした。科学的な発見がどのようにして私たちの世界観を変えることができるのか、そしてそれがどのようにして既存の信念体系と衝突するのかを、ダーウィンの目を通して味わうことができました。 科学者と宣教師という異なる立場の人々が、同じ運命に翻弄される様を描いた本書について、それぞれの読者が自身の経験や価値観を反映させながら読むことで、さらに多様な解釈が生まれるでしょう。ミステリー好きはもちろん、深いテーマに触れたい人にもおすすめの一冊です。
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柳さんは『トーキョー・プリズン』が面白かったし、Amazonでの評価も高かったから期待してたんだけど、かなり良かった! 特筆すべきはその読みやすさ。けっこう文字が小さい+舞台が海外にもかかわらず、もうスルッスル読める!すばらしい筆力! ダーウィンが遭遇した殺人事件という設定もまた...
柳さんは『トーキョー・プリズン』が面白かったし、Amazonでの評価も高かったから期待してたんだけど、かなり良かった! 特筆すべきはその読みやすさ。けっこう文字が小さい+舞台が海外にもかかわらず、もうスルッスル読める!すばらしい筆力! ダーウィンが遭遇した殺人事件という設定もまた珍しく面白い。目線があえてダーウィンじゃないのがいい。 事件の意外性という点ではそんなに意外性はないけど、フーダニットというよりホワイダニット?カギは動機かな。 柳さんの昨比人をもっともっと読みたいぞ~。
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主人公である元画家が30年前の事件を回想する形式で書かれている。 ダーウィンはこの事件の探偵役。 この話の登場人物や出来事は史実に基づいていているようだ。 ただし物語の核心部分となる部分だけがフィクション。 未開の地で育った少年に、キリスト教的な価値観を植え付け、さらには進化論により神の否定を行う。 これにより価値観が崩壊してしまったというのが結末。 ダーウィンは、すでに種の起源の着想は得ていたのに、実際に発表したのは事件から30年経った後。 この事件を教訓に、人類に与える影響を考えてのものだったのか。
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読み始めた時「これは翻訳本?」って思ってしまった。 敢えてその様な書き方をしてるのかな? 1835年ダーウィンを乗せたビーグル号はガラパコス諸島に立ち寄る。 上陸したのは乗組員を含めた11人。 その夜から一人・一人殺害されていく。 「種の起源」を出版するきっかけになった5年に及ぶ航海とガラパコス諸島の生物の様子。 「進歩と進行」「完全なものはない」 史実と虚構を巧く合わせたミステリーだと思う。 ただこういうタイプの探偵って周囲の人々を置いてけぼりにしてしまうのは何故だろう?(笑)
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ダーウィンを探偵役にしたミステリー。その設定だけで読みごたえがあります。ただ、ミステリーとしては、少し弱いと思いました。特に動機と事件の実態。あとはガラパコス島がわからないため、イメージがむつかしかったです。
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図書館で。歴史に残る著名人のパラレルというかもしこんなエピソードがあったら本。いつも思うんですが着眼点が面白いですよね。 ガラパゴス諸島に行ったダーウィンが探偵役で彼はなぜ進化論という仮説を持つに至ったか、というテーマも交えてのミステリー。文化の違いは様々な軋轢を生みだしますが...
図書館で。歴史に残る著名人のパラレルというかもしこんなエピソードがあったら本。いつも思うんですが着眼点が面白いですよね。 ガラパゴス諸島に行ったダーウィンが探偵役で彼はなぜ進化論という仮説を持つに至ったか、というテーマも交えてのミステリー。文化の違いは様々な軋轢を生みだしますが確かにどちらか一方が正義で片方が間違いでもないんですよね、物事は往々にして。 昔の船乗りがリクガメを捕まえて食べていた、ということは知っていましたが彼らが食べていた時代にはきっと亀もゴロゴロしていたので絶滅しそうになるなんて思いもよらなかったのでしょうね、きっと。人間は目先のことしか見えない動物なんだなあとなんとなくしみじみ思いました。
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D機関のシリーズも勿論素晴らしいけれど、偉人と史実に殺人を絡ませたら柳先生の右に出るものは居ないんじゃないか…?ってぐらい、毎回面白い題材を美味しく調理される作家さんだなぁと思います。 今回も最後までするするっと読めてしまって納得の結末。 偉人が探偵役になってるだけの単なる犯人...
D機関のシリーズも勿論素晴らしいけれど、偉人と史実に殺人を絡ませたら柳先生の右に出るものは居ないんじゃないか…?ってぐらい、毎回面白い題材を美味しく調理される作家さんだなぁと思います。 今回も最後までするするっと読めてしまって納得の結末。 偉人が探偵役になってるだけの単なる犯人当てとは一線を画す結末に「これだよこれこれ!」と改めて柳ミステリの良さを噛みしめました。 解説で歴史的側面が補足されていたのは有難かったな。なかなか事実との齟齬まで追いかけられはしないから^^;
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ガラパゴス諸島でのクローズドサークルに、探偵役がダーウィンというのがおもしろいです。 ガラパゴス諸島や進化論を織り交ぜた事件や動機も楽しめました。 ミステリーとしては小粒な気もしますが、エンターテイメント性は抜群だと思います。
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イギリスから南米に向かう調査船。船は航路を進み、「ガラパゴス島」へと到着する。 島へは数人のクルーが降り立ち、調査を開始するも、その夜から不可解な殺人がはじまる・・・島に残る伝説「船長を殺して逃げたスペイン人」におびえる一行。 その謎にいどむのは船に乗り合わせた、後に「種の起源」...
イギリスから南米に向かう調査船。船は航路を進み、「ガラパゴス島」へと到着する。 島へは数人のクルーが降り立ち、調査を開始するも、その夜から不可解な殺人がはじまる・・・島に残る伝説「船長を殺して逃げたスペイン人」におびえる一行。 その謎にいどむのは船に乗り合わせた、後に「種の起源」を発表することになる、チャールズ・ダーウィン。 その当時のことを思い返し語る老画家。 調査をつづけ、いつしか「種」について考えるダーウィンがたどり着いた真相とは・・? 「ジョーカーゲーム」の柳広司が書く探偵ダーウィン。以前の原爆開発時のミステリーもそうでしたが、この人はこういう「史実にひそむミステリ」を好むんでしょうかね? 件の「原爆」に比べてこちらのほうが「探偵役」「クローズドサークル」「島の伝説」と非常にわかりやすい舞台設定で非常に読みやすかったですw ただ、後半になってくると消去法で真犯人が大体わかってしまうというのが難点といえば難点か?ww
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ビーグル号は本国への帰還途中にガラパゴス諸島に立ち寄った。島に上陸したのは11名。翌日1人が死体となって発見された。島には捕鯨船の船長を殺害して逃亡した銛打ちが潜んでいるらしい。犯人はその男なのか、それとも… 若き日のダーウィンを探偵役としたミステリ。ダーウィンの他にもフィツロイ...
ビーグル号は本国への帰還途中にガラパゴス諸島に立ち寄った。島に上陸したのは11名。翌日1人が死体となって発見された。島には捕鯨船の船長を殺害して逃亡した銛打ちが潜んでいるらしい。犯人はその男なのか、それとも… 若き日のダーウィンを探偵役としたミステリ。ダーウィンの他にもフィツロイ艦長や3人のフエゴ・インディアンなどは実在の人物らしい。親英主義やキリスト教を異文化地域に押しつけた時代背景、ガラパゴスとダーウィンという設定が見事に活きている。宗教や文明についても色々と考えさせられ、その意味でも面白い作品だった。
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