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毒杯の囀り の商品レビュー

3.4

10件のお客様レビュー

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2016/10/20

中世の検屍官のミステリなんだけど、情景描写に気を取られてなかなか。 読み終わってすっきりおもしろかったー!って本ではないけれど、世界観はクセになりそう。 唐突に「下手人」だったかな?江戸時代小説風の語句が飛び出してクスッとしたり。

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2016/01/14

14世紀ロンドン、酒飲みで国王勅任の検死官とその書記を務める托鉢修道士が、貿易商とその後に続く不審な死を捜査する。 正直で憎めない巨体の検死官と、論理的に推理する修道士のコンビが面白い。 死と隣り合わせの庶民、贅沢に暮らす高官や貴族達。読みやすいのに、しっかりミステリーで楽しめ...

14世紀ロンドン、酒飲みで国王勅任の検死官とその書記を務める托鉢修道士が、貿易商とその後に続く不審な死を捜査する。 正直で憎めない巨体の検死官と、論理的に推理する修道士のコンビが面白い。 死と隣り合わせの庶民、贅沢に暮らす高官や貴族達。読みやすいのに、しっかりミステリーで楽しめました。

Posted byブクログ

2012/10/10

1377年、イングランドはロンドン。 エドワード3世が崩御し、幼い孫のリチャード2世が即位。叔父のジョン・オブ・ゴーントが摂政として実権を握っていた、政情不安の時分。 摂政とも親しい貿易商スプリンガル卿が殺された。下手人と思われる執事は自殺を遂げている。スプリンガル卿の部屋へ続く...

1377年、イングランドはロンドン。 エドワード3世が崩御し、幼い孫のリチャード2世が即位。叔父のジョン・オブ・ゴーントが摂政として実権を握っていた、政情不安の時分。 摂政とも親しい貿易商スプリンガル卿が殺された。下手人と思われる執事は自殺を遂げている。スプリンガル卿の部屋へ続く廊下は人が歩くと「歌う」と言われる「小夜鳴鳥の廊下(ナイチンゲール・ギャラリー)」。この廊下を通ったのは執事だけ。 だが、犯人は自殺したはずなのに更に死者が…。 事件を追うのは国王勅認検死官ジョン・クランストン卿。そして、彼の書記を務めるドミニコ会修道士アセルスタン。 しかし、コンビを組み始めたばかりの二人はぎくしゃくしていて…。 大食らいの酒呑みで毒舌、大声で喚き散らすジョン卿に、真面目で温和なアセルスタンは我慢ならない。 だが、二人とも実は暗い過去に苦しめられていた。 アセルスタンは償いきれない重い罪。 ジョン卿は癒しきれない大きな哀しみ。 その過去を打ち明けることで二人に絆が芽生え、捜査は一気に展開していく。 ジョン卿は愛妻モードの励ましを胸に猛然と犯人を追い、アセルスタンは教会区の未亡人ベネディクタへのほのかな想いを秘めながら推理を巡らせる。 中世イングランドの生活感が生き生きと活写されたとても興味深い作品。 登場する人物も皆一癖も二癖もある人物ばかり。 大食漢で口が悪いけれど憎めない検死官ジョン卿と、真面目でスマートだけど禁じられた恋心に悶々と悩むアセルスタン修道士のデコボココンビがいい味を出しています。 トリックについては本格ミステリがお好きな方には物足りないかも。星4つはそれが理由ですが、私個人は大満足な作品です。 むしろこの作品は、中世ならではの事件背景などを楽しむのが一番だと思います。

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2012/06/18

14世紀のロンドンを舞台とする『中世謎解きシリーズ』。中世イギリスが舞台のミステリだと『修道士カドフェルシリーズ』が有名ですが、こちらはさらに歴史好きの作者らしく、当時のロンドンの風俗描写が精緻で面白い。猥雑で混沌とした雰囲気がよく伝わってきます。 酒好き巨漢で年長の検死官、書記...

14世紀のロンドンを舞台とする『中世謎解きシリーズ』。中世イギリスが舞台のミステリだと『修道士カドフェルシリーズ』が有名ですが、こちらはさらに歴史好きの作者らしく、当時のロンドンの風俗描写が精緻で面白い。猥雑で混沌とした雰囲気がよく伝わってきます。 酒好き巨漢で年長の検死官、書記を務める若い切れ者の青年托鉢修道士という、探偵役二人のコンビ。二人がそれぞれ過去の出来事から心に傷を持ちつつ、お互いにはそれを表に出さず事件に挑んでいく。キャラクターとしても魅力的。 事件は富裕な貿易商が毒殺されたことから始まる連続殺人事件。謎の言葉や不可解な執事の縊死体など、序盤からさまざまなピースをぶちまけてくれます。 捜査の道筋が立たず右往左往する前半に比べて、後半になると二人がそれぞれ違ったポイントから事件の核心に迫っていく。作中の托鉢修道士と同じタイミングで謎の言葉『31個しかない…』の意味に気づいたときは、はっとさせられました。後は怒濤の勢いで解決編へ。事件解決に向けた手掛かりのちりばめ方が良くできてますね。 解決編では、真犯人に言い逃れできる場を作らないように、舞台のお膳立てをしっかり用意する托鉢修道士、カッコイイ-。

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2012/02/08

舞台は14世紀ロンドン。連続殺人事件に挑むのは酔いどれ検死官と生真面目修道士。 歴史ミステリって、多くの読者がそこまで時代背景に詳しくないから、作者が圧倒的に有利なのだけど、なんだか狐に騙されたい気分で読んでしまうジャンルです。 この話では当時のロンドンがいかに不潔で猥雑で犯罪に...

舞台は14世紀ロンドン。連続殺人事件に挑むのは酔いどれ検死官と生真面目修道士。 歴史ミステリって、多くの読者がそこまで時代背景に詳しくないから、作者が圧倒的に有利なのだけど、なんだか狐に騙されたい気分で読んでしまうジャンルです。 この話では当時のロンドンがいかに不潔で猥雑で犯罪に溢れているかという、文化史的側面が描き込まれているのですが、描写が執拗すぎて途中から感覚が麻痺してくるというか。 (汚物や死体がその辺をゴロゴロしていても「ま、そんなもんでねーの」と。絶対タイムトラベルしたくない場所ではあるが…。七世紀アイルランドのフィデルマの世界じゃ、安直に死刑が行われることはなく、みんなマメに風呂に入ってたというのによー。時と場所が変われば、未来であっても非文明的になるのだね) きちんとした捜査や、論理的推理が通じにくい時代だということを強調しているのかな…。 キャラ的には、悩み多きアセルスタン修道士が可愛いと言えなくもない。教区の未亡人ベネディクタに悶々としてるところが哀れだけど、微笑ましいです。

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2012/01/06

14世紀のロンドンで裕福な貿易商が毒殺された。 犯人と思しき執事が屋根裏で自殺しているのが発見されるが…。 検死官とその書記の修道士が謎に挑む。 14世紀ロンドンの描写が見事。 文面から臭いたってくるようだった。 その反面、キャラクタの描写がいまいちで、検死官も修道士もつかみ所...

14世紀のロンドンで裕福な貿易商が毒殺された。 犯人と思しき執事が屋根裏で自殺しているのが発見されるが…。 検死官とその書記の修道士が謎に挑む。 14世紀ロンドンの描写が見事。 文面から臭いたってくるようだった。 その反面、キャラクタの描写がいまいちで、検死官も修道士もつかみ所がないというか、プロットに沿って動いているだけと言うか。 重い罪を犯した過去を持つ修道士が自省しまくったり、もっと悩んだりした方がキャラが際立ったんじゃないだろうか。 そうすれば妙に浮いた恋愛絡みのエピソードもうまく収まったと思う。 冒頭から出てくる主人公二人が、ラストの謎解きの場面に居合わせただけの幼王に食われちゃダメでしょ。 ミステリは本格志向で、密室あり。 時代にマッチした謎解きで悪くはなかった。 とりあえず次も読む。

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2011/02/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

14世紀ロンドン。王侯へも金貸し業を営む貿易商が自室で毒殺される。その貿易商の自室の外の廊下は、人が通れば”歌う”廊下であった。探偵役は酒好きの検死官とその書記役に修道士。中世ロンドンを舞台とするミステリー・シリーズの第1弾。

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2009/10/07

中世ロンドンの街角の不潔な描写、作者がめちゃくちゃ楽しそう。 ポール・ハーディングが別名で執筆した作品。どうりで、何となく知っているような気がした。

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2009/10/07

中世イングランドを舞台にしたミステリ。当時の猥雑な様子がまざまざと描かれます。馴染みのない時代なので取っつきはそれほど良くないけど、人間像はわかりやすく、ミステリとしては本格の密室もの、読後感も良いです。アセルスタン修道士は償いの一環として、教会の仕事の他に検察官の秘書も務める。...

中世イングランドを舞台にしたミステリ。当時の猥雑な様子がまざまざと描かれます。馴染みのない時代なので取っつきはそれほど良くないけど、人間像はわかりやすく、ミステリとしては本格の密室もの、読後感も良いです。アセルスタン修道士は償いの一環として、教会の仕事の他に検察官の秘書も務める。検察官は大酒飲みの巨漢で、こういうコンビはいかにも英国的。アセルスタンは若気の至りで修道院を飛び出して弟と戦地に赴き、弟を死なせてしまった過去を持つ。カドフェルが定年というほどの年齢まで十字軍の軍人だったことを思わせますね。こちらはぐっと若いですが。

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2009/10/04

さらりと読める海外本格ミステリ。時代設定と事件とのバランスが良いので、古典ミステリを読んでるような懐かしい気分になれる。探偵役コンビが面白い。このふたりが常時前面に出てるので、余計に容疑者たちが地味に思える。このコンビはホームズとワトスンではなく、ふたりともホームズという設定。 ...

さらりと読める海外本格ミステリ。時代設定と事件とのバランスが良いので、古典ミステリを読んでるような懐かしい気分になれる。探偵役コンビが面白い。このふたりが常時前面に出てるので、余計に容疑者たちが地味に思える。このコンビはホームズとワトスンではなく、ふたりともホームズという設定。 探偵役としての本領を発揮するのに時間がかかり、しかも検死官はいつも酩酊してへろへろなのだが、なぜか微笑ましく見え、コンビとして成長していく過程を興味深く読んでいた。トリックには派手さはないが、フェアでキチッとしている優等生的なもの。犯人の絞込みは難しくない。修道士の教区の描写が多すぎたのが気になった。謎解きだけに集中できていれば、もっとスピード感があっただろうにと残念に思う。

Posted byブクログ