大破局 の商品レビュー
ウォール街や投資銀行がどのような金融商品を誰にどのように売っているのか知れる本。 読後の感想として、なんだかよくわからない注意事項がたくさん記載されている債権などおよそ素人が買うものではないというのがよくわかった。複雑な金融商品は売り手しか正確に理解できないようなリスクを多分に...
ウォール街や投資銀行がどのような金融商品を誰にどのように売っているのか知れる本。 読後の感想として、なんだかよくわからない注意事項がたくさん記載されている債権などおよそ素人が買うものではないというのがよくわかった。複雑な金融商品は売り手しか正確に理解できないようなリスクを多分に含んでおり、買い手がそのリスクを知るのはリスクが発現し損失を被ったあとである。 先物、オプション、スワップがどういうものか知っているとより実感を持って読める。
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【入手元】 図書館で借りた 【概要】 ・他の本でも読んだが、今も昔も金融業界のもうかる仕組みは以下のとおりということが分かった (1)リスクが高く、リターンもいい商品をデリバティブを使ってリスクが低いように見せかける (2)(1)の商品を債券に組み込んだ後、債券に無理やりA...
【入手元】 図書館で借りた 【概要】 ・他の本でも読んだが、今も昔も金融業界のもうかる仕組みは以下のとおりということが分かった (1)リスクが高く、リターンもいい商品をデリバティブを使ってリスクが低いように見せかける (2)(1)の商品を債券に組み込んだ後、債券に無理やりAAAを取得する (3)よく理解していない投資家に高い手数料で売りつける (4)投資家は、どうせ自分が働いている間は損失は表面化しないと思い、こういうインチキ商品を買いまくる ・90年代のことを書いた本だが、本題の本質はサブプライムローンでもほとんど変わってないと思った。
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90年代中盤に、モルガンスタンレー(以下MS)でデリバティブのセールスを担当していた著者が、当時のビジネスや職場の在り様を赤裸々に綴った本。 単に私の知識不足かも知れないが、どうもウォール街のインサイダーが書いた一般向けの金融本というのは、プロップトレーダーかクオンツの視点から...
90年代中盤に、モルガンスタンレー(以下MS)でデリバティブのセールスを担当していた著者が、当時のビジネスや職場の在り様を赤裸々に綴った本。 単に私の知識不足かも知れないが、どうもウォール街のインサイダーが書いた一般向けの金融本というのは、プロップトレーダーかクオンツの視点から書かれたものが多く、セールスの視点で描かれたものが少ない(Liar's Pokerくらい?)。 恐らく、トレーダーやクオンツが著者自身の倫理的問題を避けながら事象を記述できるのに対し、セールスはどうしても「はい、危ないと分かってて売りましたが、何か?」と、倫理的に開き直らない限り面白い読み物は書けないからだと、個人的に邪推している。 何はともあれ、本書はそのセールスの視点から書かれた、非常に貴重な本。 で、本書で記述される職場の在り様は、やはりと言うべきか、「客の面の皮をひん剥いてやった」ことを誇りとし、的を顧客に見立てたクレー射撃大会に全員で出向く、そんな社員で構成される集団。 80年代にソロモンやドレクセルバーナムが金融革命を起こし創り上げた攻撃的なスタイルに、保守的で知られていたMSも取り組み、花開き、黄金期を迎えていた時代が、良く描写されている(やたらと馴れ馴れしい語り口が若干鼻につくが)。 しかし上記は、この手の金融関連書籍を読めば良く出てくる話で、特筆すべきものはない。それよりも興味深いのは、当時のデリバティブビジネスが、セールスの視点で細かく描写されている点。 プロップトレーダーと違い、手数料ビジネスであるセールスは、如何に利幅のあるデカい案件を締結するか、が勝負になる。そのためには、①とにかく複雑な商品を作り、②顧客から手数料となるスプレッドとリスクを見えづらくする一方で、③格付け機関から高格付けを取りつけ、④さも安全かつ魅力的な商品であるかのように見せて、⑤後で訴えられないように説明責任をぎりぎり満たしつつ売りつける、という5点が重要になる(そう、リーマンショックを引き起こした住宅ローンビジネスと基本は全く同じ!)。 著者は、この5点を如何に巧妙にやったか、事細かに記している。一例をあげると: ・PLUSノート バメナックスというメキシコの銀行の要望に応えて作られた仕組み債。 バメナックスの要望は: ①誰も欲しがらない、無価値になったインフレ・リンク型のジャンクボンド(以下ボノス)を ②損失を計上することなく ③売却し、その資金で新しい投資を行えるようにする という、中々困難なものであった。 MSはこれを以下の形で実現した: ①バミューダの慈善事業団体の下にペーパーカンパニー(以下新会社)を作る ②ボノスを、支払い優先度の高い部分と、低い部分の2つに分ける ③支払い優先度の高い部分だけ、S&Pに格付けしてもらう ④ペソ払いをドル払いに変換する外貨取引を付与する ⑤契約書に「格付けはドル/ペソ間の為替リスクは反映していない」と小さく記載する ⑥バメナックスがボノスの20%、新会社が80%(全て格付け有り)を保有する ⑦新会社のボノスを米国の投資家に売る 理由は本書を参照してほしいが、上記プロセスを踏むことで、誰もが敬遠する無価値なジャンクボンドが、魅力的なAAクラス債券に早変わりし、利回りと格付けしか見ない米国の機関投資家に飛ぶように売れた。MSはこれを、様々なメキシコの銀行と米国機関投資家の間で取り行い、10億ドル儲けた。 そして数年後、メキシコ通貨危機が起こった時、メキシコの銀行と米機関投資家は仲良く火だるまになった。 と、上記のような様々な取引が詳解に綴られており、デリバティブのセールスが如何に、利回りと格付けしか見ない怠惰な顧客を騙くらかして荒稼ぎしたかが、非常に良く分かる。前述したように、本質的な部分は今もほとんど変わっておらず、複雑な金融商品のセールスが、どういった点に立脚し、どのような手法の下実行されるのかを知る上で、本書はかなりお勧め。
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投資銀行の実体を書いた本。これでもう3,4冊目だー。きわどいな。としか思えん。。こういうのを読むと合法って何だ、とか倫理って何だ、とか考えてしまう。
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it m 29p○デリバティブとは何ですか? デリバティブとは、その価値が株式や債券のような他の証券に 関連し、そこから派生する金融商品である。例えば、あなたはIBM の株を買うことができる。その代わりにあなたは、ある一定の時 期に一定の価格でIBMの株を買う権利-すなわち...
it m 29p○デリバティブとは何ですか? デリバティブとは、その価値が株式や債券のような他の証券に 関連し、そこから派生する金融商品である。例えば、あなたはIBM の株を買うことができる。その代わりにあなたは、ある一定の時 期に一定の価格でIBMの株を買う権利-すなわちIBM株の「コール・ オプション」を買うこともできる。 コール・オプションの価値は、それが基づいているIBM株の価値 から派生するものであるから、コール・オプションはデリバティ ブである。もしもIBM株の価狢が上昇すれば、コール・オプション の価値も上昇し、その逆なら逆となる。 ○デリバティブのタイプを2つ教えてください。 オプションとフォワードです。 ○誰もが知っている言葉ーコルヴェットでオプションやフォワー ドのことを説明してください。 オプションとは将来なにかを買い、あるいは売る権利である。 買う権利が「コール・オプション」であり、売る権利が「プッ ト・オプション」である。そこでもしもあなたが、数台のコルヴ ェットの新車があるディーラの店に1カ月以内に到着することを知 り、ある値段、例えば4万ドルで買うために予約金としてディー ラーに1000ドル払うとする。車が到着したとき、1台を4万ドルで 買う―権利だが義務ではない―コール・オプションを手にしてい ることになる。あなたはコール・オプションを手にしているのだ から、コルヴェットの新車の値段が上がればいいと思うだろう。 もしも値段が5万ドルに上がれば、4万ドルでコルヴェットを買 うあなたのオプションは1万ドルの価値があることになる。また コール・オプションがあればあなたの損失も限られる。もしも価 格が3万ドルに下落すれば、あなたはディーラーに1000ドル(オプ ション・プレミアム)をくれてやり、コルヴェットを安い方の値段 で買う。 もうーつのタイプのデリバティブ―「フォワード」は、将来な にかを買い、あるいは売る義務である。この義務は取引所で取引 されるならばフユーチャー(先物)と呼ばれるが、コンセプトは同 じである。もしもあなたがコルヴェットの新車を買いたいが、オ プションとして1000ドルは払いたくないとする。 そこであなたは1カ月以内にコルヴェットを4万ドルで買うフォ ワード・オプリゲーション(義務)を契約することができる。新車 のコルヴェットが到着したら、もしも時価が安くなっても1台を4 万ドルで買う義務をあなたは負う。オプションの場合と同じく、 あなたは価格が上がればいいと思う。 しかしフォワードの場合はあなたの損失は限定されないので、 あなたは値段が絶対に下がってほしくない。もしもコルヴェット の価格が3万ドルに下がっても、あなたはそれを4万ドルで買わな くてはならない。この下落のリスクにもかかわらず、オプション の代わりにフォワードを買う少なくともひとつの良い理由がある ―あなたは1000ドルのオプション・プレミアムを節約できるのだ。 オプションとフォワードは、株式や債券などいろいろな金融商 品や市場指数に関して取引される。そのあるものは、世界中の公 式の取引所で取引される。その他のものは私的な交渉による取引 でのみ取引され、店頭取引あるいはOTCと呼ばれる。取引所で扱わ れるデリバティブはOTCデリバティブよりもより高度の規制を受け、 より流動性(換金性)があり、より信頼性がある。 取引所で扱われるデリバティブについての情報を得るためには、 あなたはただウォール・ストリート.ジャーナルを見るなり、ブ ローカーに電話すればいい。反対にOTCデリバティブについては、 投資銀行のデリバティブ・グループで働いていないかぎり、ある 種の情報を見つけることは絶対に不可能だろう。すべてのデリバ ティブはオプションとフォワードの組み合わせである。デリバテ ィブ・マーケットの活動の多くは―ぼくが話そうとしている商売 も含あて1異なるオプションやフォワ!ドを組み合わせ、それらを パッケージで売ることにかかわっている。これちのパッケージを 作りだすにあたってもっとも難しい点は、それぞれの構成部分が どのような価値があるかを計算することだ。 これらの計算はデリバティブ・セールスが本当にロケット・サ イエンスに似ている一要素であり、そして失敗は破局的なものと なりうる。
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サブプライム以前に書かれた金融商品の怖さが描かれた本。 外銀が手数料をピンはねするためにどのようにデリバティブを売っているかを過激に書いている。 勉強になるというよりはただ純粋に面白い本。 マイケルルイスのライアーズポーカーとよく似ている。
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●未読 ◎「世界金融崩壊七つの罪」p.58で紹介 【「客の面の皮をひん剥く」:デリバティブ(金融派生商品)は高度な数学を用いて作られている為、免責条項の多さと共に客には内容が複雑すぎて理解できず、ありもしない資産をあるように見せかけた商品でも金融関係者は罪に問われる事が少なかった...
●未読 ◎「世界金融崩壊七つの罪」p.58で紹介 【「客の面の皮をひん剥く」:デリバティブ(金融派生商品)は高度な数学を用いて作られている為、免責条項の多さと共に客には内容が複雑すぎて理解できず、ありもしない資産をあるように見せかけた商品でも金融関係者は罪に問われる事が少なかった事から、こう表現された。〜この時期、「ひん剥かれた」客には、カリフォルニア州オレンジ郡やP&G社に加え、大和銀行や住友商事なども名をつらねていた。】
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さてさて、デリバティブに関する本を読みました。 金融とはそこまで関係のない友人が紹介してくれた 本なのですが、ウォールストリート投資銀行残酷日記 に雰囲気が似ている一冊です。 ウォールストリート投資銀行残酷日記より良い点としては デリバティブに関して、かなり詳しい説明が割かれ...
さてさて、デリバティブに関する本を読みました。 金融とはそこまで関係のない友人が紹介してくれた 本なのですが、ウォールストリート投資銀行残酷日記 に雰囲気が似ている一冊です。 ウォールストリート投資銀行残酷日記より良い点としては デリバティブに関して、かなり詳しい説明が割かれていることです。 普通に読めば、かなりわかりやすい内容になっています。 そして、いかに法律の網をくぐりぬけてきたかも わかると思います。 英訳が所々変な印象があります。 金融というか、投資銀行について それほど詳しくない人が訳したのでしょうか? そこまで、苦労せず読める一冊ですが 金融のしかも、デリバティブに興味が ある人は読んでも良いかもしれないねといった程度の一冊です。
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本書は90年代にモルガンスタンレーを代表とする投資銀行が何をやっていたのかを知るのにもってこいだと思う。僕はこういったタイプの本を、勝手に「ハードボイルド金融小説」と呼んでいる。 著者の経歴を書くと、イェール大学のロースクールを卒業後、ファーストボストンという証券会社に就職。後...
本書は90年代にモルガンスタンレーを代表とする投資銀行が何をやっていたのかを知るのにもってこいだと思う。僕はこういったタイプの本を、勝手に「ハードボイルド金融小説」と呼んでいる。 著者の経歴を書くと、イェール大学のロースクールを卒業後、ファーストボストンという証券会社に就職。後にモルガンスタンレーに転職し、デリバティブのセールスに携わる。今はそういった不毛な仕事に飽きて、サンディエゴ大学で大学教授をやっている。 類書と比べて面白かった点が、2点ある。 それは、本書が「サブプライムローン問題」を暗示している点。そして、この当時(90年代)は彼らは、CDO(毒まんじゅう)を売っていることをしっかりと認識していた点である。 具体的に述べると、彼らは90年代においては、いかによい格付けをもった仕組み債(CDO)をつくって、どれだけ顧客をカモるかということを考えながら、セールスしていたのである。 これが00年代、つまりサブプライムで自爆する頃になると、自分たちでCDO(毒まんじゅう)を抱えてしまっているし、それだけ社員の質が落ちてしまったのかなと感じた。 とにかく、時代の移り変わりは早いということを感じさせられた。
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難しかったし、なかなか読み進められなかったので読み飛ばしちゃったけど、とりあえずモルガン・スタンレーが相当えげつないことやってたのは分かった。
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