岩波講座 開発と文化(3) の商品レビュー
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反開発のイデオロギーを開発する側の意見として捉える場合はどうなるのか。これに対して内堀は以下のような主張を展開する。例えば環境保全の観点から、先進国の市民社会が途上国の開発に対して反対という立場を取る場合、そこには善意の文化保守主義といった様相が浮かび上がってくる。しかし、こうした善意はしばしば対象に即したものではなく、「自文化の欠如として思い描くものを異文化の中に見いだすところに発するもの」になり、それは「自文化の反転した投影像」[内堀, 1997:55]と成り下がるのだ。この保守主義が先進国の文化の投影である限り、そこから浮かび上がる反開発のイデオロギーは自文化中心主義でしかあり得ないのである。このようにして、先進国の市民社会からの反開発の思想は、しばしば開発される側の途上国から「先進諸国のエゴイズム」[内堀, 1997:55]として拒絶されるのである。反開発の論拠を西洋の個別文化に特有なものだとみなすことにおいて、文化相対主義はそのエゴイズムを拒絶する強力な武器となるのである[内堀, 1997]。
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