コンピューター200年史 の商品レビュー
コンピューターの技術史としての基本を押さえているのは当然として、社会経済史としても秀逸。ラジオとPCのホビイストから商業化への相似形、アップルとマイクロソフトの関係の深さ、マーケティングの怖さ、たびたび出てくる「一旗組」の記述が興味深い。 気になった記述。 ・アプリケーションソ...
コンピューターの技術史としての基本を押さえているのは当然として、社会経済史としても秀逸。ラジオとPCのホビイストから商業化への相似形、アップルとマイクロソフトの関係の深さ、マーケティングの怖さ、たびたび出てくる「一旗組」の記述が興味深い。 気になった記述。 ・アプリケーションソフトの3つの大きな市場。ゲーム(ホビイストへ)、教育(学校へ)、ビジネス(とりわけスプレッドシートのパーソナル化。ワープロはプリンタやディスプレイなどの外部環境の発達が決め手)。 ・PCはビジネスと娯楽の間にあった。市場調査でも、ビジネスマシンと家庭用製品のグレーゾーンにあることを示していた。 ・コンピューターを消費財として捉えようとしたが、近寄りがたい、高価なものという社会認識は変わらなかった。あえてコンピューターでしなくてもよいことが多いのだ。 ・インターネットの核にあるのがコンピューター技術であるのは当然だが、その重要性は経済的であり、かつ社会的であった。それはコンピューターユーザーに情報源にアクセスし、コミュニケーションをとる能力を与えたからである。 ・ネットワーキングの人気が急上昇したのは、資源が共用できるという経済性や、遠くのコンピューターが使えるという機能や、コンピューターゲームが出来るという理由からではなかった。そうではなくて、ユーザーを惹き付けたのは電子メールを介してコミュニケーションがとれるという機会だった。 ・ネットワーク人口が増えれば増えるほど、電子メールはますます便利になった。長距離電話をかけることよりも安いことの他に、電子メールは、かける側、受ける側の両者が同期する必要をなくし、両者を電話の置いてある仕事机から解放した。電子メールはまた、時差に伴う問題もなくした。 ・国際通信委員会より、ARPAが考案したTCP/IPが事実上の標準になった。 ・インターネットはもはや技術的な問題ではなく、政治的な問題であった。
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