第1感 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
「仕切り越しのオーディション」やマイクロ・エクスプレッションなどを通じて提示された本書のテーマは、人間の無意識的な判断や感情の読み取りの難しさと重要性を改めて考えさせる。そして、こうしたテーマを踏まえたうえで、本書から得た感想と考察をまとめた。 読んだ本は、無意識、感情、認知の深層を科学的かつ実践的に探る内容であり、マインドリーディングや表情分析、さらには軍事や政治の実例を通じて多角的に理解を拡げるものだった。例えば、ペンタゴンのミレニアム・チャレンジにおける情報過多問題や組織の硬直性は、人工知能や組織運営のリアルな課題と重なり合う。クリントン政権の世論調査重視の意思決定の賛否は、政治における理想と現実のせめぎ合いを示した。こうしたリアルな事例によって、無意識の存在を意識し、コントロールを試みる意味が鮮明になった。 とくに表情記述法FACSやマイクロ・エクスプレッションは、感情の科学的理解に新たな視点を提供する。O・Jシンプソン裁判の映像記録での表情分析の運用は、その利用価値と限界を教える。オンライン会議ツールZoomでのマイクロ・エクスプレッション活用についても、画質や環境の制約はあるが、慎重に観察すれば有効な手がかりになることに気づいた。 本書で紹介された「仕切り越しオーディション」は、プロの評価と無意識の偏見を可視化するエピソードであり、これが「響け!ユーフォニアム」の最終オーディションシーンにも共鳴している。アニメ版と原作の描写の違いを比較するなかで、情報の公平性と人間の心理的な部分をいかに表現するかの工夫を学んだ。 全体として、本書は無意識と感情の複雑な相互作用を多面的に照らし出し、認知科学・心理学・政治学・軍事戦略など幅広い領域への応用を通じて、私たちが見落としやすい「心の裏側」に光を当てている。エグゼクティブ・コーチングの実践者として、これらの知見は感情を読み取り、理解し、クライアントとの真の関係構築に活用できる確かな技術となるだろうと確信した。 以上、心と無意識を「訓練」する道のりは単純でないが、科学的理解と現場感覚の両面から深めることで、習熟と成果が期待できると感じた。人の心の微細な動きに気づき、それを尊重しながら対話していく重要性を改めて認識させられた読み物であった。
Posted by
2024/02/27読破 一言 ファーストチェス理論 感想 徳間さんのおおすめの本にあり読みましたが、目新しいことはありませんでした。海外での体験記は面白いので、読み物としてはいいかもしれないです。 下記は印象に残った点 p66 前頭葉腹内側部に損傷があると、知識と行動の...
2024/02/27読破 一言 ファーストチェス理論 感想 徳間さんのおおすめの本にあり読みましたが、目新しいことはありませんでした。海外での体験記は面白いので、読み物としてはいいかもしれないです。 下記は印象に残った点 p66 前頭葉腹内側部に損傷があると、知識と行動の繋がりが断たれてしまう。 →理性が働いた行動ができない p142 余計な情報はただ無用なだけではなく、有害でもある。 →人に伝えるときは、過不足ないことが大切。
Posted by
著者はジャーナリストであって,適応性無意識についての研究と事例を取材してまとめたのが本書。これをビジネス書として読んでフレームワークを引き出すのは極めて勝間流で,仕事としては橘玲と同じ種類。むしろ橘玲の元型がマルコム・グラッドウェルか。 認知能力についての研究は脳科学の発展に伴っ...
著者はジャーナリストであって,適応性無意識についての研究と事例を取材してまとめたのが本書。これをビジネス書として読んでフレームワークを引き出すのは極めて勝間流で,仕事としては橘玲と同じ種類。むしろ橘玲の元型がマルコム・グラッドウェルか。 認知能力についての研究は脳科学の発展に伴って日進月歩なので内容はやや古い感が否めない。それでも,プロの勘と大衆の反応のズレや,適応性無意識が機能しなくなる場面及びその機能を高める訓練があり得るというのは興味深い。 パッケージによって商品の評価が変わる「感覚移転」,味覚のプロは判断の基準(例えばDOD)と語彙を持っている,表情記述法(FACS),訴えられる医者と訴えられない医者,スピードデートなど具体的エピソードが満載で雑談ネタの宝庫である。 個人的には,人の表情にフォーカスしない傾向が,自閉症のケがあることを表しているような気がした。関心を持って観察することを心がけようと改めて思った。
Posted by
タイトルからはHOW TOか自己探求ものかと思ったが、心理学実験や実際の事件を通して人間の感情や判断力のもとを読み解くというもの。科学ドキュメンタリー番組を見ているような感じで楽しみながら読めた。「謝辞」を読んだ後、カバーの写真に気づいた。なるほど。
Posted by
瞬時の判断には、蓄積したデータと経験が必要。プロは無意識に積み重ねた経験を基に判断している。 第一印象は、無意識のステレオタイプや言語化できない部分を最もらしい理由に合わせてしまう傾向があり、判断を間違うことが多分にある。 第1感は存在している。 正しい判断をしていくために、直感...
瞬時の判断には、蓄積したデータと経験が必要。プロは無意識に積み重ねた経験を基に判断している。 第一印象は、無意識のステレオタイプや言語化できない部分を最もらしい理由に合わせてしまう傾向があり、判断を間違うことが多分にある。 第1感は存在している。 正しい判断をしていくために、直感的な思考と熟考のスキルを鍛えていきたい。
Posted by
前著ティッピングポイント、邦訳「急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則」が面白かったので手に取った。 瞬時に下した判断は、慎重に時間をかけて下した結論と比べて決して見劣りしない。 適応性無意識と言うらしい。脳が瞬時に結論を導き出してくれる。常に...
前著ティッピングポイント、邦訳「急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則」が面白かったので手に取った。 瞬時に下した判断は、慎重に時間をかけて下した結論と比べて決して見劣りしない。 適応性無意識と言うらしい。脳が瞬時に結論を導き出してくれる。常に専門情報をインプットしておくとそのレベルは上がりそうだ。 但し、第一感の判断を言語化して表現するには訓練を要する。マヨネーズやコーラの各社の微妙な味の差を言語で表現する料理のプロ等の様に常日ごろ自分の興味と情熱をそそぐ何かについて表現する努力が求められる。逆に、素人が無理に言語化しようとすると記憶が捻じ曲がる可能性がある。市場調査では今までに存在しない新商品の体感を素人にヒアリングする時に気を付けたい。消費者は本当にそのモニターしている製品が嫌いなのか、それともまだ慣れていないのか、新商品との未来を想像できなければそもそも評価・表現できないものを、その場のセリフをそのまま間に受けると落とし穴にはまるかもしれない。マーケティングには心の行間を読み取り、プロとしての美意識や判断が必要になりそうだ。 また第一感の弱点は、環境に左右されやすい点。 偏見ですぐに判断が歪んでしまうし、ストレスがあっても判断が狂うし、時間が無さ過ぎても判断を間違えてしまう。 これはハロー効果が一定の効果があることとも解釈できる。 例えばある人に対して第一印象、外観が良い方が信頼感があるように評価したり能力がある様に評価をしてしまう効果のこと。
Posted by
読んで外れのない作家のひとりが書いた本作も、興味深い事例が扱われている。 第4章「瞬時の判断力」では、米国史上最強の知的リソースが与えらえた青軍と実績ベースの赤軍によって、どちらが勝つかの予行演習が行われた。その結果は・・軍司令部の思惑とは逆に赤軍が勝ったのだが、実際に本戦に採用...
読んで外れのない作家のひとりが書いた本作も、興味深い事例が扱われている。 第4章「瞬時の判断力」では、米国史上最強の知的リソースが与えらえた青軍と実績ベースの赤軍によって、どちらが勝つかの予行演習が行われた。その結果は・・軍司令部の思惑とは逆に赤軍が勝ったのだが、実際に本戦に採用されたのは青軍だった。 また、犯人を目撃した人物の記憶は、(自分の)言葉で安易に書き換えられる(特徴を言葉にした瞬間、記憶はその言葉に引きずられ変容する)という事実を、警察や裁判所は知っているのだろうか? 第6章「心を読む力」では、4人の警察官が挙動不審な黒人を41発もの銃弾で射殺した。その原因は、先入観と勘違い、さらには被害者がどもり癖のある黒人だったことも輪をかけた。その後、パトロールは警官の一人乗車が主流になった。 その他にも、マインドリーディングやクラッシック楽団の女性奏者受難の話、専門家の瞬間的違和感による贋作を見破る確率の高さ、ブラインドテストの限界など面白い話題がてんこ盛りです。 全集中でお勧めします。 著者:1963年イギリス生まれ。 カナダ・トロント大学トリニティカレッジ卒。 『ワシントン・ポスト』紙のビジネス、サイエンス担当記者を経て、現在は雑誌『ニューヨーカー』のスタッフライターとして活躍中。邦訳には『天才!』『ニューヨーカー傑作選』ほかがある。 ある製品やメッセージが突然、爆発的に売れたり広まったりする仕組みを膨大な調査とユニークなフレームワークによって解き明かした最初の著書『ティッピング・ポイント』(邦題『急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則』)、人間は、長時間考えてたどり着いた結論よりも、最初の直感やひらめきによって、物事の本質を見抜くという仮説を検証した2冊めの著書『ブリンク』(邦題『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』)は、いずれも世界で200万部を超える大ベストセラーになっている。
Posted by
直感は必ずしも正しくないということ、プロの直感は感覚によるものではなく、長年のトレーニングから生まれたものであるという話。
Posted by
直感は意外と正しいし、かつ養えるものという話。時間をかけたり、言語化することで正しかったものを間違えてしまうというのは面白い。また、時間がないと「自閉症」になり、情報を処理できずに誤った直感が働くというのは悲しい現実だと思う。話の趣旨は面白いが、文体は若干あきる。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
はじめての人と出合ったり、本物なのか贋作なのかわからない美術品とでくわしたり、そういったとき人は、無意識のうちに瞬時に正しい判断を下せるものなのだ、というのが、本書の大きなテーマです。逆に、情報過多になるくらいの情報をふまえて判断していくほうがよっぽど間違えるものだ、ということも明らかにしていました。様々な事例や研究から論立てしていく構成になっています。 誰しも第一印象が正しかったケースを経験していると思います。同様に、第一印象で間違ってしまった経験もあるでしょう。それは偶然の産物ではない、と著者は論じていくわけです。最初の2秒での判断を、本書では「輪切り」と呼びます。その瞬間の輪切りから情報を取り出して、人の無意識は一瞬のうちにただしい判断をするのだと。でも、そこには個人差があります。経験や知識、訓練といったものが積み重なっていてこそ、輪切りによる判断はうまくいくようです。また、輪切りから引き出されるさまざまな情報のうち、どれがその場合においてもっとも重要なポイントなのかも判断するカギになる。たとえば、輪切りから10の情報を手に入れたとして、判断に使うのはそのうちでも重要な3つだとかになるわけです。そういった判断、選択、決定の精度が経験や知識、訓練によって上がっていくもので、そうやって精度の上がった「第一感」はより正しく瞬時に判断を下すものだし、「第一感」を信頼できるようにもなっていきます。 また、アメリカでは警察による誤認発砲などで命を落としてしまう黒人のひとたちが多数いるのですが、そういう場合になぜ「第一感」が作動しないか、というところも本書の後半部で明らかにしています。そこには、自閉症の人とおなじように、人の心が読めなくなる心理が働くためだという理由がある。人の心が読めなくなるのは、興奮しすぎている状態がそうだといいます。また、同様に、心拍数が175を超えるなど過剰に血流がよすぎるようになると、これも興奮状態であって、人であってもモノとして捉えるような集中の仕方(これも自閉症的なのです)になってしまう。つまり、落ち着いていないと第一感を捉えられないのです。瞬時に判断する第一感といえど、自らが落ちつくための時間が必要であるのでした。あまりに短い時間での判断を強いられても、第一感以前の最低限の直観的反応しかできなくなるそうです。たとえば、とりあえず怪しい人物へと銃を構えるというような。 本書で特におもしろかったのは、表情からピタリとその人の感情や嘘をついているかなどを当ててしまう教授の話です。目は口ほどにモノを言う、といいますが、顔全体は目よりもモノを言っているみたいです。表情筋の動きや、できた皺から、その人が寛容な人物なのか凶暴な人物なのかさえ判断できるとのことです。そんな人の顔から、僕たちは日常的に第一印象で無意識に判断していて、好感をもったり嫌悪感を抱いたりします。まあ、判断する側の価値観も関係するわけですから、そのあたりも鑑みる必要がありそうだと、僕は考えましたが、人の顔にはそれだけありありとその人の人間性が表出されているのだなあと知ると、ちょっと怖さも感じました。 それと、この表情から人となりなどを当ててしまう教授が学生の頃に競馬の予想屋をやってかなり儲けたそうで、その予想の切り口がどうやら競走馬の心理を考えるものなのでした。あるレースである牝馬に負けた牡馬が、別のレースでその牝馬と一緒になり、となりのゲートに入ったならその牡馬は決して勝てない、だとか理論があるそうで。もうちょっと詳しく知りたくなりましたが、数行程度でその記述は終わっていて、惜しかったです……。 というところですが、読み応えのある良書でした。翻訳もよみやすいです。2006年発刊ですが、内容はまだまだ古くなっていません。言語化することで第一感が鈍ってしまう、という章もありそこもなかなか肯けるのですが、言語化でアジャストしていくことが良いのだ、とする現在の認知科学の方法論と照らして読んでみると、自分なりの咀嚼ができるのではないかなと思います。
Posted by
