Pの密室 の商品レビュー
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通勤電車で読んでいたのですが最後に涙してしまいました。貧しく衝動的な殺人は、同情せざるを得ない背景があっても虚しく裁かれます。悲しすぎる。。。 一方で潤沢な資金と家柄と計画があればのうのうと暮らしていけます。この対比が凄かったです。
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御手洗シリーズは久しぶり。と言っても子どもだけれど。大人になった御手洗なら、主導権を取ってもう少し強引に進めることができるかもしれないけれど、子どもだとなかなか思うように事が進められなくてなんだか歯がゆいね。世の中の子どもってそういう歯がゆさを味わっているのかもしれない。全体的に...
御手洗シリーズは久しぶり。と言っても子どもだけれど。大人になった御手洗なら、主導権を取ってもう少し強引に進めることができるかもしれないけれど、子どもだとなかなか思うように事が進められなくてなんだか歯がゆいね。世の中の子どもってそういう歯がゆさを味わっているのかもしれない。全体的に、時代設定の通り「昭和」を感じさせる物語だなという印象。ただ、やっぱり、大人になってからの変人っぽい御手洗の方が好き。大人御手洗を読んだのはもう10年以上前なので忘れている。榎木津礼二郎みたいなイメージ。
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鈴蘭では家族の冷たさ、 Pでは、家族の暖かみ、を感じる一冊だった。 幼稚園の御手洗にはついていける気がするが小2の御手洗は遠く届かないところまで行ってしまったなぁ
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正直云って、島田荘司氏は迷走してます。皆が云うように島田信望者に祭り上げられて浮かれていたんではないだろうか?そう思わざるを得ない今回の作品集。 なんせ御手洗潔が幼稚園児のときと小学2年生に既に刑事事件を解決していたというお話である。特に御手洗潔が幼稚園児のときの話「鈴蘭事件」では、幼稚園児にして明察な頭脳と観察力を持っていたという設定で、もはや小説中の人物でしかありえないスーパーマンぶりにがっかりした(なんせ幼稚園児の時点でモーツァルトを弾き、因数分解をしていたというから驚きだ)。 もう何でもいいや、何が来ても驚かないぞという感じがした。 里美の大学に幼少時代の御手洗の写真と彼を語った文章が記された資料があるとの知らせから始まる「鈴蘭事件」は当時御手洗を好いていた女の子、鈴木えり子の父親が事故死した寸前、彼女の家のお店であるバーの透明グラスのみがことごとく割られているという事件を扱っている。 ここでは事件に御手洗の伯母が関わっていたという衝撃の事実が明かされ、御手洗の孤高ぶりが既に幼稚園時代で確立されているというエピソードが語られている。この事件でトリックとして扱われる鈴蘭に毒が含まれているという真相は先の「IgE」にも似ており、この頃は化学的なトリックに凝っていたのかもしれない。 御手洗潔小学2年生の時の事件は表題作「Pの密室」。 横浜市長賞という小・中学生を対象に毎年開かれる絵のコンクールの審査員をしている画家、土田富太郎が自宅で殺されるという事件が起きた。しかも現場は密室で愛人と噂されていた弟子の天城恭子とともにめった刺しにされ、絶命していたという。しかも奇妙な事に室内にはびっしりとコンクールの応募作が敷き詰められ、それら全てが真っ赤に染められていたというのだった。 小学2年生の時点で御手洗潔が事件の全容を最初から掴んで、刑事達を煙に巻いている、しかも刑事の中には協力的なものもいる、この現実性の無さというか、ご都合主義に呆れた。 もしこれが「鈴蘭事件」同様のただの本格推理小説ならば、今回は2ツ星だったろう。しかし、またしても島田氏のストーリー・テラーの才能にやられた。犯人である被害者の妻と息子の境遇にガツンと打ちのめされたのだ。 土田少年が大きな模造紙でカブトを折るその理由にショックを受け、最後の結末に涙がにじんだ。これがあるから島田氏は見捨てられないのだ。 題名の「Pの密室」の意味はパズラー純度100%だが、犯人の事情はまたしても私の心に残るだろう。よって+1ツ星の3ツ星としよう。
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「鈴蘭事件」と「Pの密室」が収録されています。 鈴蘭事件は御手洗が女嫌いの理由がわかる話でした。 Pの密室はトリックよりも犯人の動機と最後の切ない終わり方が印象的でした。
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小さい頃の御手洗さんの事件。周りにある事、ひとつひとつ観察して、よく考えて、利用していたんだなぁ。 『鈴蘭事件』と『Pの密室』。Pはピタゴラスだったんだね。なるほどね。
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御手洗潔5歳と小学2年の時の事件。幼馴染の橘えり子さんとひょんなことで知り合った石岡君が聞き書きしたというお話二本。御手洗の生い立ち、その人格の基礎となるような出来事などが分かるような内容ながらミステリとしてもきっちり構成された二作。とても面白かった。ただ、石岡君、鈴蘭事件の発表の仕方といい、なんというか関係者に何の了解もなくどんどん書いちゃってるの大丈夫なの……と思ってしまった。御手洗もスウェーデンでびっくりなのでは。まあ、そんな細かいことは気にしないのかな、彼……。 あと、鈴蘭事件の出だし、里美のボーイフレンド?の刑事との関係にやたらとこだわる石岡君、相当アレでは。君たち、キスとかしたの?とか、もう、セクハラオヤジもいいとこだよ。美人好きで結構生臭いタイプの人間だとは思っていたけど、30近く年下の女の子にそういう話するのはどうなのー……。 「鈴蘭事件」 御手洗5歳の事件。ミステリの肝としては、昭和30年という時代の状況でわかったのかな。今ミステリけっこう読む読者であれば、結構基礎知識的なところでもある気はした。「龍臥亭事件」のときに津山三十人殺しを知らなかったのもそうだけど、石岡君の設定、ちょっとずれてきてないですか……占星術の時はあんなにホームズを熱く語っていたのに。 ただ、御手洗の生い立ち、おじさんとの会話、おばさんの考え方、その完全犯罪の成立など考えると、本当にしんみりした。最後、えり子の話をきいて考え込む石岡君に、じーんとした。御手洗に寄りかかっていたけれど、御手洗こそが孤独であり、彼も石岡君と一緒にいることできっと救われていたのだろうと、そう自分を取り戻すきっかけになるといいね、と思った。 「Pの密室」 なるほど、「P」ね。面白かった。このトリックはいかにも島田荘司という感じもあり、求めている御手洗ものだ!という感動もあった。 でも、最後の母子のシーンにも、誰かを救おうとすると他の誰かがつらくなる、告発すべきかどうか迷うキヨシ少年にも泣けてしまった。 今の御手洗潔や、異邦の騎士での彼がどうして生まれたのか、このような人格の持ち主になったのかが良くわかるし、物語としても、「数字錠」を読んだ時のような感動があって、すごくよかった。「占星術」や「斜め屋敷」「暗闇坂」などの、最初のころのすごいトリックの話もいいんだけど、こういう物語性の高いものもとてもいいなと思った。今まで読んだ島田作品の中でも、私の中ではかなり好きな作品だった。
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御手洗幼少期の短編/ これに限らずだけど島田荘司はダメだな/ 日本が嫌いで嫌いで仕方がない/ 後半の刑事は憎き日本人のメタファで無能な害にしかならないオッサンをこれでもかと書いている/ ただの基地外だった御手洗はいまや完璧超人だし/ ただ、後編は感動した/
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これたぶんむかーし読んだことあると思うなー。 スズランのほうは一見簡単かと思いきや、大人って怖いわー。 Pのほうはちょっと難しい。 しかし事情があるにしろダメなもんはダメだろ、って感想。
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石岡くんのドジっ子ポジションは愛さずにはいられない( ˘ω˘ ) と思っていた私ですが、どうやらその認識は少し改めなければいけない時が来たようです。 石岡くんねェ…女々しすぎ!(今更感) 自分の娘でもおかしくない年齢の女性の、存在しない男の影に嫉妬するとか、かなり痛いよ!...
石岡くんのドジっ子ポジションは愛さずにはいられない( ˘ω˘ ) と思っていた私ですが、どうやらその認識は少し改めなければいけない時が来たようです。 石岡くんねェ…女々しすぎ!(今更感) 自分の娘でもおかしくない年齢の女性の、存在しない男の影に嫉妬するとか、かなり痛いよ!! 御手洗が日本にいた頃は、石岡くんにこれでもかとどSな愛のムチを言葉で振るっていたからこのウジウジ感は許せてたんだなァ。 「そこまで言わんでもええやん御手洗様…」 と読者を誘導する御手洗様は、本当に石岡くんのガーディアンであると思いました(作文)。 事件そのものは小粒感です()。 まあ解決する御手洗様がちんまい頃のお話ですから仕方ありませんね← 個人的には鈴蘭事件のトリックの方が文学的で好きかなー。Pはね、もうモロに理数系だからね、本能が受け付けないよね←← 【鈴蘭事件】 御手洗潔くんが、同じ幼稚園に通う女の子のお父さんの事故死について調べるお話。 どうして女の子のお父さんとお母さんのお店の床には、透明なグラスばっかりが割られて破片が散らばっていたのかな? 【Pの密室】 御手洗潔くんが、同じ小学校に通う女の子と一緒に、有名な画家の先生の心中事件について調べるお話。 どうして死体の下に敷き詰められていた絵は、血と絵の具で真っ赤に塗られていたのかな?
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