反復 の商品レビュー
実存哲学の創始者キル…
実存哲学の創始者キルケゴールの恋愛心理小説です。しかし、単なる恋愛心理小説ではありません。表題の『反復』という概念は、後の彼の主作『死にいたる病』の重要なキーワードとなります。本書を読まれた方は、『誘惑者の日記』と『死にいたる病』にチャレンジしてみてください。
文庫OFF
キルケゴールの著作は難解だが、時々読みたくなる。本文だけで理解するのは困難で訳注が多くて助かった。思うにこの本の題名、「反復」でよいのだろうか。訳注では「再生」ともよばれるとあり、罪のゆるしというキリスト教の問題から言っても、こちらのほうが適切な気がする。明らかにキルケゴールの婚...
キルケゴールの著作は難解だが、時々読みたくなる。本文だけで理解するのは困難で訳注が多くて助かった。思うにこの本の題名、「反復」でよいのだろうか。訳注では「再生」ともよばれるとあり、罪のゆるしというキリスト教の問題から言っても、こちらのほうが適切な気がする。明らかにキルケゴールの婚約破棄がモチーフになっているはずだが、何かを回避している感じ。
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恋愛小説の形態をとった哲学書 といってもキルケゴール自身の個人的経験が色濃く反映された内容なので、純粋なフィクションとも言えない キルケゴールの悲恋についてはよく知られているが、詳しいことはよくわからない この著書も、書籍出版という形をとった、かつての恋人レギーネにあてた書簡と見...
恋愛小説の形態をとった哲学書 といってもキルケゴール自身の個人的経験が色濃く反映された内容なので、純粋なフィクションとも言えない キルケゴールの悲恋についてはよく知られているが、詳しいことはよくわからない この著書も、書籍出版という形をとった、かつての恋人レギーネにあてた書簡と見ることもできる 巻末の解説は、理解の助けになる キルケゴールにとっての「反復」とは、罪によって失われた原状を回復するという意味を持っていたらしい それは「反復しえないものの反復」であり、キリスト教における「奇跡」「死からの復活」のようなものである キルケゴールの詩人としての面がよく出ている著書である
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キルケゴール 「反復」 訳者 桝田啓三郎 の充実した訳注と解説のおかげで 主なテーマは拾えた。反復のイメージとキルケゴールの婚約破棄事件は知っていた方がスムーズに読めるので、解説を読んでから本編に進んだ方がいいと思う。 前半は 反復を恋愛エピソードから抽出し、後半は反復...
キルケゴール 「反復」 訳者 桝田啓三郎 の充実した訳注と解説のおかげで 主なテーマは拾えた。反復のイメージとキルケゴールの婚約破棄事件は知っていた方がスムーズに読めるので、解説を読んでから本編に進んだ方がいいと思う。 前半は 反復を恋愛エピソードから抽出し、後半は反復者としてのヨブを論じた本。面白かった 反復とは *原初状態への回復〜人間の自由の回復 *悔い改めることによる罪の赦し、罪を贖(あがな)われることによる人間の再生 *人生は反復であり〜反復こそ人生の美しさである〜反復を選んだ者のみが ほんとうに生きるのである 名言「年をとるにつれ、人生はますます嘘に見え、だんだん利口になって、世渡りの術を心得るにつれて、ますますしくじりをやり、悩みが多くなる」 反復という概念が、個人の自由の領域で用いられるプロセス〜自由に至るプロセス 1.まず快楽として規定される自由〜快楽の恐れるものは反復である 2.賢明さとして規定される自由 3.自由の最高の関心は反復を成就すること〜自由そのものが反復 ヨブ *人間はもろく弱いものだが、自由を志向することによって偉大であり、神が人間に与えたものでありながら、神が奪うことのできない意識を持っている *ヨブは中間時的に心をしずめてくれる〜神と人間のあいだで〜人間の側に立ってなされた抗議 *ヨブは懲らしめを受け、主とヨブは和解した〜ヨブは祝福され、すべてのものを二倍にしてもらった〜これが反復
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反復を読む時には、婚約破棄の理由が書かれているのでは?という下世話な興味心をどうしても否定できません。 饒舌ながらも決して本音をストレートには語らない著者。序盤の有名な反復の概念、追憶との違いの説明、随所に出てくるヨブ記など興味は尽きません。 ちなみに、自分が考える理由はやは...
反復を読む時には、婚約破棄の理由が書かれているのでは?という下世話な興味心をどうしても否定できません。 饒舌ながらも決して本音をストレートには語らない著者。序盤の有名な反復の概念、追憶との違いの説明、随所に出てくるヨブ記など興味は尽きません。 ちなみに、自分が考える理由はやはり性的不能だったんじゃないかと。サブタイトルが「実験的心理学の試み」、心理学と言えばフロイド、フロイドと言えば性欲(リビドー)
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人生は反復であり、そして反復こそ人生の美しさであることを理解しないものは、自ら自分に判決をくだしたも同然で、しょせん逃れられぬ運命、つまり自滅のほかあるまい。 反復 本も生も学習も。 N・Nさま
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俺はまた本書通じて偽名著者に触れることで、かつて実存の内奥で発生し今尚余震のやまぬ〈大地震〉を憂鬱に追憶している。 2011年5月5日読了
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反復を哲学のカテゴリーとして理解することは、僕の今の能力では難しく、どうしても下世話に理解してしまいそうになる。
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「反復」の意味を捉えるのに一苦労する作品。 反復が文字通りの俗な意味に捉えられてしまう罠が張り巡らされているのです。
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人間であるということの豊かさのひとつは、われわれが「反復」する動物であるということを自覚できる種であり、「反復」という行為に積極的な意味を見出せることであるだろう。 ところでこの反復という前進の運動の逆方向が「追憶」ということになるが、追憶は「後方に向かって反復」されるに...
人間であるということの豊かさのひとつは、われわれが「反復」する動物であるということを自覚できる種であり、「反復」という行為に積極的な意味を見出せることであるだろう。 ところでこの反復という前進の運動の逆方向が「追憶」ということになるが、追憶は「後方に向かって反復」されるにすぎない。ギリシア人にとって「追憶」は認識のすべてを司るものであるのに対し、「反復」こそ新しき哲学の概念であり(キルケゴール時代における)、ライプニッツしかこれまでその点に気づいていなかったのだとキルケゴールは述べたうえで、人生における恋愛に的を絞って考察してゆく。(恋愛がキルケゴールにとって生きるか死ぬかの大問題足り得たことも共感するところが多い) キルケゴールはこんな逸話を用意してくれた。わたし(キルケゴール)が出会ったある若き青年が娘に恋いこがれて詩人のようになった。しかし、恋を賛美してやまぬ彼がみずから進んで老人になっていることにわたしは気づいた。彼は娘に近づこうとすればするほど遠ざかっているというみずからの境地に一向に気がつかないでいる。つまりは、恋の始まりと終りを取り違えてしまう「錯誤」に、これから起こるであろう「反復」による獲得を「追憶」という喪失にいきなりすり替えて、破滅することをみずから始めてしまうという不幸に気がつかないでいるということである。 「追憶は喪失から始まるという大きな利益をもっている、だからそれは安全だ、失うべき何ものももたないからである。」 ひとは甘く漂う恋の気分に詩を憶えていつまでも浸ることができる。しかしそれと同時に、恋の気分を断ち切ってしまうような生命力の湧出にも神秘を見出す生き物でもある。こうした神秘性こそが恋から愛への移行の鍵を握るものであり、キルケゴールは「(恋の)気分を利用することのできるアイロニカルな弾力性」が人間の生にもともと備わった形式であるということを強く訴えてやまない。キルケゴールの書物が放つ言葉から、自身が生きているということに並々ならぬ感謝の念がひしひしと伝わってくるようであり、幸福を求めるその姿勢は日常のありきたりな毎日を称揚することから始まるということを教えてくれていて、瑞々しい感受のほとばしりに胸を打つ。 「ほんとうは、反復の恋こそ唯一の幸福な恋なのだ。反復の恋には、追憶の恋と同じように、期待の不安定さがない、探険に伴う不安な冒険もない、しかしまた、追憶のもつ哀愁もない、そこには瞬間の至福な確実さがある。」 「古いものにはけっして飽きることがない、そして古いものが目の前にあると、ひとは幸福になる、しかも、反復が何か新しいものでなければならぬかのような思い違いをしないひとだけが、ほんとうに幸福になる。」 キルケゴールの著作が、この『反復』に限らずきわめて小説的なスタイルを用いながら哲学的な考察を行うことが少なからずあるのは、彼の思想というものが人間の豊かな生の形式に対して、しなやかに反応し得ることを心がけている証左ではないだろうか。
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