夜のガスパール の商品レビュー
19世紀の初めに書かれ、ボードレールやマラルメに影響を与えた散文の連作。 「レンブラント、カロー風の幻想曲」と副題がついているとおり、言葉で絵解きをするような詩のコレクション。ロマン派の韻文詩全盛の時代に、感動を重視しない散文詩を書いた先鋭的な作品として評価されているという...
19世紀の初めに書かれ、ボードレールやマラルメに影響を与えた散文の連作。 「レンブラント、カロー風の幻想曲」と副題がついているとおり、言葉で絵解きをするような詩のコレクション。ロマン派の韻文詩全盛の時代に、感動を重視しない散文詩を書いた先鋭的な作品として評価されているという。断片的なシーンを積み重ね、文字で街を描きだし、そこに天使や悪魔、妖精をなど幻想生物を遊ばせる、幻想小説のエッセンスのような趣がある。 「フランドル派」「古きパリ」の章はコントのようなおかしさがあって好きだった。ボルヘスの『夢の本』に第三の書「夜とその魅惑」が抜粋されているのでそこだけ読んだことがあったのだけど、全体を読むとむしろこの章だけ異質。他の章では昼の風景を描いているからこそ、フュスリ風の夜の幻想が際立つのかもしれない。
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ラヴェルのピアノ曲「夜のガスパール」の元となったベルトランの詩集です。散文詩の世界を広げた人でもあり、またその詩の醸し出す光景は、中世の魔の雰囲気を伝え、怪しげな光を放っています。とはいっても、しょせん翻訳でどこまで味わえるのか、最近とてももどかしさを感じますが、。ミシェル・ダル...
ラヴェルのピアノ曲「夜のガスパール」の元となったベルトランの詩集です。散文詩の世界を広げた人でもあり、またその詩の醸し出す光景は、中世の魔の雰囲気を伝え、怪しげな光を放っています。とはいっても、しょせん翻訳でどこまで味わえるのか、最近とてももどかしさを感じますが、。ミシェル・ダルベルト氏が自身のコンサートでこの曲を弾く前、一曲ずつ朗読したことで、読みたいと思いました。
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不遇の詩人ベルトランの幻想詩集。「散文詩」という新しい様式を創造した象徴的作品でもある。 訳出によって失われた何かがあるとはいえ、絵画的な散文の数々は魅力的だ。 ラヴェルによる同名曲の題材となったことでも有名な作品。
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ラヴェルが作曲を手掛けた『夜のガスパール』の題材にもなったもの。読みたいと思った当時なかなか見つからなくて(その時は禄にネット通販も出来なかった)けど最近見つけて読みました。
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散文詩、に初めてであうきっかけをくれた一冊。 からりころりと音の聞こえてくるような、そんなペースを感じられます。 香り、音、寒さ、そういうものが全て荒々しく細い紐でしばられたような そんな印象をうける一冊。 小さな劇場の小さな寸劇を観ているような そんな一冊。
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著者のベルトランは散文詩の開拓者として知られているらしい、知る人ぞ知る詩人。 客観的で、時に幻想的に、時に泥臭いまで世俗的に。コマ送りで場面が次々に流れていくように、詩が流れていく。 一つ一つの詩が、一幅の絵画、あるいは写真のように、眼前に展開される。文章を読みながら、そんな絵...
著者のベルトランは散文詩の開拓者として知られているらしい、知る人ぞ知る詩人。 客観的で、時に幻想的に、時に泥臭いまで世俗的に。コマ送りで場面が次々に流れていくように、詩が流れていく。 一つ一つの詩が、一幅の絵画、あるいは写真のように、眼前に展開される。文章を読みながら、そんな絵が頭に思い描けることも多々あった。 ただ中身はやや淡々とし過ぎていて、読み終わってあまり記憶に残らない。多分、もっと絵画や写真に造詣の深い人、あるいはこの本を精読する時間のある人ほど、楽しめると思う。
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