フィツジェラルド短編集 の商品レビュー
どれも素晴らしい短編ばかり。 金持ちの御曹司はフィッツジェラルドの中で一番好きな作品。 あるリッチな男性の生涯をここまで解像度高く書けるのか。自分とはかけ離れた、あまりにもリッチなアンソンという主人公像がくっきり輪郭を持って存在しているのが素晴らしい。 自分とはかけ離れた人物の生...
どれも素晴らしい短編ばかり。 金持ちの御曹司はフィッツジェラルドの中で一番好きな作品。 あるリッチな男性の生涯をここまで解像度高く書けるのか。自分とはかけ離れた、あまりにもリッチなアンソンという主人公像がくっきり輪郭を持って存在しているのが素晴らしい。 自分とはかけ離れた人物の生き方を体験できる。
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中公文庫から出ている村上春樹編の短編集に引き続き読んでみた。 「乗り継ぎのための3時間」と「泳ぐ人たち」の2編が初めまして。 前者にはいろいろな意味での喪失が、後者にはアメリカとヨーロッパの二項対立のようなものが描かれる。 伝統や、国民性、「泳ぐ人」と「泳がない人」、そんな対照。...
中公文庫から出ている村上春樹編の短編集に引き続き読んでみた。 「乗り継ぎのための3時間」と「泳ぐ人たち」の2編が初めまして。 前者にはいろいろな意味での喪失が、後者にはアメリカとヨーロッパの二項対立のようなものが描かれる。 伝統や、国民性、「泳ぐ人」と「泳がない人」、そんな対照。 村上春樹訳とくらべたら翻訳が少し古い感じがする。特に会話文で感じたり。 村上訳も癖があるので、合わせて読み比べるのも面白い。
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狂乱の時代といわれた 1920年代のアメリカの雰囲気を味わいたくて、 本書を手に取ってみました。 ジャズ・エイジとも呼ばれるこの時代は、 伝統の破壊、きらびやかで退廃的 というイメージがありますが、 この短編集でも そのことが伝わってきました。 また、人間のさまざまな側面を 同...
狂乱の時代といわれた 1920年代のアメリカの雰囲気を味わいたくて、 本書を手に取ってみました。 ジャズ・エイジとも呼ばれるこの時代は、 伝統の破壊、きらびやかで退廃的 というイメージがありますが、 この短編集でも そのことが伝わってきました。 また、人間のさまざまな側面を 同時に描き出していて、 いつの世も変わらない 人生の本質を 突きつけられたような気がしました。 どの作品も 映画化したら面白そうと 思えるものばかりでした。 べそかきアルルカンの詩的日常 http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/ べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え” http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
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『バビロン再訪』が特に良かった。フォークナーやヘミングウェイとは全く違う、米文学の王道へ…もしくは原点回帰って感じ。
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大変感銘を受けた。ほとんど人生で読んだ本でも屈指というぐらいだと思う。フィッツジェラルドはどうしても男性的な夢の語り方をする人で、そこがざらっとした違和として自分に残りがちだったのだけれど、1作目の「氷の宮殿」女性主人公であり、南部と北部の軋みの話であり、アメリカの分裂と自我の分...
大変感銘を受けた。ほとんど人生で読んだ本でも屈指というぐらいだと思う。フィッツジェラルドはどうしても男性的な夢の語り方をする人で、そこがざらっとした違和として自分に残りがちだったのだけれど、1作目の「氷の宮殿」女性主人公であり、南部と北部の軋みの話であり、アメリカの分裂と自我の分裂が重ね合わされて、そこに10代の女の子の溌剌とした知性と挫折が加わっていく。あまりに美しい離れ業で、今まで小説を読んでこんな気持ちになったことはなかったというくらい、深く感動した。それ以外もどの作品も素晴らしいが、有名な「リッチ・ボーイ」「バビロン再訪」あたりは人生の抜き差しならない孤独と喪失を感じられて、その小説の魅力が心に届く深度に震えた。 しかし、野崎孝訳が第一にやはり、名訳なのだと思う。手元に村上春樹訳の「氷の宮殿」があったので読み比べてみたけれど(村上春樹訳はとても若い頃の仕事なので比較するのは少々アンフェアかもしれないけれど)、ちょっとやっぱり野崎訳って凄すぎるんじゃないか、という風に感じてしまった。昔から野崎訳ばかり読んでいるので、身体とぴったり合ってしまっているのかもしれないけれど、フィッツジェラルドの華麗(だと思われる)な文章が、同じような豪奢さで、でも全く違う日本語に置き換わっているのだろうという感覚を受ける。豪奢なところと、びっくりするくらい哀しいところの落差が自然に溢れ出てきているような文章で、好みの問題かもしれないけれど、わたしは単純に野崎訳の文体が好きなんだな、ほんと。
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青春時代の情熱の恋愛模様。5組のカップルが登場する。あの青春時代の疑うことを知らない情熱はどこから来るのか、どこへ消えてしまうのか。お祭り騒ぎが終わったあとの余韻と驚き。愛の反対が無関心であるのと同様に、貧乏でも多忙でもなく、世の中からの無関心ーー必要とされないことを、人は一番お...
青春時代の情熱の恋愛模様。5組のカップルが登場する。あの青春時代の疑うことを知らない情熱はどこから来るのか、どこへ消えてしまうのか。お祭り騒ぎが終わったあとの余韻と驚き。愛の反対が無関心であるのと同様に、貧乏でも多忙でもなく、世の中からの無関心ーー必要とされないことを、人は一番おそれているのではないか。 編者の意図もすばらしい。バランスのとれた短編集。 1. 氷の宮殿 アメリカの北と南。出身地と男女の相性。 2. 冬の夢 主人公がよい。暗い。女性の虚勢とそれに気付きながらも受け入れる男性。 3. 金持の御曹子 すばらしい。幸せとは何か、問いかけてくる。青春と家庭とその先に待っている老いをも匂わせる。金ピカの中に哀愁ただよう作品。 4. 乗り継ぎのための三時間 まるで星新一のような。おもしろい掛け違い短編。短い中に人生のおかしみが詰まっている。あるある、と思わず膝をうってしまうユーモアのある作品。 5. 泳ぐ人たち 水の中の静けさと心地よさ。それが伝わってくる。伏線や展開がおもしろい。短編だからかもしれないが、この著者は道中がうまく、終わりが若干尻込む。会話もベタベタと男女の会話を書くのではなく、まるですべて見てきたあとのようにさらっと、少しだけ書き出してあとは抽象的な心理描写で終わらせてしまう思いきりの良さがよい。 6. バビロン再訪 この作品のなかで、唯一恋愛ではない作品。みうらじゅんさんが書かれていた「親は子のファン」という言葉通り。うまくいかない人生のいたずら、周りからはそれもすべてうまくいっているように見られてしまうジレンマ、人生の試練が分かりやすく凝縮されている作品。
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フィッツジェラルド作品は『グレート・ギャツビー』しか読んだことがなかったのですが、なんとなく、'20年代の狂騒の時代を刹那的に過ごしていたイメージがありました。 ですがこの短編集におさめられている作品、特に『泳ぐ人たち』と『バビロン再訪』では、アメリカの伝統的なものや、...
フィッツジェラルド作品は『グレート・ギャツビー』しか読んだことがなかったのですが、なんとなく、'20年代の狂騒の時代を刹那的に過ごしていたイメージがありました。 ですがこの短編集におさめられている作品、特に『泳ぐ人たち』と『バビロン再訪』では、アメリカの伝統的なものや、多くの素朴な人びとにとって普遍的に意味をもつようなものに価値を見出している感じがして、フィッツジェラルドのイメージが少し変わりました。 『泳ぐ人たち』は、話の筋が少しあざとい感じもするものの、家庭や仕事で日々我慢している主人公が、考えることを脇において泳ぐことで解放されるという、そのシンプルなさまが、読んでいて心にストンと落ちてきました。肉体の持つ美しさや力を素直に賞賛するような雰囲気が、アメリカ文学らしいなと思いました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
社会的な成功と幸福は必ずしも一致しないということを、しみじみと感じた。 異国情緒漂っているのは感じたが、心情をイメージできないところがあった。文化の違いだろうか。
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フィッツジェラルドもあまり読んだことがなかったのですが、ふと。いずれもほろ苦いけれども、最後のバビロン再訪が気に入りました。
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フィツジェラルド著、野崎孝訳で「グレード・ギャッツビー」を読んだあと、フィツジェラルドが「失われた世代(ロスト・ジェネレーション)」のヒーローとして君臨し、時代の寵児と呼ばれていたということを知り、もう少し彼の作品を読んでみょうと思った。そしてすぐに入手できるのがこの短編集であ...
フィツジェラルド著、野崎孝訳で「グレード・ギャッツビー」を読んだあと、フィツジェラルドが「失われた世代(ロスト・ジェネレーション)」のヒーローとして君臨し、時代の寵児と呼ばれていたということを知り、もう少し彼の作品を読んでみょうと思った。そしてすぐに入手できるのがこの短編集であった。(「グレート・ギャツビー」は村上春樹訳も出ていて、そちらも入手済みだがまだ読んでいない) 「グレード・ギャッツビー」は映画(レオナルド・ディカプリオ版(2013年版))を見てから原作を読んだ。その順番のせいかどうかはわからないが、世間で絶賛されているほどの感動を受けることができなかった。(ロバート・レッドフォード版(1974年版)はまだ見ていない) この短編集にしても同様である。それほど面白いとは思えないのだ。これには6つの短編が収録されているが、始めの2作品を読んだところでギブアップした。もしかしたら私はアメリカ文学に馴染めないのではないだろうか。村上春樹訳で「キャッチャー・イン・ザ・ライ」も読んだが、感動するべきところを見出すことができず、とりあえず最後まで我慢して読み終えた。 そういえば村上春樹もアメリカ文学に傾倒しているが、彼の作品はアメリカの文学作品に似ているような気がする。私が感動的な面白みを感じることができないところも似ている。にはどうして村上春樹がノーベル文学賞候補なのか分からないほどだ。 残念だけどあとの残りの4作品を読もうという気持ちは萎えてしまった。
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